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もし自分に何かあったら、この子の世話は誰がしてくれるんだろう。一人暮らしでペットと暮らしている方なら、一度は考えたことがありますよね。
結論から言うと、ペット自身に財産を相続させることはできません。世話をしてくれる人に、世話を条件として財産を渡す形をとります。
この記事では、託す相手ごとに使える方法と、費用の考え方を見ていきます。
ペットに財産を残すことはできる?
法律上、ペットは財産を受け取る側になれないので、ペットに直接財産を残すことはできません。「ペットの世話をすること」を条件に、世話をしてくれる人へ財産を渡す負担付遺贈・負担付死因贈与か、お金の管理を分けられるペット信託を使います。どれを選ぶかは、託す相手が家族か、友人か、まだ決まっていないかで変わります。
『遺言書に「財産は猫に」と書けばいいのでは?』と思う方もいるかもしれません。でも、ペットは法律上は「物」として扱われるので、そう書いても受け取ることはできないんです。
だから、ペットを託す人と、その人に渡すお金をセットで考えます。
託す相手によって、使う方法はどう変わる?
託す相手によって向いている方法が変わります。3つのケースで比べてみます。
| ケース | 向いている方法 | 理由・注意 |
|---|---|---|
| 子や兄弟姉妹が引き取ってくれる | 遺言で負担付遺贈、または生前に話し合っておく | 家族の間でも、世話の内容と費用を書面に残しておくと揉めにくい |
| 友人・知人に頼みたい | 負担付死因贈与の契約、または負担付遺贈 | 相続人でない人が受け取ると、相続税が2割加算になる |
| 頼める人がまだいない | ペット信託で、お金を管理する人と世話をする人を分ける | 預け先の施設などを事前に確かめておく |

負担付遺贈は、遺言で一方的に決める方法
負担付遺贈は、遺言書に「ペットの世話をすることを条件に、○○に財産を渡す」と書く方法です。自分一人で書けるのが良いところ。
遺言書には、誰に・どの財産を・どんな世話を条件に渡すのかを、具体的に書きます。例えば「預金のうち一定額を友人に遺贈する。友人はその負担として、愛犬を最後まで飼育し、必要な通院をさせる」という書き方です。
世話の中身がぼんやりしていると、後から「ここまでやれば十分なのか」で迷わせてしまいます。散歩や通院など、続けてほしいことは言葉にしておきましょう。
ただ、受け取る側は遺贈を断ることもできます。例えば、こんなすれ違いが起きることも。
「遺言にあなたの名前を書いておいたからね」
「え、聞いてないよ。うちは今、動物を飼えない部屋なんだ」
遺言を書く前に、相手に一言相談しておきましょう。
負担付死因贈与は、相手と約束しておく方法
負担付死因贈与は、「自分が亡くなったら、ペットの世話を条件に財産を渡す」という契約を、生前に相手と結んでおく方法です。お互いに合意しているので、遺贈よりも断られにくいのが特徴です。
ペット信託は、お金の管理と世話を分ける方法
ペット信託は、信頼できる人に飼育費を預け、その人から世話をする人や施設に費用を払ってもらう仕組みです。お金を管理する人と、実際に世話をする人を分けられます。
『託した後、ちゃんと世話してもらえるかな…』という不安がある方に向いています。
ペットのための費用はどう見積もる?
