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親が持っていた田んぼや畑を相続することになった。でも、自分は会社勤めで農業をするつもりはない。そんな状況で困っている方は多いですよね。
結論から言うと、農業をしない人でも農地は相続できます。そのうえで「貸す」「売る」「手放す」のどれを選ぶかで、必要な手続きと相談先が変わるんです。
この記事を読めば、自分の農地がどのケースに当たり、何から始めればいいかが分かります。
農業をしない人が農地を相続したら、どうなる?
例えば、父が亡くなり、都市部で会社勤めをする子2人が実家の田畑を相続するケースです。相続そのものは農業をしない人でもでき、相続登記(取得を知った日から3年以内)と農業委員会への届出をします。そのうえで、地元に借り手がいれば貸す、買い手や転用の見込みがあれば売る、どちらも難しければ相続土地国庫帰属制度で国に引き取ってもらうことを検討します。農地を含め財産全体を引き継がないなら、3か月以内の相続放棄という道もあります。
『農家じゃないと農地は持てないんじゃないの?』と思う方もいるはずです。売り買いには農地法の許可が要りますが、相続で引き継ぐ場合は許可なしで取得できます。
ただ、相続で取得したことは、農地のある市町村の農業委員会に届け出ます。届出の期限や書式は農業委員会で確認してみてください。
方針ごとの違いを、先にまとめておきます。
| ケース | 選ぶ方針 | 理由・注意 |
|---|---|---|
| 地元に耕してくれる人がいる | 貸す | 農地のまま持ち続けられる。農業委員会を通した貸し借りが基本 |
| 宅地の近くで転用の見込みがある | 売る(転用して売る) | 転用の許可や届出が要る。売れれば管理の手間がなくなる |
| 借り手も買い手も見つからない | 国に引き取ってもらう | 相続土地国庫帰属制度。審査手数料と負担金がかかる |
| 農地以外の財産も含めて引き継がない | 相続放棄 | 3か月以内に家庭裁判所へ申述。農地だけを放棄することはできない |
相続したら、まずやる手続きは?
どの方針を選ぶにしても、最初の手続きは共通です。
- 遺産分割協議で、誰が農地を相続するかを決める
- 法務局で相続登記をする(取得を知った日から3年以内)
- 農業委員会に、相続で農地を取得したことを届け出る
- 土地改良区の区域内なら、組合員の名義変更を届け出る
- 貸す・売る・手放すの方針を決めて、相談先に連絡する
相続登記は2024年4月1日から義務になりました。正当な理由なく怠ると10万円以下の過料があります。登録免許税は固定資産税評価額の0.4%です。
『兄弟で分けるのがまとまらない』という時は、相続人申告登記で、ひとまず登記の義務を果たしておけます。
土地改良区の賦課金にも注意
田んぼが土地改良区の区域にあると、水路や農道の維持のための賦課金がかかることがあります。相続した人が組合員を引き継ぐので、通知が届いたら放置しないようにしておきましょう。
貸すなら、どこに相談する?
農業はしないけれど、先祖からの土地を手放したくない。そんな時は貸す方法があります。
農地の貸し借りは、勝手に契約するのではなく、農業委員会の許可などを通して行うのが基本です。まずは農業委員会や、地域で農地の貸し借りを仲介する公的な窓口に相談してみてください。
「近所の農家さんに口約束で貸していたみたい」
「それなら、正式な貸し借りの形になっているか確認しよう」
親の代から口約束で貸していたケースもよくあります。相続を機に、契約の形を確かめておくと安心です。
納税猶予の特例は、農業しない人には使いにくい
農地には、農業を続ける相続人向けに「農地等についての相続税の納税猶予」という特例があります。ただ、これは相続人が農業を続けるか、決められた形で貸し付けている間だけ猶予される仕組みです(国税庁 No.4147)。
農業をしない人が使えるかは、貸し方によって変わります。要件を満たすかは税理士に確認を。
売る・手放す場合は、どう進める?
