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親がネット証券で株や投資信託を持っていたと分かった。でも、何から始めればいいのか、銀行と同じように解約すればいいのか、分かりにくいですよね。
結論から言うと、ネット証券は「解約して現金を受け取る」のではなく、相続人の口座へ株や投資信託をそのまま移すのが基本です。売るかどうかは、移した後に相続人が決めます。
この記事を読めば、自分の家がどのケースに当たり、どの順番で書類をそろえればいいかが分かります。
ネット証券の口座、家族が亡くなったら何をする?
例えば、父が亡くなり、母と子2人が相続するケースです。ネット証券に死亡を連絡すると口座の取引は止まります。株を受け継ぐ人が同じ証券会社に自分の口座(相続人口座)を作り、遺産分割の内容に沿って株や投資信託をその口座へ移します。現金で分けたい場合も、いったん移してから売るのが一般的な流れです。
銀行の預金なら、払い戻して相続人の口座へ振り込めば終わりです。ところが株や投資信託は「物」として相続人の口座へ移す(移管する)形になるんです。
『全部売ってから現金で分けたほうが簡単じゃない?』と思う方も多いはずです。ただ、亡くなった人の口座のままでは、相続人が売り注文を出すことはできません。
そのため、受け継ぐ人が同じ証券会社に口座を持っていない時は、まず口座を作るところから始めます。ネット証券は窓口がないので、やりとりは電話・Web・郵送が中心です。
株を残す?売る?ケースで変わる進め方
ネット証券の相続は、株を持ち続けたいか、売って分けたいかで、その後の動き方が変わります。相続人の数や関係でも違ってきます。
| ケース | 進め方 | 理由・注意 |
|---|---|---|
| 1人がまとめて受け継ぎ、そのまま持ち続ける | 受け継ぐ人の相続人口座へ全部移す | いちばんシンプル。売る時の税金の計算は、親が買った時の値段を引き継ぐ |
| 兄弟で株を分けて受け継ぐ | それぞれが相続人口座を作り、銘柄や株数ごとに移す | 株数の割り振りを遺産分割協議書に書いておく |
| 売って現金で分けたい | 代表者の口座へ移してから売り、代金を分ける | 売った利益には所得税がかかる。代表者が受け取った代金を分ける時の扱いは協議書に明記を |
| 遺産分割がまとまらない | 移管はできず、口座は止まったまま | 株価が下がっても売れない。話し合いを早めに進めたい |
ここが大事なところです。遺産分割がまとまらないと、株価が動いても誰も売買できません。
「株価が下がってきたから、早く売りたいんだけど」
「でも、まだ誰が何を相続するか決まってないよね」
こんなやりとりで時間ばかり過ぎるケースも少なくありません。株が多い家ほど、分け方の話し合いを先に進めておきたいところです。
売る時に知っておきたい税金のこと
相続した株を売った時は、利益(売った値段から取得費を引いた額)に所得税などがかかります。取得費は、亡くなった親が買った時の値段を引き継ぎます。
相続税を納めた人が、相続税の申告期限の翌日から3年以内に売った場合は、取得費加算の特例を使えることがあります。払った相続税の一部を取得費に足せるので、売った時の税金が軽くなる仕組みです。要件を満たすかは税理士に確認してみてください。
手続きの流れと必要書類
ネット証券ごとに細かな書式は違いますが、流れはおおむね共通しています。
- 証券会社の相続窓口に、口座の名義人が亡くなったことを電話かWebで連絡する
- 相続手続きの書類一式と、相続開始日の残高証明書の請求書が郵送で届く
- 株や投資信託を受け継ぐ人が、同じ証券会社に相続人口座を開く
- 戸籍謄本、遺産分割協議書、印鑑証明書などをそろえて返送する
- 相続人口座へ株や投資信託が移り、亡くなった人の口座は閉じられる
必要書類は、亡くなった人の出生から死亡までの戸籍、相続人全員の戸籍と印鑑証明書、遺産分割協議書(または遺言書)が中心です。法務局で無料でもらえる「法定相続情報一覧図の写し」を使えば、戸籍の束を何度も集め直さずに済みます。
『相続人口座を作るのに、また本人確認書類やマイナンバーを出すの?』と思いますよね。証券口座は税金の計算に関わるため、新しく口座を作る時は相続人自身の本人確認やマイナンバーの提出が求められます。
NISA口座があった場合
亡くなった人がNISA口座で株や投資信託を持っていた時は、移し先や手続きが通常の口座と少し違います。相続人のNISA口座へそのまま移すことはできないとされているので、どの口座へ移すかを証券会社に確認しておきましょう。
相続税ではいくらで計算する?
