相続人に未成年の子どもがいる時の手続きと特別代理人

相続人に未成年の子どもがいる時の手続きと特別代理人を解説する記事のアイキャッチ

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夫が亡くなり、相続人は自分とまだ小さい子どもたち。『子どもの分は母親の私が代わりにハンコを押せばいいのよね?』と考えている方は多いはずです。

結論から言うと、母と未成年の子が一緒に相続人になる時、遺産分割協議で母が子の代わりをすることはできません。家庭裁判所で子のための特別代理人を選んでもらう必要があります。

この記事では、どんな時に特別代理人が要るのか、手続きの順番と相続税の目安をケース別に確認できます。

目次

母と未成年の子が相続人だと、なぜ特別代理人が要るの?

このケースの結論

夫が亡くなり、妻と18歳未満の子が相続人なら、遺産分割協議には子1人につき1人の特別代理人が必要です。母は自分も相続人なので、子の代わりに協議すると利害がぶつかる(利益相反)からです。申立ては子の住所地の家庭裁判所に、子1人につき収入印紙800円で行います。

親権者は、ふだん子の財産を管理し、子の代わりに契約などをします。ただ、遺産分割では母の取り分が増えると子の取り分が減ります。

これが利益相反です。民法では、親権者と子の利益が相反する行為をする時は、子のために特別代理人の選任を家庭裁判所に請求しなければならないと決まっています。

『家族なんだから、子どもの損になるようなことはしないのに…』と思いますよね。気持ちの問題ではなく、立場がぶつかるかどうかで決まる、と考えておくと分かりやすいです。

ケース特別代理人は要る?理由・注意
妻と未成年の子1人が相続人要る(1人)母と子の利益が相反する
妻と未成年の子2人が相続人要る(子ごとに1人ずつ、計2人)子同士の利益も相反するので、1人の代理人が2人分は兼ねられない
妻と、すでに18歳になった子要らない18歳で成年。子が自分で協議に加わる
母は相続人でなく、未成年の子1人だけが相続人要らない母と子の利害がぶつからない(例: 離婚した元夫の相続)
母は相続人でなく、未成年の子2人が相続人要ることがある母が2人を代理すると子同士で利害がぶつかる

成年は18歳です。協議の時点で子が18歳になっていれば、子は自分で協議に参加して署名できます。

母と未成年の子2人の家系図で、子ごとに特別代理人が1人ずつ必要になることと、18歳以上の子なら不要なことを示したケース別の分岐表

母が相続人でないケースは、離婚した元夫が亡くなった時などです。詳しくは元夫が亡くなったら子どもは相続人になる?で確認できます。

特別代理人の選任はどう進める?

特別代理人は、家庭裁判所が選びます。申立ての時に候補者を挙げることができ、相続に関係しない親族などを候補にするケースがよく見られます。

特別代理人を選んでもらうまでの流れ
  1. 戸籍を集めて相続人を確定させ、遺産の一覧を作る
  2. 遺産分割協議書の案を作る(誰が何を取得するか)
  3. 特別代理人の候補者を決めて、引き受けてもらう
  4. 子の住所地の家庭裁判所に申し立てる(子1人につき収入印紙800円と郵便切手)
  5. 選任されたら、特別代理人が子の代わりに協議書に署名押印する
  6. 協議書を使って、預金の解約や相続登記を進める

申立てには、申立書のほかに子と親権者の戸籍謄本、候補者の住民票(または戸籍附票)、遺産分割協議書の案などをつけます。

ここが大事なところです。協議書の案は申立ての時点で出すので、先に分け方を決めておく必要があります。

子の取り分が極端に少ない案だと、家庭裁判所から理由の説明を求められることがあります。母が自宅を取得して子を育てる、という事情がある時は、その理由を申立書に書いておきましょう。

例えば、候補者にお願いする時はこんな伝え方ができます。

「子どもの相続の手続きで、特別代理人をお願いできないかな。協議書の案はもうできていて、署名をお願いする形になるんだけど」
「家庭裁判所から書類が届くことがあるから、その時は連絡してね」

未成年の子がいる時、相続税はいくらになる?

