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親が亡くなって、遠くの田舎にある土地を相続することになった。『住む予定もないし、管理もできない。正直いらない…』と困っている方も多いはずです。
結論から言うと、いらない田舎の土地を手放す方法は「売る」「国に返す(相続土地国庫帰属制度)」「相続放棄」の3つです。どれが合うかは、土地の状態と、ほかにどんな財産があるかで決まります。
いらない田舎の土地、うちのケースはどれを選ぶ?
買い手が見つかる見込みがある宅地なら、まず売却を考えます。建物がなく売れそうにない土地は、相続したうえで国庫帰属制度を検討します。借金が多いなど、ほかの財産も含めて何もいらないなら相続放棄です。ただし相続放棄は土地だけを選んで手放すことはできません。
3つの方法は、手放せる範囲も、かかるお金も、期限も違います。まずは代表的なケースで比べてみますね。
| ケース | 向いている方法 | 理由・注意 |
|---|---|---|
| 駅や集落に近い宅地で、古い実家が建っている | 売る | 空き家の3,000万円特別控除が使える場合がある |
| 建物のない山林・原野で、近くに買い手がいない | 国に返す(国庫帰属制度) | 審査手数料と負担金がかかる。建物があると申請できない |
| 親に借金があり、預金も少ない | 相続放棄 | 土地だけでなく、預金も含めて全部手放すことになる |
| 預金や自宅は欲しいが、田舎の土地だけいらない | 相続してから売る・国に返す | 相続放棄は「一部だけ」ができない |

例えば、父が亡くなり、都市部の自宅と預金、そして祖父から引き継いだ山林を子が相続するケースを考えてみます。この場合、自宅と預金は受け取りたいはずですよね。
相続放棄をすると自宅も預金も受け取れなくなるので、山林だけ相続してから国庫帰属制度を使う、という順番になります。
買い手が見つかりそうなら、まず「売る」を考えていい?
田舎の土地でも、宅地として使える場所なら買い手が見つかることがあります。売れればお金が手元に残るので、3つの中で負担が軽い方法です。
『でも、田舎の土地なんて売れないのでは?』と思いますよね。実は、隣の家の人が「庭を広げたい」「駐車場にしたい」と買ってくれるケースもあります。
まずは近所の人や地元の不動産会社に声をかけてみてください。
田んぼや畑の場合は、農地のまま売るには農地法の手続きが関わります。農業をしない方の選択肢は農地を相続したけど農業しない時のケース別の手続きで紹介しています。
ただ、売る前に気をつけたいことが2つあります。
- 売るには、先に相続登記をして自分の名義にしておく必要がある
- 売った利益には譲渡所得の税金がかかる。取得費や取得時期は亡くなった親から引き継ぐ
古い実家ごと売る場合は、条件を満たせば「被相続人の居住用財産(空き家)を売った時の3,000万円特別控除」が使えます。対象は1981年(昭和56年)5月31日以前に建てられた家屋などで、2027年12月31日までの売却です。
相続人が3人以上で2024年1月1日以降に売った場合は、1人2,000万円になります。要件は細かいので、使えるかどうかは税理士に確認しておきましょう。
詳しくは相続した空き家をどうするかのケース別判断でもまとめています。
売れない土地は「国に返す」ことはできる?
できます。2023年4月27日に始まった「相続土地国庫帰属制度」を使うと、相続した土地を国に引き取ってもらえます。法律の正式名は「相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律」です。
かかるお金は次のとおりです。
| 費用 | 金額 | 注意 |
|---|---|---|
| 審査手数料 | 土地1筆あたり14,000円 | 筆数が多いほどかさむ |
| 負担金 | 原則20万円 | 宅地や農地の一部は面積で計算する |
ここが大事なところです。どんな土地でも引き取ってもらえるわけではありません。建物が建っている土地や、抵当権などの担保権がついている土地は申請できないんです。
例えば、山の中に古い小屋が残っている土地なら、先に解体しないと申請できません。
「解体費まで出すなら、いっそ売れないかな」
「近所の人に聞いてみたら、タダならほしいと言われた」
こんな話が出ることもあります。解体費、審査手数料、負担金を合計して、売る場合と見比べて決めてみてください。
例えば、3筆に分かれた山林なら、審査手数料だけで1筆14,000円×3筆=42,000円です。承認後には負担金もかかるので、筆数が多い土地ほど早めに見積もっておくと安心です。
- 土地の上に建物が残っていないか
- 抵当権などの担保権がついていないか
- 境界がはっきりしているか、隣地とのもめごとがないか
- 審査手数料と負担金を払っても手放したいか
相続放棄すれば、土地のことは考えなくていい?
