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兄弟と遺産の話をしていて、空気がおかしくなってきた。『これって弁護士に相談するレベル?』と迷っている方も多いはずです。
結論から言うと、相続で弁護士が必要なのは「相手との争い」がある時です。税金や登記だけなら別の専門家で足ります。どんなケースなら弁護士に頼むべきか、判定していきます。
相続で弁護士が必要なのはどんなケース?
父が亡くなり、兄が遺産の中身を見せてくれない、遺言で自分の取り分がほとんどない、話し合いが何度やってもまとまらない。こうした「相手がいる争い」のケースでは弁護士が必要です。反対に、家族全員が分け方に納得していて、税金や名義変更だけが残っているなら、弁護士は不要なことがほとんどです。
相続の専門家は、できる仕事が法律で分かれています。相手との交渉や、家庭裁判所の調停で代理人になれるのは弁護士です。
ケースごとに、弁護士が必要かを並べてみます。
| ケース | 弁護士は必要? | 理由・注意 |
|---|---|---|
| 兄弟が遺産の中身を見せてくれない | 必要性が高い | 相手と直接やり取りするほどこじれやすい。代理人を立てると話が進むことも |
| 遺言で自分の取り分がほとんどない | 必要性が高い | 遺留分を請求できる場合がある。知った時から1年で消える |
| 何度話しても分け方がまとまらない | 必要性が高い | 調停・審判へ進む時に代理人を頼める |
| 相手に弁護士がついた | 必要性が高い | 法律の知識の差がそのまま結果に響きやすい |
| 全員が分け方に納得している | 基本は不要 | 税金は税理士、登記は司法書士、書類は行政書士で足りる |
| 借金が多く相続放棄したい | 相談すると安心 | 3か月の期限があり、財産に手をつけると放棄できなくなることがある |

『身内のことで弁護士に頼むなんて、角が立ちそう』と感じますよね。ただ、当事者どうしで言い合うより、間に第三者が入るほうが冷静に話せることも多いんです。
反対に、全員の意見がそろっているのに弁護士に頼むと、費用だけがかさむことも。分け方が決まっているなら、遺産分割協議書は行政書士、名義変更は司法書士、相続税の申告は税理士に頼めば十分です。
税金や名義の悩みも含めた相談先の全体像は、相続の相談先は悩みで変わるで紹介しています。
遺言の内容に納得できない時は?
「全財産を長男に相続させる」。そんな遺言が出てきたら、ほかの子は何も受け取れないのでしょうか。
実は、兄弟姉妹以外の相続人には遺留分という最低限の取り分があります。全体の遺留分は財産の1/2(親など直系尊属だけが相続人なら1/3)で、それを法定相続分で分けます。
例えば、父が亡くなり(母は先に他界)、子2人が相続人のケースで、遺産6,000万円を「すべて長男に」という遺言があったとします。
| ケース | 次男の遺留分 | 理由・注意 |
|---|---|---|
| 相続人が子2人、遺産6,000万円 | 6,000万円×1/2×1/2=1,500万円 | 全体の遺留分1/2を、法定相続分1/2で分ける |
| 相続人が子3人、遺産6,000万円 | 6,000万円×1/2×1/3=1,000万円 | 子の人数が増えると1人分は減る |
| 相続人が兄弟姉妹だけ | 遺留分なし | 兄弟姉妹には遺留分が認められていない |
遺留分は、2019年7月1日以降の相続ではお金で請求する形になりました。家や土地そのものを分けてもらうのではなく、侵害された額を払ってもらう請求です。
ここが大事なところです。遺留分侵害額請求は、相続の開始と侵害を知った時から1年、相続開始から10年で消えてしまいます。『もう少し様子を見よう』と思っているうちに期限が過ぎることもあるので、早めに弁護士へ相談してみてください。
請求の書面の作り方は、相続人どうしの関係で変わります。まずは弁護士に事情を話してから決めると、言葉選びで相手を刺激せずに済みます。
話し合いがまとまらない時、弁護士は何をしてくれる?
