使い道のない原野や山林を相続してしまった時に手放す方法の比較|土地と財産のケース別

使い道のない原野や山林を相続した時に手放す方法をケース別に比較する記事のアイキャッチ

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親の財産を調べていたら、行ったこともない地方の原野や山林が出てきた。使い道もないし、管理もできない。正直いらない、と思うのは当然ですよね。

結論から言うと、いらない土地だけを相続放棄することはできません。手放す方法は、売る・寄付する・国に引き取ってもらう・すべてを相続放棄する、の4つが中心で、土地の種類とほかの財産しだいで合う方法が変わります。

この記事を読めば、4つの方法の費用と条件の違い、自分のケースではどれから試せばいいかが分かります。

目次

いらない原野や山林、相続放棄だけで手放せる?

このケースではこうなる

例えば、父が亡くなり、子2人が実家・預貯金と、遠方の山林と原野を相続するケースです。山林や原野だけを放棄することはできず、放棄するなら実家も預貯金も手放すことになります。ほかの財産を相続するなら、いったん相続して、売る・寄付する・国庫帰属制度を使うといった方法で手放すのが現実的です。

『いらない土地なんだから、放棄すれば済むのでは?』と考える方も多いはずです。ただ、相続放棄は全部か、何もしないかのどちらかしか選べない手続きなんです。

相続した山林は、面積にかかわらず、所有者になった日から90日以内に市町村へ「森林の土地の所有者届出」を出す必要があります(林野庁 森林の土地の所有者届出制度)。相続登記も、取得を知った日から3年以内に必要です。

いらないと思っていても、相続した以上はこの2つの手続きが先に来ます。手放す方法を考えるのは、そのあとでも間に合いますよ。

手放す4つの方法を比べる

原野や山林を手放す方法を、費用と条件で並べるとこうなります。

方法費用条件・注意
売る(隣の所有者・地元の業者など)仲介手数料・登記費用など買い手がいれば負担は軽くて済む。原野は買い手がつきにくい
寄付する(自治体・隣地の所有者など)登記費用など自治体は使い道がない土地を受け取らないことが多い
相続土地国庫帰属制度審査手数料1筆14,000円+負担金建物・担保権がある土地などは申請できない。審査がある
相続放棄(すべての財産)収入印紙800円+郵便切手など3か月以内。預貯金や実家もすべて手放す
原野や山林を手放す4つの方法を、費用と条件で比べたケース別の比較表

ここが大事なところです。上から順に試していくと、費用の負担を抑えやすくなります。相続放棄は、ほかの財産を合わせて考えた時に「全部手放した方がいい」ケースだけの選択肢です。

売る・寄付する時の相手

買い手や引き取り手になりやすいのは、次のような人たちです。

  • 隣の土地の所有者(境界を広げたい人)
  • 地元の林業事業者や森林組合とつながりのある人
  • 原野や山林の売買を扱う地元の不動産会社
  • 隣地の所有者への無償での譲渡(贈与)

「山林を手放したいんですが、引き取ってくれる人はいますか?」
「まずは隣の山の持ち主さんに声をかけてみるのが早いですよ」

地方の土地は、こうした地元のつながりで話がまとまることが多いんです。ただし、ただで譲る時も、もらった側には贈与税がかかることがある点は伝えておきましょう。

国庫帰属制度を使う時の費用と条件

2023年4月27日から始まった相続土地国庫帰属制度は、相続した土地を国に引き取ってもらえる制度です。原野も山林も対象になりえます。

審査手数料は土地1筆14,000円です。承認されると、10年分の管理費用をもとに決められた負担金を納めます。負担金は原則20万円ですが、森林(山林)は面積に応じて算定されるので、広い山林ほど高くなります。

隣り合った同じ種類の土地が2筆以上ある時は、まとめて1筆分の負担金で申請できる特例もあります(法務省 負担金の算定)。

申請できない・承認されない土地

『どんな土地でも引き取ってもらえるの?』と思いますよね。実は、条件がかなり細かく決められています。

国庫帰属を申請する前に確認したいこと
  • 建物が建っていないか
  • 抵当権などの担保権が付いていないか
  • 通路など、ほかの人が使っている土地ではないか
  • 隣との境界がはっきりしているか、争いがないか
  • 崖や放置された車など、管理に手間がかかる物がないか