ここが大事なところです。残す金額は、「年間の飼育費×これから世話が必要な年数」に、医療費などの予備を足して考えます。
- 今かかっている年間の飼育費(フード・消耗品・トリミングなど)を通帳や家計簿から出す
- 年齢や種類から、これから世話が必要になりそうな年数を考える
- 1と2をかけて、ふだんの飼育費の合計を出す
- 通院や介護、預け先の施設の費用などの予備を足す
- 託す相手と金額を話し合い、遺言や契約に書く
例えば、毎月の飼育費が家計簿で分かっていれば、それを12倍すると年間の飼育費になります。ざっくりでも数字にしておくと、託す相手も安心して引き受けられますよ。
お金のほかに残しておきたいもの
実は、お金と同じくらい大事なのが「世話の引き継ぎメモ」です。託された人が困るのは、ふだんの暮らし方が分からないことなんです。
- フードの種類と量、食べる時間
- かかりつけの動物病院と、続けている通院や薬
- 苦手なこと・怖がるもの・散歩の習慣
- ワクチンや登録などの記録の置き場所
- 自分に何かあった時の連絡先(財布や玄関に置くカード)
例えば、一人暮らしで急に入院した時、家にペットが残されていることを誰も知らない、ということも起こり得ます。緊急連絡先のカードを持ち歩いておくだけでも、ぐっと安心できますよ。
手続きの費用もかかります。
| 方法 | 主にかかる費用 | 注意 |
|---|---|---|
| 自筆の遺言書(自宅で保管) | 書くだけなら0円。亡くなった後に家庭裁判所の検認で収入印紙800円/通 | 見つからない・書き方の不備で無効になることがある |
| 自筆の遺言書(法務局で保管) | 保管の手数料1通3,900円 | 検認は不要 |
| 公正証書遺言 | 財産の額などで決まる公証役場の手数料 | 証人2人が要る。検認は不要 |
| 死因贈与契約・ペット信託 | 契約書の作成を専門家に頼む場合はその報酬 | 金額は依頼先ごとに違う |
世話をする人には税金がかかる?
財産を受け取った人には、相続税がかかることがあります。ポイントは2つです。
1つ目は、負担付遺贈で受け取った財産は、受け取った財産の額から負担の額を引いて評価することです。国税庁の相続税法基本通達では、負担の額はその遺贈があった時に確実と認められる金額に限るとされています。
2つ目は、2割加算です。子や配偶者でない友人・知人、兄弟姉妹が受け取ると、その人の相続税は2割増しになります。
| ケース | 相続税の扱い | 理由・注意 |
|---|---|---|
| 子が引き取って財産も受け取る | 通常どおり計算 | 遺産全体が基礎控除以内なら相続税はかからない |
| 友人が受け取る | 税額が2割増し | 相続人でないので2割加算の対象 |
| 兄弟姉妹が受け取る | 税額が2割増し | 兄弟姉妹も2割加算の対象 |
もっとも、遺産全体が基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)以内なら、相続税はかかりません。基礎控除の金額は、家族の人数別の基礎控除の早見表で確かめてみてください。
相続人ではない友人に財産を渡す、ほかの相続人の遺留分にかかりそうな金額を残す。こんなケースは、遺言の書き方と税金を合わせて専門家に見てもらうと安心です。
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わが家のケースは、相続に強い税理士に聞くのが近道
相続税がかかりそう、土地や自宅がある、相続人が多い、期限が近いといったケースでは、相続税に詳しい税理士に早めに相談すると安心です。税理士ドットコムなら、全国7,500名以上の登録税理士から相続に強い税理士を無料で紹介してもらえます。
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自分の財産がどれくらいあるかは、財産目録を自分で作る時の書き方を参考に一覧にしておくと、残す金額も決めやすくなります。
よくある質問
遺言で頼んだ人が世話をしてくれなかったら、どうなりますか?
遺言執行者を決めておくと、世話をするよう求めてもらえます。それでも果たされない時は、相続人が家庭裁判所に、その遺言の取り消しを求めることもできます。誰を遺言執行者にするかも遺言に書いておきましょう。
ペットのための財産は、いくらまで残せますか?
上限はありません。ただし、子などの相続人には遺留分があります。財産の大部分を友人に渡すと、相続人から遺留分侵害額請求を受けることがあるので、全体のバランスを考えておきましょう。
ペットが先に亡くなったら、残した財産はどうなりますか?
遺言や契約にどう書いたかで変わります。ペットが先に亡くなった場合の扱いも、あらかじめ書いておくと安心です。
まとめ
- ペットに直接財産を相続させることはできない
- 世話を条件に人へ渡す負担付遺贈・負担付死因贈与か、ペット信託を使う
- 託す相手が家族・友人・未定かで向く方法が変わる
- 残す金額は年間の飼育費×年数に予備を足して考える
- 友人や兄弟姉妹が受け取ると相続税は2割加算になる




