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夫が亡くなって相続の手続きを始めたら、前妻との間に子がいた。でも連絡先も知らないし、会ったこともない。そんな状況で手が止まっている方もいるはずです。
結論から言うと、前妻の子を抜きにして遺産を分けることはできません。ただ、住所は戸籍から調べられますし、どうしても見つからない時の制度も用意されています。
この記事では、「住所が分からない」「返事がない」「行方が分からない」の3つの状況ごとに、どう進めればいいかが分かります。
前妻の子と連絡が取れない時、相続はどう進める?
前妻の子は、今の妻と同じく相続人です。遺産分割協議は相続人全員の合意が要るので、連絡が取れないまま預金や自宅を分けることはできません。まず戸籍の附票で住所を調べて手紙を出し、返事がなければ家庭裁判所の調停へ。住所地にもいなくて行方が分からなければ、不在者財産管理人を選んでもらって話し合いを進めます。
『もう何十年も会っていない子なのに…』と思いますよね。それでも法律上は、夫の実の子として妻と同じ順位の相続人です。
例えば、夫の相続人が今の妻と前妻の子1人なら、取り分は2分の1ずつ。前妻の子が2人なら、妻が2分の1、前妻の子が4分の1ずつです。
状況によって、次にやることはこう変わります。
| ケース | 次にやること | 理由・注意 |
|---|---|---|
| 住所が分からない | 戸籍をたどり、戸籍の附票で今の住所を調べる | 附票には住所の移り変わりが記録されている |
| 住所に手紙を出したが返事がない | もう一度手紙を出し、それでも駄目なら遺産分割調停 | 調停は相手が来なくても審判へ進める |
| 住民票の住所にいない・行方が分からない | 家庭裁判所に不在者財産管理人の選任を申し立てる | 管理人が前妻の子の代わりに話し合いに入る |

前妻の子の取り分そのものを詳しく知りたい方は、前妻の子と後妻の子がいる場合の相続割合も見てみてください。
前妻の子の住所はどうやって調べる?
実は、住所を調べる手がかりは夫の戸籍の中にあります。
夫の出生から死亡までの戸籍をたどると、前の結婚で生まれた子の名前と、その子が結婚などで移った先の本籍が分かります。その本籍地の市区町村で「戸籍の附票」を取ると、住所の移り変わりが分かる仕組みなんです。
例えば、前妻の子が結婚して新しい戸籍を作っていれば、夫の戸籍の子の欄に移った先の本籍が書かれています。そこから附票をたどれば、結婚後に引っ越した先の住所まで分かることが多いんです。
- 夫の出生から死亡までの戸籍を集め、前妻の子の名前と生年月日を確認する
- 前妻の子が今の戸籍に移っていれば、その戸籍(本籍地)を確認する
- 本籍地の市区町村に、相続の手続きに使う理由を添えて戸籍の附票を請求する
- 附票に載っている最新の住所あてに、手紙を出す
夫自身の戸籍は、2024年3月1日から本籍地以外の市区町村の窓口でもまとめて請求できるようになりました(窓口での請求に限られ、郵送や代理人は不可)。
前妻の子の戸籍や附票は、取れる人や使い道に決まりがあります。うまく取れない時は、戸籍の収集を行政書士や司法書士、税理士に頼む方法もあります。
手紙を出しても返事がない時は?