『株価は毎日変わるのに、どの日の値段で計算するの?』と迷いますよね。相続税では、いつの値段で計算するかが決まっています。
上場株式は、次の4つのうち最も低い価格で評価します。
- 亡くなった日の終値
- 亡くなった月の終値の平均
- その前月の終値の平均
- その前々月の終値の平均
例えば、ある銘柄を1,000株持っていたケースで見てみます。
| 基準 | 1株の価格 | 1,000株の評価額 |
|---|---|---|
| 亡くなった日の終値 | 1,200円 | 120万円 |
| 亡くなった月の終値の平均 | 1,150円 | 115万円 |
| 前月の終値の平均 | 1,100円 | 110万円 |
| 前々月の終値の平均 | 1,180円 | 118万円 |
このケースでは、いちばん低い前月の平均1,100円を使い、評価額は110万円になります。亡くなった日の終値で計算するより、10万円低くなる計算です。

投資信託は、亡くなった日に解約したとした場合に受け取れる金額をもとに評価します(基準価額から解約時の費用などを差し引いて計算)。こうした数字は、証券会社に相続開始日の残高証明書を頼むと、評価に使う資料を出してもらえることがあります。
銘柄が多い、海外の株もある、ほかの財産と合わせると基礎控除を超えそう。そんなケースは、評価の計算から申告まで税理士に頼むと楽になります。相続税の申告期限は、亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内です。
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わが家のケースは、相続に強い税理士に聞くのが近道
相続税がかかりそう、土地や自宅がある、相続人が多い、期限が近いといったケースでは、相続税に詳しい税理士に早めに相談すると安心です。税理士ドットコムなら、全国7,500名以上の登録税理士から相続に強い税理士を無料で紹介してもらえます。
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基礎控除が家族の人数でいくらになるかは、相続人1人〜5人のケース別早見表で確認できます。
証券口座が見つからない・ほかにもありそうな時
ネット証券は、郵送物が少なく、家族が気づきにくい財産です。手がかりになるのは次のような物です。
- 銀行の通帳にある証券会社への入金や、証券会社からの出金の記録
- 年に1回届く取引報告書や、特定口座の年間取引報告書
- 確定申告の控えに書かれた配当や譲渡の記録
ネット証券は、ネット銀行と連携して使われていることもよくあります。銀行側の調べ方は、ネット銀行の口座がある家族が亡くなった時の調べ方と解約で詳しく見ています。
海外の証券会社に口座があった場合は、手続きの流れがかなり変わります。その時は海外の証券口座がある家族が亡くなった時の相続の進め方を参考にしてみてください。
よくある質問
ネット証券の口座を相続するには、同じ証券会社に口座を作る必要がありますか?
基本的には必要です。株や投資信託は相続人の口座へそのまま移すので、受け継ぐ人が同じ証券会社に相続人口座を作ります。移した後で、別の証券会社へ移すことも手続きをすればできます。
相続した株はすぐに売れますか?
遺産分割がまとまり、相続人口座へ移った後なら売れます。亡くなった人の口座のままでは売買できないので、分け方の話し合いを早めに進めておきましょう。
相続税の計算では、株は亡くなった日の値段で計算しますか?
上場株式は、亡くなった日の終値と、その月・前月・前々月の終値の平均のうち、最も低い価格で評価します。証券会社から相続開始日の残高証明書を取って計算に使いましょう。
まとめ
- ネット証券は解約ではなく、受け継ぐ人の相続人口座へ株や投資信託を移すのが基本
- 売って分けたい時も、いったん移してから売る。遺産分割がまとまるまでは売買できない
- 売る時の取得費は親が買った時の値段を引き継ぐ。申告期限の翌日から3年以内なら取得費加算の特例も
- 上場株式は4つの価格のうち最も低い価格で評価。1,000株の例では120万円ではなく110万円
- 銀行の通帳や取引報告書から、ほかの証券口座の手がかりを探しておく




