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『うちは子どもがいないから、全部妻のものになるはず』。こうした思い込みのまま相続が始まり、後で慌てる方は少なくありません。
結論から言うと、相続の勘違いは「税金」「相続人」「期限」の3つに集まっています。この記事では、よくある勘違いを10個取り上げ、ケースごとに正しい考え方を見ていきます。
相続でよくある勘違いは?10個を一覧で確認
子のいない夫婦なら、夫の親や兄弟姉妹も相続人になります。遺言があっても、子や配偶者には遺留分があります。相続税が0円になるケースでも、特例を使ったなら申告が要ります。思い込みを1つ外すだけで、家族の話し合いはぐっと楽になります。
| 勘違い | 正しくは |
|---|---|
| 1. 相続税はどの家でもかかる | 令和5年分で課税されたのは亡くなった人の9.9% |
| 2. 税額が0円なら申告はいらない | 配偶者の税額軽減などを使って0円なら申告が要る |
| 3. 生命保険金も遺産として分ける | 受取人が決まっていれば受取人の物 |
| 4. 相続放棄をしたら保険金も受け取れない | 受け取れる(非課税枠は使えない) |
| 5. 長男は多くもらえる | 子の取り分は均等 |
| 6. 長く連れ添った内縁の妻も相続人 | 相続人ではない |
| 7. 遺言があれば全部その通りになる | 兄弟姉妹以外の相続人には遺留分がある |
| 8. 子がいない夫婦は配偶者が全部相続する | 親や兄弟姉妹も相続人になる |
| 9. 遺産分割はいつまででも先送りできる | 10年を過ぎると寄与分などを主張できない |
| 10. 相続登記はしなくてもいい | 2024年4月1日から義務 |
税金・お金の勘違い(1〜4)
『相続税って、うちも払うんでしょ?』と心配する方は多いですよね。実は、令和5年分で相続税の課税対象になったのは、亡くなった人の9.9%です。遺産が基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)以下なら、申告も要りません。
例えば、妻と子2人が相続するなら基礎控除は4,800万円です。自宅と預金を合わせて4,000万円の家なら、相続税はかかりません。
ただ、2つ目の勘違いには注意が要ります。遺産6,000万円を妻と子2人で相続する例で比べてみます。
| ケース | 相続税の納付額 | 申告 |
|---|---|---|
| 法定相続分どおりに分けた | 妻0円、子30万円ずつ | 必要 |
| 妻が全部を相続した | 妻0円(配偶者の税額軽減) | 必要(しないと軽減が使えない) |
妻が全部を受け取ると納付額は0円です。ただ、これは配偶者の税額軽減を申告して初めて0円になるんです。
生命保険金も誤解が多いところです。受取人が決まっていれば受取人の物で、遺産分割の対象にはなりません。相続放棄をしても受け取れますが、放棄した人は500万円×法定相続人の数の非課税枠を使えません。
相続人・取り分の勘違い(5〜8)
「父の家は長男の俺が継ぐのが当たり前だろう」「でも、法律だと子は全員同じ割合だよね」
こんなやり取りは、相続でよく起こります。子の法定相続分は、長男でも次男でも、嫁いだ娘でも均等です。もちろん、全員が納得すれば違う割合で分けても構いません。
内縁の配偶者は、何十年一緒に暮らしていても相続人になりません。相続人がいない時に、特別縁故者として家庭裁判所に財産分与を申し立てる道があるだけです。
遺言についても、ケースで結論が変わります。
| ケース | 「全財産を妻に」という遺言の結果 |
|---|---|
| 夫に子が2人いる | 子は遺留分(全体の2分の1を法定相続分で分ける)を請求できる |
| 子がいなくて、夫の兄弟姉妹が相続人 | 兄弟姉妹には遺留分がないので、遺言どおり妻が全部を受け取れる |

『遺言さえ書いておけば安心』と思っていると、子がいる家では遺留分の請求で話がこじれることもあります。遺言を書く時は、遺留分に配慮した分け方にしておくと安心です。
子のいない夫婦の場合は、夫の親、親がいなければ兄弟姉妹(亡くなっていれば甥・姪)も相続人です。誰が相続人になるかは法定相続人の家族図10パターンで確かめてみてください。
手続き・期限の勘違い(9〜10)
遺産分割に法律上の期限はありません。ただ、2023年4月1日施行の改正民法で、相続開始から10年を過ぎると、特別受益や寄与分を主張できなくなりました。相続税の申告は10か月以内なので、税金の面でも先送りは不利になりがちです。
相続登記は、2024年4月1日から義務になっています。不動産の取得を知った日から3年以内に登記し、正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象です。施行日より前の相続も対象になります。
こうした勘違いは、家族で話す前に一度そろえておくと揉めにくくなります。話し合いの進め方は家族会議の議題の例を参考にしてみてください。
遺産が基礎控除を超えそうな家や、配偶者の税額軽減・小規模宅地等の特例を使って0円にしたい家は、申告まで税理士に頼むと漏れを防げます。
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よくある質問
相続放棄をした人も、基礎控除の人数に入りますか?
入ります。基礎控除の法定相続人の数は、放棄した人も含めて数えます。
嫁いだ娘も相続人ですか?
相続人です。結婚して姓が変わっても亡くなった人の子であることは変わらないので、ほかの子と同じ割合で相続します。
遺留分はいつまで請求できますか?
相続の開始と遺留分の侵害を知った時から1年、または相続開始から10年で請求できなくなります。2019年7月1日以降の相続では、お金で請求します。
まとめ
- 相続税の課税対象は令和5年分で亡くなった人の9.9%
- 配偶者の税額軽減などで0円になる時も申告が必要
- 子の取り分は均等、内縁の配偶者は相続人ではない
- 遺言があっても、兄弟姉妹以外の相続人には遺留分がある
- 遺産分割は10年、相続登記は3年が区切り