未成年の子には、相続税の未成年者控除があります。計算は「18歳から相続した時の年齢を引いた年数×10万円」です。

ここでは、例えば、夫の遺産が8,000万円で、妻と子2人(10歳と15歳)が相続するケースで比べます。

ケース相続税の総額妻の納付額子(10歳)の納付額子(15歳)の納付額
法定相続分どおり(妻4,000万円、子2,000万円ずつ)350万円0円87万5,000円から80万円を引いて7万5,000円87万5,000円から30万円を引いて57万5,000円
妻が多め(妻6,000万円、子1,000万円ずつ)350万円0円43万7,500円から80万円を引いて0円43万7,500円から30万円を引いて13万7,500円

基礎控除は3,000万円+600万円×3人で4,800万円。8,000万円から引いた3,200万円に税金がかかり、総額は350万円です。

妻は配偶者の税額軽減で0円になります。ただ、軽減を使う時は税額が0円でも申告が必要です。

『それなら妻が全部取ったほうが得?』と思いますよね。ただ、妻が多く取得するほど、次に妻が亡くなった時の子の相続税が重くなることもあります。二次相続まで考えて分け方を決めるのが安心です。

協議しないで済む方法はある?

特別代理人の手続きが負担な時に、ほかの方法がないか気になりますよね。いくつか選択肢があります。

  • 遺言があれば、遺言どおりに分けるので遺産分割協議そのものが要らない
  • 子が18歳になるのを待ってから協議する(遺産分割に法律上の期限はない)
  • 法定相続分どおりに相続登記をする(ただし共有になり、後で売る時などに全員の関与が要る)

待つ方法には注意点があります。相続税の申告は、亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内で、協議を待っても延びません。

協議が終わらないまま申告する時は、法定相続分で分けたと仮定して申告し、「申告期限後3年以内の分割見込書」を出しておくと、分けた後で配偶者の税額軽減などを受け直せます。また、相続開始から10年を過ぎると、特別受益や寄与分を主張できなくなる点も覚えておきましょう。

子だけ相続放棄させたい時も注意

借金が多くて子に相続放棄させたい時も、母が相続人のままなら利益相反にあたることがあります。放棄の期限は相続の開始を知った時から3か月以内なので、迷ったら早めに家庭裁判所へ確認してみてください。

兄弟の誰かが連絡を取れない時の進め方は兄弟が行方不明のまま相続が始まった時の進め方でまとめています。

未成年の子がいる相続は誰に頼む?

特別代理人の申立ては自分でもできますが、協議書の案づくりと税金の計算は同時に進める必要があります。

  • 分け方や協議書の案、家庭裁判所への申立てを相談したい時は弁護士や司法書士
  • 相続税の計算、未成年者控除や配偶者の税額軽減を入れた申告は税理士
  • 自宅の相続登記は司法書士

遺産が基礎控除を超えそう、自宅の土地がある、10か月の期限までに協議書の案を固めたい、というケースは税理士に頼むと楽です。分け方ごとの税額が出ると、協議書の案も決めやすくなります。

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相続税がかかりそう、土地や自宅がある、相続人が多い、期限が近いといったケースでは、相続税に詳しい税理士に早めに相談すると安心です。税理士ドットコムなら、全国7,500名以上の登録税理士から相続に強い税理士を無料で紹介してもらえます。

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よくある質問

特別代理人には誰でもなれますか?

相続に関係しない人を候補者にします。家庭裁判所が適任かどうかを判断して選任するので、候補者がそのまま選ばれるとは限りません。親族に適任者がいない時は、弁護士などの専門家が選ばれることもあります。

子どもが生まれる前に夫が亡くなった場合、お腹の子も相続人ですか?

民法では、胎児は相続についてはすでに生まれたものとみなされます。生まれてから相続人として扱うのが一般的なので、遺産分割協議は出生後に行うのが安心です。

子どもの名義の預金は母が管理してもいいですか?

子が相続した預金は、成年になるまで親権者が管理します。ただし、子の財産なので母の生活費に使うのは控えましょう。

まとめ

この記事の要点
  • 妻と未成年の子が相続人なら、遺産分割協議には子1人につき1人の特別代理人が要る
  • 申立ては子の住所地の家庭裁判所に、子1人につき収入印紙800円。協議書の案も一緒に出す
  • 18歳になった子は自分で協議に加われるので、特別代理人は要らない
  • 遺産8,000万円・妻と子2人なら相続税の総額は350万円。未成年者控除で子の納付額が減る
  • 協議を待っても申告期限の10か月は延びない。分割見込書で後から特例を受け直せる
相続ケース案内

相続ケース案内 編集部

家族構成や財産の状況ごとに、相続・相続税がどうなるかを公的機関の公開情報をもとに解説しています。 公式サイト

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