相続放棄をすると、初めから相続人でなかったことになります。土地の名義も管理も引き継がずに済みます。
ただ、相続放棄は「田舎の土地だけ」を放棄することはできません。預金も家も、すべての財産を手放すことになります。
期限は、自分のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内です。被相続人の最後の住所地の家庭裁判所に申述します。費用は申述人1人につき収入印紙800円と、連絡用の郵便切手、戸籍謄本などの取得費です。
『放棄したら、もう何もしなくていいよね?』と思いがちです。実は、放棄した時に現にその財産を占有している場合は、次の相続人などに引き渡すまで保存する義務があります。
また、放棄すると次の順位の人が相続人になります。子が全員放棄すると、親の兄弟姉妹に話が回ることもあるので、親族には先に伝えておきましょう。
| ケース | 相続放棄した後どうなる | 注意 |
|---|---|---|
| 子1人が放棄、ほかに子がいる | 残った子が相続する | 兄弟の負担が増える |
| 子全員が放棄、親の父母はすでに死亡 | 亡くなった人の兄弟姉妹が相続人になる | 叔父・叔母に連絡が行く |
| 相続人全員が放棄 | 家庭裁判所が相続財産清算人を選ぶことがある | 申立ての手間と費用がかかる |
決めないまま10年放置するとどうなる?
『とりあえず名義は親のままで、そのまま放っておこう』という選択もありますよね。ただ、2024年4月1日から相続登記が義務になりました。
相続で不動産を取得したことを知った日から3年以内に登記しないと、正当な理由がなければ10万円以下の過料の対象になります。2024年4月より前の相続も対象です。
放置すると、相続人がさらに亡くなって権利者が増え、売るにも国に返すにも全員の協力が必要になります。10年たつと、遺産分割で特別受益や寄与分を主張できなくなる点も覚えておきましょう。
遺産分割がまとまらない時は、自分が相続人だと申し出る「相続人申告登記」で義務を果たす方法もあります。
土地以外の財産も含めて全体をどう分けるか迷う時は、不動産を相続したら何から始めるかのケース別ガイドも参考にしてみてください。
田舎の土地のほかに自宅や預金があり、相続税の申告が必要になりそうな方や、土地の評価額が分からない方は、税理士に一度見てもらうと話が早く進みます。
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わが家のケースは、相続に強い税理士に聞くのが近道
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よくある質問
相続した田舎の土地にも相続税はかかりますか?
かかる場合があります。田舎の土地は倍率方式(固定資産税評価額×倍率)で評価することが多く、ほかの財産と合わせて基礎控除を超えると相続税の対象です。評価の考え方は財産ごとの相続税評価額の計算例で紹介しています。
国庫帰属制度は、相続する前に申請できますか?
できません。相続などで土地を取得した人が申請する制度なので、相続してから申請します。
相続放棄をしても生命保険金は受け取れますか?
受取人に指定されていれば受け取れます。生命保険金は受取人固有の財産だからです。ただし、相続放棄した人は生命保険金の非課税枠を使えません。
まとめ
- いらない田舎の土地を手放す方法は、売る・国に返す・相続放棄の3つ
- 買い手が見つかりそうな宅地は売却、建物のない売れない土地は国庫帰属制度が候補
- 相続放棄は土地だけを選べず、期限は知った時から3か月以内
- 相続登記は取得を知った日から3年以内。放置すると手放すのも難しくなる




