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親の通帳を見返していたら、貸金庫の利用料の引き落としが見つかった。中に何が入っているのか、どうやって開ければいいのか、戸惑いますよね。
結論から言うと、貸金庫は「相続人全員の同意」で開けるのが基本です。全員がそろうか、遺言書で手続きをする人が決まっているかで、進め方が変わります。
この記事では、あなたの家がどのケースに当たり、銀行で何を用意すればいいかが分かります。
親の貸金庫は、相続人ならすぐ開けられる?
例えば、父が亡くなり、母と子2人が相続するケースです。銀行に死亡を伝えると貸金庫は開けられなくなり、開けるには原則として母と子2人の全員の同意が要ります。全員で銀行に行くか、来られない人の同意書と印鑑証明書をそろえて、代表の1人が開けるのが一般的な流れです。
『子どもなんだから、自分だけで開けてもいいのでは?』と思う方も多いはずです。ただ、貸金庫の中身は、亡くなった時点で相続人全員のものになっています。
1人だけで開けると、ほかの相続人から「中身を持ち出したのでは」と疑われることも。そのため銀行は、相続人全員の同意を確認してから開扉に応じるのが通常です。
貸金庫の契約は、契約者が亡くなると銀行の側で利用が止まります。家族が鍵を持っていても、窓口で手続きを済ませるまでは開けられないと考えておきましょう。
貸金庫があるかどうかの調べ方
親が貸金庫を借りていたかは、家族も知らないことがよくあります。手がかりは次のようなものです。
- 通帳に「貸金庫」「貸金庫手数料」などの引き落としがある
- 自宅に見慣れない鍵やカードがある
- 銀行からの利用料のお知らせが届いている
心当たりがあれば、取引のあった銀行に「貸金庫の契約があるか」を問い合わせてみてください。相続人であることを示す戸籍などがあれば、照会に応じてもらえます。
相続人がそろう・そろわない、ケースでどう違う?
貸金庫の開け方は、家族の状況によって大きく4つに分かれます。自分の家に近いものを探してみてください。
| ケース | 開け方 | 理由・注意 |
|---|---|---|
| 相続人全員が協力的 | 全員で立会うか、同意書を集めて代表者が開ける | 最もスムーズ。開けた後に中身の一覧を作って全員に共有する |
| 遺言書があり遺言執行者が決まっている | 遺言執行者が開ける | 遺言の内容によっては執行者だけで手続きできる。銀行に遺言書を見せて相談 |
| 一部の相続人が遠方・連絡がとれない | 同意書を郵送でやりとりする | 実印での署名押印と印鑑証明書が要ることが多い。時間がかかるので早めに動く |
| 相続人の間で関係がこじれている | 公証人に立会ってもらい、中身を記録する方法も検討 | 開けた時に何が入っていたかを、第三者の記録として残せる |

ここが大事なところです。開けた後の「中身を誰が見たか・何があったか」の記録が、のちの遺産分割をスムーズにします。
公証人に立会ってもらう方法とは
相続人同士で疑い合いが起きそうな時は、公証人に貸金庫の開扉に立会ってもらう方法があります。公証人が見たままを記録した書面(事実実験公正証書と呼ばれます)を作ってもらえるんです。
「兄さんが先に開けて、何か持ち出したんじゃないの?」
「そんなことしてないよ。だったら公証人に記録してもらおう」
こんなやりとりになりそうな家では、最初から第三者の記録を残しておくと安心です。費用や手順は、最寄りの公証役場に問い合わせてみてください。
貸金庫を開ける時に銀行で用意するもの
銀行ごとに書類は少しずつ違います。ただ、多くの場合に求められるのは次のようなものです。
- 亡くなった親の出生から死亡までの戸籍謄本(または法定相続情報一覧図の写し)
- 相続人全員の戸籍謄本と印鑑証明書
- 来られない相続人の同意書(実印で押印)
- 貸金庫の鍵やカード(見つかっていれば)
- 遺言書がある場合は遺言書と、遺言執行者を確認できる書類
戸籍の束をそろえるのは大変ですよね。法務局で「法定相続情報一覧図の写し」を無料で交付してもらえば、銀行や相続登記でも戸籍の束の代わりに使えます。
また、2024年3月1日からは戸籍証明書の広域交付も始まっています。本籍地が遠くても、最寄りの市区町村の窓口で親の戸籍をまとめて請求できます(郵送や代理人による請求はできません)。
鍵が見つからない時も、銀行に相談すれば対応してもらえることがあります。鍵の交換や開扉の費用がかかる場合があるので、事前に確認しておきましょう。
中に遺言書や現金があったらどうする?
