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葬儀が終わって少し落ち着いた頃、亡くなった父あてに「高額療養費の支給申請」の案内が届いた。もう本人はいないのに、誰が申請するのか、もらったお金はどう扱うのか。戸惑いますよね。
結論から言うと、亡くなった人が自分で払った医療費の払い戻しは、相続人が申請して受け取り、相続財産として扱うのが基本です。ただ、家族の扶養に入っていた場合は、話が少し変わるんです。
この記事を読めば、自分の家のケースで誰が申請し、相続税の計算にどう入れるかが分かります。
本人が加入者なら、払い戻しは相続人が受け取って遺産に入れる
例えば、父が国民健康保険や後期高齢者医療に加入していて、入院中に亡くなり、母と子2人が相続人のケースです。死亡後に支給される高額療養費は父の財産として、相続人が申請して受け取り、相続税の計算に入れます。受け取ったお金は遺産分割の対象です。
高額療養費は、ひと月の医療費の自己負担が上限を超えた時に、超えた分が戻ってくる仕組みです。入院の支払いから申請、支給まで時間がかかるので、亡くなった後に案内が届くことがよくあります。
国税庁は、準確定申告の還付金について、亡くなった後に発生しても、もともと亡くなった人が持っていた請求権が表に出たものなので相続財産になる、と説明しています(被相続人の準確定申告に係る還付金等)。
高額療養費も、亡くなった人が払った医療費が戻ってくるお金です。同じ考え方で、相続財産として申告に入れておくのが基本です。
『手続きしたのは自分だから、自分のお金でいいのでは?』と思う方もいるはずです。ただ、申請した人がもらえるお金ではないので、ほかの相続人とも共有しておきましょう。
申請の窓口と、よく求められる書類
申請先は、亡くなった人が加入していた健康保険の窓口です。国民健康保険や後期高齢者医療なら市区町村、会社の健康保険ならその保険者になります。
亡くなった人の分を相続人が申請する時は、相続人であることが分かる戸籍や、振込先の口座を求められることが多いです。
「父あてに高額療養費の案内が届いたのですが、相続人が申請できますか?」
「はい。相続人の方の戸籍と、振込先の口座を用意してください」
必要書類は窓口ごとに違うので、案内に書かれた問い合わせ先に先に電話しておくと安心です。
加入者か扶養かで、受け取る人と扱いが変わる
払い戻しを受け取る人と相続財産になるかどうかは、亡くなった人がどの立場で健康保険に入っていたかで変わります。
| ケース | 受け取る人 | 相続財産になるか |
|---|---|---|
| 亡くなった父が自分で国保や後期高齢者医療に加入 | 相続人が申請して受け取る | なる。遺産分割の対象 |
| 亡くなった父が会社の健康保険に加入(在職中) | 相続人が申請して受け取る | なる。遺産分割の対象 |
| 亡くなった母が、父の会社の健康保険の扶養に入っていた | 加入者である父が受け取る | 父自身の権利として受け取るため、母の遺産とは考えにくい。扱いは税理士に確認を |
| 医療費を子が立て替えて払っていた | 申請は相続人が行う | 立て替えた分の精算を、遺産分割で話し合っておく |

もう1つ大事なところです。亡くなった後に相続人が払った入院費は、亡くなった人の債務として相続財産から差し引けます。払い戻しを財産に入れるだけでなく、払った医療費を差し引くのも忘れないでくださいね。
国税庁の案内では、亡くなった後に相続人が払った医療費は、亡くなった人の準確定申告の医療費控除には入れられません(No.2022 準確定申告)。生計を一にしていた相続人が払ったなら、その相続人の医療費控除の対象になることがあります(死亡した父親の医療費)。
放棄を考えている時、受け取りはちょっと待って
借金が多くて相続放棄を考えている家では、払い戻しをすぐに受け取って使うのは控えておきましょう。相続財産を使うと、単純承認とみなされて放棄できなくなることがあるんです。
放棄の期限は、相続の開始を知った時から3か月以内です。受け取るかどうかは、放棄するかを決めてからでも遅くありません。
同じように亡くなった後に戻ってくるお金には、準確定申告の還付金や老人ホームの入居一時金の返還金もあります。基礎控除に近い家では、こうした細かいお金の積み重ねで申告が必要になることもあるので、相続人の人数別の基礎控除と見比べてみてください。
入院が長く、払い戻しや未払いの医療費がいくつもある。財産が基礎控除を超えそう。そんなケースは、財産と債務の洗い出しから税理士に頼むと楽です。
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よくある質問
高額療養費の申請は、相続人全員でしないといけませんか?
窓口によって違いますが、相続人の代表者1人が申請し、ほかの相続人の同意書などを求められることが多いです。受け取ったお金は相続財産なので、あとで分け方を話し合っておきましょう。
介護保険料や後期高齢者医療の保険料が戻ってくるのも相続財産ですか?
はい。国税庁の申告誤り事例でも、後期高齢者医療保険料や介護保険料の還付金は相続財産にあたるとされています。払い戻しの通知が届いたら、まとめて財産の一覧に入れておきましょう。
申請しないまま放っておくとどうなりますか?
請求できる期間には期限があり、過ぎると受け取れなくなります。期限は加入していた健康保険の窓口で確かめて、早めに申請しておくと安心です。
まとめ
- 本人が加入者なら、死亡後の高額療養費は相続人が申請し、相続財産として扱うのが基本
- 申請した人のお金ではなく、遺産分割の対象になる
- 家族の扶養に入っていた場合は、加入者が受け取るので扱いが変わる
- 亡くなった後に払った入院費は、債務として差し引ける
- 相続放棄を考えているなら、受け取って使う前に止まる





