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「実家を継ぐ長男に多めに渡そう」と兄弟で決めたものの、ふと『これって弟たちから兄への贈与にならない?』と不安になりますよね。
結論から言うと、遺産分割協議で決めた分け方なら、どれだけ偏っていても贈与税はかかりません。かかるのは相続税のほうです。
ただし、協議がまとまった後で財産を渡し直すと話が変わります。この記事では、その分かれ目をケースで確かめていきます。
兄に多く渡すと、弟から兄への贈与になるの?
相続人全員の話し合い(遺産分割協議)で決めた分け方なら、法定相続分より多く受け取った人がいても贈与税はかかりません。受け取った財産は「相続で取得したもの」として相続税の計算に入ります。一方、協議が成立した後に分け直した分は、相続ではなく贈与として扱われます。
国税庁の通達(相続税法基本通達19の2-8)では、遺産分割は協議・調停・審判のどれで決めても「分割」として扱うとされています。現物で分けても、代わりにお金を払う代償分割でも同じです。
同じ通達には、もう1つ大事なことが書かれています。いったん分けた財産を「分割のやり直し」として配り直した場合、その分は分割で取得したものにならない、という点なんです。
| ケース | 贈与税 | 理由・注意 |
|---|---|---|
| 協議で長男が自宅と預金の大半を取得すると決めた | かからない | 協議による分割なので、全員が相続で取得した扱い |
| 長男が自宅を取得し、代わりに弟へお金を払う(代償分割) | かからない | 代償分割も分割の方法の1つ。協議書に書いておく |
| 協議成立後、長男が「やっぱり」と弟へ預金を渡した | かかることがある | 分割のやり直しは相続ではなく、長男から弟への贈与になる |
| 協議の前に、長男が相続財産を勝手に弟へ配った | 注意が必要 | 協議を経ていないので、後で協議書に反映させておく |

法定相続分と違う割合で分けても大丈夫?
『法定相続分どおりに分けないといけないのでは?』と思う方も多いはずです。実は、法定相続分は話し合いがまとまらない時の目安なんです。
相続人全員が合意すれば、1人がほとんどを取得する分け方でも問題ありません。分け方の決め方は法定相続分と違う割合で遺産を分ける時の注意でも詳しく書いています。
例えば、母がすでに亡くなっていて、父の遺産を3兄弟で分けるケースで考えてみます。課税価格の合計は8,000万円です。
| 分け方 | 長男 | 次男 | 三男 |
|---|---|---|---|
| 3等分 | 109万9,900円 | 109万9,900円 | 109万9,900円 |
| 長男1/2・次男と三男1/4ずつ | 164万9,800円 | 82万4,900円 | 82万4,900円 |
法定相続人は3人なので、基礎控除は4,800万円です。課税遺産総額は3,200万円になります。
分け方を変えても、3人が納める相続税の合計はほぼ同じです。変わるのは「誰がいくら納めるか」なんですね。多く受け取った長男の負担が増え、そのぶん弟たちの負担が減ります。
贈与税がかかってしまうのは、どんな時?
ここが大事なところです。贈与税が問題になるのは、分け方の偏りではなく「タイミング」と「やり方」なんです。
- 協議書に署名押印した後で、気が変わって財産を渡し直した
- 協議書に書いていない現金を、相続人同士で後から受け渡した
- 代償金を払う約束を協議書に書かず、口約束で振り込んだ
- 相続人ではない人(例えば兄の妻や孫)に遺産の一部を渡した
例えば、こんなやり取りです。
「協議書は兄さんが全部でいいって書いたけど、やっぱり少し欲しい」
「じゃあ、預金から500万円振り込むよ」
この500万円は、協議で決めた分割ではありません。長男から弟への贈与として、贈与税の申告が必要になることがあります。
分け方を変えたいなら、まだ協議書を作る前に全員で決め直しておきましょう。代償金を払う形にするなら、金額と支払い方法を協議書に書いておくと安心です。
偏った分け方をする時に、ほかに気をつけることは?
贈与税の心配がなくても、気をつけたい点はあります。
1つは遺留分です。遺言で偏った分け方が指定されていて、自分の取り分が少ない相続人は、遺留分を請求できます。協議で全員が納得して決めた分け方なら、この問題は起きにくいです。遺留分の金額は遺留分はいくら?ケース別の計算で確かめてみてください。
もう1つは、自宅のような分けにくい財産です。兄弟で共有にすると、売る時や建て替える時に全員の同意が要ります。
『長男が多く取る代わりに、弟にはお金で渡したい』という場合は、代償分割という方法があります。ただ、代償金の額が大きいと、払う側の負担も重くなります。
土地の評価額によって代償金の額も変わるので、評価や申告まで含めて決めたい時は専門家に見てもらうと楽です。特に、自宅や貸している土地がある、相続人が3人以上いる、という家族は相談しておきましょう。
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よくある質問
兄弟の1人が全財産を相続しても、贈与税はかかりませんか?
相続人全員の遺産分割協議で決めたのであれば、贈与税はかかりません。全財産を取得した人に相続税がかかるかどうかは、課税価格の合計と基礎控除で判断します。
代償金を払うと、受け取った弟に贈与税がかかりますか?
遺産分割協議で決めた代償分割であれば、代償金は相続で取得した財産として扱われ、贈与税はかかりません。協議書に金額と支払い方法を書いておきましょう。
協議書を作り直せば、贈与税はかからなくなりますか?
いったん成立した分割を配り直すと、国税庁の通達では分割のやり直しとして扱われ、贈与になることがあります。協議書の修正を考えているなら、署名押印の前に全員で内容を確かめておきましょう。
まとめ
- 遺産分割協議で決めた分け方なら、どれだけ偏っていても贈与税はかからない
- 多く受け取った人ほど相続税の負担が増えるが、家族全体の合計はほぼ変わらない
- 協議成立後の渡し直しや、協議書にない現金の受け渡しは贈与になることがある
- 代償金を払うなら、金額と支払い方法を協議書に書いておく