遺産分割の話し合いは、相続人全員の合意がないと成立しません。1人でも反対していると、預金の解約も不動産の名義変更も止まってしまいます。
「介護してきたのは私なんだから、多めにもらってもいいよね」
「それは親子なんだから当たり前でしょ」
こんなやり取りが続くと、感情の問題になりがちです。弁護士は、次のような場面で動いてくれます。
- 相手との交渉を代わりに引き受ける
- 介護の貢献(寄与分)や生前の援助(特別受益)を、法律の考え方に沿って主張する
- 家庭裁判所の調停で代理人として出席する
- 調停でまとまらない時、審判の手続きに対応する
ただし、2023年4月1日施行の改正民法で、相続開始から10年を過ぎると、特別受益や寄与分を原則として主張できなくなりました。話し合いを長く放っておくと、言えたはずのことが言えなくなることも。
長男の妻が介護してきたケースは?
『義父の介護をずっとしてきたのに、私は相続人じゃないから何ももらえないの?』という声もよく聞きます。長男の妻のように相続人でない親族でも、介護などで貢献していれば「特別寄与料」を請求できる制度があります。
ただし期限がとても短く、相続の開始と相続人を知った時から6か月、相続開始から1年以内です。請求先は相続人なので、家族の中で切り出しにくい時こそ弁護士に間に入ってもらうと話しやすくなります。
もめていても相続税の期限は止まらない
もめている家で見落としやすいのが、相続税の申告期限です。分け方が決まっていなくても、亡くなった日の翌日から10か月の期限は動いています。
期限までにまとまらない時は、法定相続分で仮に申告し、「申告期限後3年以内の分割見込書」を出しておきます。分け方が決まった後で、配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例を受けられるようにするためです。
分け方の争いは弁護士、申告は税理士と、役目を分けて同時に進めるのがポイントです。財産に土地がある、相続人が多いといったケースは、争いが長引く前に税理士にも声をかけておくと期限に追われずに済みます。
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わが家のケースは、相続に強い税理士に聞くのが近道
相続税がかかりそう、土地や自宅がある、相続人が多い、期限が近いといったケースでは、相続税に詳しい税理士に早めに相談すると安心です。税理士ドットコムなら、全国7,500名以上の登録税理士から相続に強い税理士を無料で紹介してもらえます。
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弁護士に相談する前に、確認しておきたいこと
いきなり事務所に行くのは不安、という方は、無料の窓口から始めてみるのもおすすめです。市区町村の無料相談では、弁護士が交代で相談を受けています。法テラスでも法律相談ができますが、収入などの要件があります。
相談の時間を有効に使うために、次の物をそろえておきましょう。
- 家族の関係が分かるメモ(手書きの家系図でもよい)
- 分かる範囲の財産の一覧(通帳、固定資産税の通知書など)
- 遺言書があれば、そのコピー
- 相手とのやり取りの記録(手紙、メール、メッセージ)
- 亡くなった日と、遺言の内容を知った日
弁護士を選ぶ時は、相続の案件を扱っているか、費用の説明がはっきりしているかを確かめてください。最初の相談先に迷う段階なら、相続の相談はまず誰に聞く?も参考になります。
よくある質問
相続の弁護士相談は無料でできる?
市区町村の無料相談や、法テラスの法律相談(収入などの要件あり)で無料相談ができます。初回相談を無料にしている事務所もあるので、予約の時に確認してみてください。
相手に弁護士がついたら、こちらも頼むべき?
頼んだほうが安心です。法律の知識の差が、そのまま分け方の結果に響きやすいからです。
弁護士に頼むと、家族関係が完全に壊れない?
代理人を立てても、話し合いで解決することは多いです。感情的な言い合いを避けられるので、かえって関係を保ちやすいこともあります。
まとめ
- 相続で弁護士が必要なのは、遺産を見せない・遺言に不満・話し合いがまとまらないなど「相手がいる争い」のケース
- 全員が納得しているなら、税金は税理士、登記は司法書士で足りる
- 子2人で遺産6,000万円を全部長男にという遺言なら、次男の遺留分は1,500万円
- 遺留分は知った時から1年、特別受益・寄与分は相続開始から10年が区切り
- もめていても相続税の申告期限10か月は止まらない