境界が分からない山林は、そのままだと承認されにくいんです。共有の土地は、共有者全員で申請する必要があります。共有になっている時の考え方は、共有持分だけを相続した時の選択肢で見ています。

原野か山林か、財産があるかでケースが分かれる

自分のケースに近いものを見てみてください。

ケース向いている方法理由・注意
実家や預貯金もあり、原野が1か所だけ相続して、売る・寄付・国庫帰属の順で試す放棄すると大事な財産まで手放してしまう
実家や預貯金もあり、広い山林がある隣地や林業関係者に売る道を先に探す国庫帰属の負担金は面積で増える
財産は山林や原野ばかりで、借金もある相続放棄を検討3か月以内に家庭裁判所へ申述する
相続人が多く、誰が引き取るか決まらない1人がまとめて相続し、手放す手続きを進める共有にすると、売る時も国庫帰属も全員の協力が要る

『とりあえず持っておけば、そのうち何とかなる』と思いたくなりますよね。ただ、持ち続ける間は固定資産税や草刈りなどの負担が続き、次の相続で子の世代に同じ悩みが回ってきます。

相続放棄を選ぶ時に気をつけたいこと

相続放棄をすると、初めから相続人でなかったことになり、次の順位の人に相続の権利が移ります。子が全員放棄すれば、親の兄弟姉妹などが相続人になるので、親戚には先に伝えておきましょう。

放棄したあとも、その時に実際に使っている財産は、次の相続人などに引き渡すまで保存する義務があります(2023年4月1日施行の改正)。行ったこともない山林なら、この負担がかかることは少ないはずです。

相続税ではどう扱われる?

原野や山林も相続財産に入ります。評価は、路線価がない地域なら固定資産税評価額に倍率をかける倍率方式が基本です。

使い道がない土地でも、評価額がつけば相続税の計算に入ります。ほかの財産と合わせて、基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超えるかを確かめてみてください。人数ごとの金額は基礎控除の早見表にまとめています。

実家や預貯金に加えて地方の山林もあり、評価の仕方が分からない。放棄するか相続して手放すかを税金面からも比べたい。そんなケースは、土地評価に慣れた税理士に相談しておくと楽になります。申告期限は、亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内です。

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わが家のケースは、相続に強い税理士に聞くのが近道

相続税がかかりそう、土地や自宅がある、相続人が多い、期限が近いといったケースでは、相続税に詳しい税理士に早めに相談すると安心です。税理士ドットコムなら、全国7,500名以上の登録税理士から相続に強い税理士を無料で紹介してもらえます。

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ほかの不動産も含めた全体の進め方は、不動産を相続したら何から始める?ケース別にやることで見ています。

よくある質問

原野や山林だけを相続放棄できますか?

できません。相続放棄は、預貯金や実家を含めたすべての財産を手放す手続きです。原野や山林だけを手放したい時は、相続してから売る・寄付する・国庫帰属制度を使う方法を考えましょう。

山林を相続したら、何か届出は要りますか?

所有者になった日から90日以内に、市町村へ森林の土地の所有者届出が必要です。面積に関係なく対象です。あわせて、3年以内の相続登記も忘れずにしておきましょう。

国庫帰属制度の費用はいくらかかりますか?

審査手数料が土地1筆14,000円、承認後に負担金を納めます。負担金は原則20万円で、森林(山林)は面積に応じて算定されます。

まとめ

この記事の要点
  • 原野や山林だけを相続放棄することはできない
  • 手放す方法は、売る・寄付する・国庫帰属制度・すべてを相続放棄の4つ
  • 国庫帰属は1筆14,000円の審査手数料と負担金。山林の負担金は面積で増える
  • 建物や担保権がある土地、境界が分からない土地は国庫帰属が難しい
  • 山林を相続したら90日以内の所有者届出と、3年以内の相続登記が必要
相続ケース案内

相続ケース案内 編集部

家族構成や財産の状況ごとに、相続・相続税がどうなるかを公的機関の公開情報をもとに解説しています。 公式サイト

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