自分の家の相続を1枚で見える化する、相続の全体図の作り方

家族と財産を1枚にまとめる相続の全体図の作り方を解説する記事のアイキャッチ

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相続のことを調べ始めたものの、話が多すぎて頭の中がごちゃごちゃ。そんな状態の方も多いはずです。

結論から言うと、自分の家の相続は「家族」「財産」「期限」「分け方」の4つを1枚の紙に書くと、一気に見えるようになります。この記事では、全体図の作り方と、ケースごとに図がどう変わるかを見ていきます。

目次

相続の全体図って、何を書けばいいの?

このケースではこうなる

相続の全体図は、①誰が相続人か(家系図)、②財産と借金の一覧、③期限、④誰が何を受け取るか、の4つを1枚にまとめたものです。書いてみると、相続税がかかりそうか、話し合いが必要か、登記が要るかが一目で分かります。

『全体図なんて、専門家が作るものじゃないの?』と思いますよね。実は、自分用ならA4の紙1枚で十分なんです。

きれいに作る必要はありません。家族で同じものを見ながら話せれば、それで十分役に立ちます。

全体図は、次の4つのブロックで作ります。

ブロック書くこと何が分かるか
①家族(家系図)亡くなった人、配偶者、子、親、兄弟姉妹相続人は誰で、何人か
②財産の一覧預金、自宅の土地と建物、株、保険、借金遺産の合計と、基礎控除を超えるか
③期限3か月、4か月、10か月、3年いつまでに何をするか
④分け方誰が何を受け取るか話し合いの論点

全体図を作る手順

ここからは、実際に書く順番です。①から順に埋めていくと、後のブロックが書きやすくなります。

相続の全体図の作り方
  1. 紙の上半分に家系図を書く。亡くなった人を中心に、配偶者、子(亡くなっていれば孫)、親、兄弟姉妹を線でつなぐ
  2. 相続人になる人に丸をつけ、法定相続分を書き込む
  3. 紙の下半分に財産の一覧表を書く。プラスの財産とマイナスの財産(借金・未払いの税金・葬式費用)を分ける
  4. 合計から基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を引いて、相続税がかかりそうかを書く
  5. 余白に期限を書く(放棄3か月、準確定申告4か月、相続税10か月、相続登記3年)
  6. 最後に「誰が何を受け取りたいか」を家族ごとに書き込む

家系図で迷いやすいのが、相続人の範囲です。配偶者は常に相続人で、子がいれば子、いなければ親、親もいなければ兄弟姉妹が加わります。

前の結婚の子や養子も相続人になります。家系図を書く前に、戸籍で確かめておきましょう。

家族の形ごとの家系図の例は、法定相続人の家族図10パターンで確認できます。

ケース1: 夫が亡くなり、妻と子2人。自宅と預金で6,000万円

よくある家族の形で、全体図を作ってみます。

ブロック書き込む内容
①家族相続人は妻・長男・長女の3人。法定相続分は妻2分の1、子4分の1ずつ
②財産課税価格の合計6,000万円(自宅の土地・建物と預金。借金と葬式費用を引いた後)
③期限相続税がかかるので10か月以内に申告。自宅を相続したら3年以内に登記
④分け方妻が自宅に住み続けたい。預金をどう分けるかが論点
妻と子2人のケースで、家系図・財産・期限・分け方を1枚にまとめた相続の全体図の見本

ブロック②まで書けたら、相続税を計算してみます。法定相続分どおりに分けた場合です。

計算の段階金額
課税価格の合計6,000万円
基礎控除(相続人3人)4,800万円
課税遺産総額1,200万円
相続税の総額120万円
各人の納付額妻0円・子30万円ずつ

妻の分は配偶者の税額軽減で0円です。ただ、軽減を受けるには申告が要ります。

自宅の土地に小規模宅地等の特例が使えると、さらに税額が下がることもあります。使えるかどうかは、同居の有無などの要件しだいなので税理士に確認しておきましょう。

ケース2: 子のいない夫婦で夫が亡くなった。財産は同じ6,000万円

次は、子のいない夫婦で夫が亡くなり、夫の両親はすでに亡くなっているケースです。夫には兄弟が2人います。

『子どもがいないなら、全部妻のものになるんでしょ?』と思っている方は多いはずです。実はそうではありません。

このケースでは、妻と夫の兄弟2人が相続人になります。法定相続分は、妻が4分の3、兄弟が8分の1ずつです。

計算の段階金額
課税価格の合計6,000万円
基礎控除(相続人3人)4,800万円
課税遺産総額1,200万円
相続税の総額120万円
各人の納付額妻0円・兄弟18万円ずつ(2割加算)

兄弟姉妹は2割加算の対象なので、税額が2割増しになります。

2つのケースを並べると何が見える?