貸金庫には、遺言書・現金・金貨・株券・権利証など、さまざまな物が入っていることがあります。見つかった物によって、次にやることが変わります。
自筆の遺言書が出てきたケース
親が手書きした遺言書が入っていたら、その場で封を開けないでください。自筆証書遺言は、家庭裁判所の検認という手続きが要ります。
検認の申立てには、遺言書1通につき収入印紙800円がかかります。なお、法務局の自筆証書遺言書保管制度で保管されていた遺言書なら、検認は要りません。
『封筒に入っているだけだし、ちょっと中を見るくらいなら』と思ってしまいますよね。ただ、勝手に開けると後で相続人同士のトラブルのもとになるので、検認まで待ちましょう。
現金や金貨が入っていたケース
貸金庫の中の現金・金貨・宝石なども、もちろん相続財産です。相続税の計算では、預貯金や不動産と同じように合計に入ります。
『貸金庫の中なら税務署には分からないのでは』という声を聞くこともあります。でも、税務調査では貸金庫の有無や開扉の記録もよく確認されるところです。
令和6事務年度の国税庁の調査では、実地調査9,512件のうち申告漏れなどがあった割合は82.3%でした。財産の申告漏れは、後から延滞税や加算税がかかる原因になります。
中身を使う前に気をつけたいこと
相続放棄を考えている人は、中身の扱いに特に注意が必要です。財産を処分したり使ったりすると、単純承認とみなされて放棄できなくなることがあります。
相続放棄の期限は、自分のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内です。中身を確かめるだけにとどめ、持ち出す前に家族で話し合っておきましょう。
貸金庫の中身で相続税はかかる?かからない?
中身が見つかったことで、相続税がかかるかどうかの判断が変わるケースもあります。基礎控除は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」です。
例えば、父が亡くなり母と子2人が相続するケースで、比べてみます。基礎控除は4,800万円です。
| ケース | 課税価格の合計 | 相続税の総額 | 納付税額の合計(法定相続分で取得) |
|---|---|---|---|
| 貸金庫の中身を入れる前(自宅と預金) | 4,500万円 | 0円 | 0円 |
| 貸金庫に現金と金貨が500万円分あった | 5,000万円 | 20万円 | 10万円 |
貸金庫の500万円分が加わって、基礎控除の4,800万円を超えました。母は配偶者の税額軽減で0円、子2人がそれぞれ5万円を納める計算です。
しかも、配偶者の税額軽減を使うには申告が要ります。「うちは相続税なんて関係ない」と思っていた家でも、貸金庫の中身で申告が必要になることがあるんです。
基礎控除の金額は家族の人数で変わります。人数ごとの早見表は相続人1人〜5人のケース別早見表で確認できます。
貸金庫から思わぬ財産が出てきた、金貨や骨董品の評価が分からない、申告期限まで時間がない。こんな時は、相続税に詳しい税理士に頼むと、評価から申告まで任せられて楽になります。申告期限は、亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内です。
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わが家のケースは、相続に強い税理士に聞くのが近道
相続税がかかりそう、土地や自宅がある、相続人が多い、期限が近いといったケースでは、相続税に詳しい税理士に早めに相談すると安心です。税理士ドットコムなら、全国7,500名以上の登録税理士から相続に強い税理士を無料で紹介してもらえます。
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金貨や美術品など値段が分かりにくい物が入っていた時は、骨董品や美術品の評価と鑑定を頼むべきケースも参考にしてみてください。
開けた後の解約と、ほかの財産の確認
中身を取り出したら、貸金庫の解約手続きをします。相続人の誰かが引き続き使いたい時は、改めてその人の名義で契約する形になるのが一般的です。
貸金庫があった銀行には、ほとんどの場合、親の預金口座もあります。ついでに相続開始日の残高証明書を取っておくと、相続税の計算に使えます。
貸金庫から証券会社の書類やネット口座のメモが出てくることもあります。ネット銀行やネット証券の調べ方は、ネット銀行の口座がある家族が亡くなった時の調べ方と解約で詳しく見ています。
不動産の権利証が入っていた場合は、相続登記も必要です。2024年4月1日から相続登記は義務になり、取得を知った日から3年以内に登記しないと10万円以下の過料の対象になります。
よくある質問
相続人のうち1人だけで貸金庫を開けることはできますか?
ほかの相続人全員の同意書と印鑑証明書があれば、代表者1人で開けられることが多いです。遺言執行者が決まっている場合は、執行者が手続きできることもあります。必要な書類は銀行ごとに違うので、事前に確認してみてください。
貸金庫の鍵が見つかりません。開けられますか?
鍵が見つからなくても、銀行に相談すれば開けられることがあります。鍵の交換や開扉の費用がかかる場合があるので、手続きと費用を窓口で確認しておきましょう。
貸金庫の中の現金は相続税の申告に入れる必要がありますか?
入れる必要があります。現金・金貨・宝石なども相続財産です。中身を入れると基礎控除を超える場合は、亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内に申告と納付をします。
まとめ
- 貸金庫は、銀行に死亡を伝えると開けられなくなり、原則として相続人全員の同意で開ける
- 遺言執行者がいれば、執行者が手続きできることもある
- 相続人の関係がこじれている時は、公証人に立会ってもらい中身を記録する方法がある
- 自筆の遺言書が出てきたら開けずに家庭裁判所の検認を受ける
- 中身の現金や金貨も相続財産。母と子2人で4,500万円が5,000万円になると相続税がかかる例も