『いきなり手紙を送ったら、驚かれるのでは?』と心配になりますよね。
そう思うのは自然です。だからこそ、最初の手紙は短く、事実だけを丁寧に書くのが大事です。例えばこんな書き出しです。
「突然のお便りで失礼いたします。〇〇(夫の名前)の妻です。〇月〇日に〇〇が亡くなり、あなたも相続人にあたるため、ご連絡しました。」
遺産の一覧や、どう分けたいかの案は、相手が受け取りやすい形で後から送る方がまとまりやすいことも。最初から印鑑を求めると、身構えられてしまいます。
それでも返事がない、話し合いを拒まれる。そんな時は家庭裁判所に遺産分割の調停を申し立てます。調停でもまとまらなければ、審判で裁判所が分け方を決めます。
調停を申し立てると、裁判所から前妻の子に呼び出しの書類が届きます。個人の手紙には返事をしなかった人でも、裁判所からの連絡には応じてくれることもあります。
前妻の子と顔を合わせずに進めたい時も、調停なら間に調停委員が入ってくれます。分け方の考え方は後妻と前妻の子の遺産の分け方で詳しく見ています。
どこにいるか分からない時はどうする?
住民票の住所に手紙を出しても戻ってくる。そこに住んでいる気配もない。こういうケースでは、家庭裁判所に「不在者財産管理人」を選んでもらいます。
不在者財産管理人は、いなくなった人の財産を管理する人です。家庭裁判所の許可(権限外行為の許可)を得て、前妻の子の代わりに遺産分割の話し合いに加わります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 申し立てできる人 | 相続人などの利害関係人 |
| 申し立て先 | 前妻の子の従来の住所地の家庭裁判所 |
| 費用 | 収入印紙800円、連絡用の郵便切手。財産によっては予納金を求められることがある |
| 話し合いへの参加 | 家庭裁判所の権限外行為の許可を得てから |
管理人は前妻の子の利益を守る立場です。ですから、前妻の子の取り分を大きく減らすような分け方は通りにくいと考えておきましょう。
出典: 裁判所「不在者財産管理人選任」
話し合いが長引く間、期限のある手続きはどうする?
ここが大事なところです。前妻の子が見つからなくても、相続税の申告期限は待ってくれません。
相続税がかかる場合は、亡くなった翌日から10か月以内に申告が必要です。分け方が決まっていなければ、法定相続分で分けたと仮定して申告し、「申告期限後3年以内の分割見込書」を出しておきます。
こうしておくと、分け方が決まった後に、配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例を使い直せます。
| 手続き | 期限 | 分け方が決まらない時の対応 |
|---|---|---|
| 相続税の申告・納付 | 亡くなった翌日から10か月以内 | 法定相続分で申告し、分割見込書を出す |
| 相続登記 | 取得を知った日から3年以内 | 相続人申告登記で義務を果たせる |
| 預金の生活費の払い戻し | 期限なし | 仮払い制度で、1金融機関あたり上限150万円まで単独で引き出せる |
例えば、夫の預金が1つの銀行に600万円あり、相続人が妻と前妻の子1人なら、妻が単独で払い戻せるのは600万円 × 3分の1 × 2分の1の100万円です。
相続税の申告が近い、自宅の土地がある、前妻の子が何人もいる。こんなケースは、戸籍の収集から申告までを専門家にまとめて頼んだ方が、期限に追われずに済みます。
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よくある質問
前妻の子に知らせずに、今の妻だけで相続手続きを済ませられますか?
できません。遺産分割協議は相続人全員の合意が必要で、前妻の子が抜けた協議書では銀行の解約や相続登記に使えません。
前妻の子が海外に住んでいる場合はどうなりますか?
相続人であることは変わりません。連絡の取り方や書類が国内と違うので、早めに専門家に相談してみてください。
夫が遺言書を残していれば、前妻の子と連絡を取らなくていいですか?
遺言書で分け方が決まっていれば、遺産分割協議は要りません。ただし前妻の子には遺留分があり、相続の開始と遺留分の侵害を知った時から1年(相続開始から10年)の間は、金銭で請求される余地があります。
まとめ
- 前妻の子も今の妻と同じ順位の相続人で、抜きにして遺産は分けられない
- 住所は夫の戸籍から前妻の子の本籍をたどり、戸籍の附票で調べる
- 返事がなければ遺産分割調停、行方が分からなければ不在者財産管理人
- 相続税は10か月以内に法定相続分で申告し、分割見込書を出しておく