全体図を並べると、同じ6,000万円でも気を付けるところが違うのが分かりますよね。

項目ケース1(妻と子2人)ケース2(妻と夫の兄弟2人)
妻の法定相続分2分の14分の3
相続税の納付額の合計60万円36万円
2割加算なし兄弟にかかる
遺留分子にある兄弟姉妹にはない
話し合いの相手自分の子夫の兄弟(疎遠なこともある)
遺産6,000万円を妻と子2人で相続する場合と、妻と夫の兄弟2人で相続する場合の家系図を並べた図

ケース2では、妻が夫の兄弟と遺産分割の話し合いをすることになります。例えば、こんなやりとりになることもあります。

「家は私がこのまま住みたいんです」「でも、兄の財産なら私たちにも権利があるよね」

兄弟姉妹には遺留分がないので、夫が「全財産を妻に」と遺言を残していれば、話し合いをしなくて済むケースです。全体図を作る時は、遺言書があるかどうかも書き添えておきましょう。

相続整理シートを作る時のコツ

全体図とは別に、財産の細かい一覧(相続整理シート)を作っておくと、手続きのたびに役立ちます。

相続整理シートに入れておきたい項目
  • 預金は、銀行名・支店・口座の種類と、亡くなった日の残高
  • 土地と建物は、所在地と固定資産税評価額(毎年届く納税通知書で確認)
  • 株や投資信託は、証券会社名と銘柄
  • 生命保険は、保険会社・受取人・金額(500万円×法定相続人の数の非課税枠がある)
  • 借金・ローン・未払いの税金、葬式費用の領収書
  • 家族名義でも、実際は亡くなった人のお金で作った預金(名義預金)がないか

名義預金は見落としやすいところです。家族名義の通帳でも、中身が亡くなった人のお金なら相続財産になります。

全体図とシートができたら、それを持って家族会議を開いてみてください。図があると、話がそれにくくなります。

相続の流れ全体の中で、この全体図をいつ使うかは、亡くなった日から遺産を分けるまでの流れで確かめられます。

書いてみて、財産が基礎控除を超えそうな家や、土地が複数ある家、相続人に疎遠な兄弟がいる家は、全体図を持って税理士に相談すると話が早く進みます。

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よくある質問

相続の全体図は、亡くなる前に作ってもいいですか?

もちろん作れます。家族の形と財産を早めに書き出しておくと、遺言書を作るか、生前贈与をするかなどを考える材料になります。財産の額は変わるので、年に1回など見直しておきましょう。

財産の金額が分からないところは、どう書けばいいですか?

空欄のままで大丈夫です。土地は固定資産税の納税通知書の評価額、預金は通帳の残高など、分かるものから埋めていきましょう。正確な評価は、相続税の申告の時に改めて行います。

全体図は家族全員に見せたほうがいいですか?

相続人になる人には共有しておくと、話し合いがスムーズです。ただ、まだ亡くなる前の段階なら、本人の気持ちを第一にして、見せる範囲を相談して決めましょう。

まとめ

この記事の要点
  • 相続の全体図は、家族・財産・期限・分け方の4ブロックを1枚にまとめる
  • 家系図から書き、相続人と法定相続分を先に確定させる
  • 妻と子2人で6,000万円なら納付額は合計60万円、子のいない夫婦で妻と夫の兄弟2人なら合計36万円(法定相続分どおり)
  • 子のいない夫婦では夫の兄弟も相続人になり、2割加算がかかる
  • 財産の細かい一覧は相続整理シートとして別に作っておくと手続きで使える
相続ケース案内

相続ケース案内 編集部

家族構成や財産の状況ごとに、相続・相続税がどうなるかを公的機関の公開情報をもとに解説しています。 公式サイト

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