売る場合
農地を農地のまま売る時は、買う人が農業をする人である必要があり、農業委員会の許可が要ります。宅地などに変えて売る時は、転用の許可や届出が必要です。
市街地に近い農地は転用しやすく、買い手が見つかることも。一方で、山あいの田畑は買い手がつきにくいのが現実です。
売った利益には譲渡所得の税金がかかり、取得費と取得時期は親から引き継ぎます。相続税を払っていて、申告期限の翌日から3年以内に売れば、取得費加算の特例を使える場合があります。
国に引き取ってもらう場合
借り手も買い手もいない農地は、相続土地国庫帰属制度で国に引き取ってもらう方法があります。2023年4月27日に始まった制度です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 審査手数料 | 土地1筆につき14,000円 |
| 負担金 | 原則20万円(農地の一部は面積で算定) |
| 申請できない土地 | 建物がある土地、担保権が設定された土地など |

『お金を払ってまで手放すの?』と感じますよね。ただ、使わない農地を持ち続けると、固定資産税や草刈りなどの管理の負担がずっと続きます。何年分の負担になるかと比べて考えてみてください。
相続放棄を選ぶ場合
相続放棄は、自分のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に家庭裁判所へ申述します。農地だけを放棄することはできず、預金や自宅も含めて全部を引き継がないことになります。
放棄しても、その農地を現に使っている場合は、次の相続人などに引き渡すまで保存する義務があります。
田畑のほかに自宅や預貯金もあり、相続税がかかりそう、兄弟の分け方も決まっていない。こうしたケースは、農地の評価と相続税の申告を税理士にまとめて頼むと楽になりやすいです。相続税の申告期限は、亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内です。
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わが家のケースは、相続に強い税理士に聞くのが近道
相続税がかかりそう、土地や自宅がある、相続人が多い、期限が近いといったケースでは、相続税に詳しい税理士に早めに相談すると安心です。税理士ドットコムなら、全国7,500名以上の登録税理士から相続に強い税理士を無料で紹介してもらえます。
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農地の相続税評価は、どのくらい?
農地の評価は、場所によって方法が違います。市街地にある農地は路線価方式、それ以外の多くの農地は固定資産税評価額に倍率をかける倍率方式です。
山あいの田畑は評価額が低いことが多く、農地だけで相続税がかかるケースは多くありません。ただ、自宅や預金と合わせると基礎控除を超えることもあります。
例えば、子2人が相続人なら基礎控除は4,200万円です。田畑の評価額が低くても、自宅の土地と建物、預貯金を足して4,200万円を超えれば申告が必要になります。
『農地はほとんど価値がないから関係ない』と思い込んで、財産の合計を確かめないまま期限が近づくケースもあります。固定資産税の納税通知書を見れば、農地の固定資産税評価額は確認できます。まずは田畑・自宅・預金を一覧にして、合計を出してみてください。
家や土地の評価方法を一通り知りたい方は、相続税評価額の財産ごとの計算例を見てみてください。不動産全体の引き継ぎ方は、実家・空き地・賃貸物件のケース別にやることでも紹介しています。
よくある質問
農業をしないサラリーマンでも農地を相続できますか?
できます。相続で取得する場合は農地法の許可は要りませんが、農業委員会への届出と相続登記が必要です。
相続した農地を売る時、何が必要ですか?
農地のまま売るなら農業委員会の許可、宅地などに変えて売るなら転用の許可や届出が必要です。売った利益には譲渡所得の税金がかかります。
いらない農地だけを相続放棄できますか?
できません。相続放棄は財産全体を引き継がない手続きです。農地だけ手放したいなら、相続したうえで相続土地国庫帰属制度を使う方法があります。
まとめ
- 農業をしない人でも農地は相続でき、相続登記と農業委員会への届出をする
- 貸すなら農業委員会や公的な仲介窓口に相談。口約束の貸し借りは見直す
- 売るには農地法の許可や転用の手続きが要る。取得費加算の特例を使える場合がある
- 借り手も買い手もいなければ、相続土地国庫帰属制度(1筆14,000円・負担金原則20万円)
- 相続放棄は3か月以内で、農地だけを放棄することはできない




