成年後見人が必要な相続とは?判断能力が衰えた相続人がいる場合

成年後見人が必要な相続を判断能力が衰えた相続人がいる場合のケース別に確認する記事のアイキャッチ

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父が亡くなったけれど、相続人の母は認知症で、話し合いの内容が分からない。『このままでは相続の手続きが進まないの?』と困っている方も多いはずです。

結論から言うと、判断能力が衰えた相続人がいて遺産分割の話し合いをするなら、成年後見人が必要になります。ただ、遺言がある時や、話し合いをしない進め方なら、後見なしで進むケースもあります。

この記事では、後見が要る場面と要らない場面をケースごとに見ていきます。

目次

相続で成年後見人が必要になるのはどんな時?

このケースではこうなる

例えば、父が亡くなり、認知症の母と子2人が相続人になるケースです。父の遺言がなく、3人で遺産の分け方を話し合うなら、母の代わりに話し合う成年後見人を家庭裁判所で選んでもらいます。父が「全財産を母に」など遺言を残していれば、話し合いが要らず、後見なしで手続きを進められることがあります。

遺産分割協議は、相続人全員の合意が必要です。判断能力が十分でない人がいると、その人の合意は有効になりません。

だから、代わりに話し合いに加わる人が必要になるんです。

ケース後見人が要るか理由・注意
遺言がなく、認知症の母を含めて遺産を分ける要る母の代わりに話し合う人がいないと協議が成立しない
父の遺言があり、遺言どおりに分ける要らないことが多い話し合いをしないので、母の合意が要らない
認知症の母が相続放棄をしたい要る相続放棄も本人の判断が前提になる
知的障害のある子が相続人で、遺産を分ける判断能力しだいで要る障害の有無ではなく、話し合いの内容を理解できるかで決まる
当面は分けずに、法定相続分のままにしておくすぐには要らない預金の解約や家の売却が進まず、特例も使いにくい

ここが大事なところです。後見が必要かどうかは、病名や障害名で決まるわけではありません。話し合いの中身を理解して判断できるかどうかで決まります。

判断能力が衰えた相続人がいる時に、遺言の有無や分け方によって成年後見人が要るか要らないかが分かれることを示したケース別の分岐表

後見人を選ぶと、相続はどう進む?

成年後見は、家庭裁判所に申し立てて始まります。申し立てる先は、本人(例えば母)の住所地の家庭裁判所です。

成年後見を使って遺産分割を進める流れ
  1. 本人の住所地の家庭裁判所に、後見開始の申立てをする
  2. 家庭裁判所が、鑑定や医師の診断書をもとに判断し、成年後見人を選ぶ
  3. 成年後見人が本人の代わりに遺産分割協議に加わる
  4. 合意した内容で遺産分割協議書を作り、預金の解約や相続登記を進める

申立ての費用は、収入印紙800円分と登記手数料の収入印紙2,600円分、連絡用の郵便切手です。鑑定が必要な場合は、その費用がかかることもあります。

『子が後見人になればいいのでは?』と思いますよね。家族を候補者にすることはできますが、誰を選ぶかは家庭裁判所が決めます。

ただ、子が後見人で、自分も相続人というケースは注意が必要です。母と子の利益がぶつかるので、その話し合いでは別に代わりの人(特別代理人)を家庭裁判所で選ぶことがあります。

例えば、子が後見人のまま「自分が多めにもらう」分け方を決めると、母に不利になりますよね。だから、こうした仕組みがあるんです。

後見人が選ばれるまでには、申立てから一定の時間がかかります。相続税の申告期限が迫っている時ほど、早めに申し立てておきましょう。

また、後見人は本人の財産を守る立場です。母の取り分を極端に少なくするような分け方は、認められにくいと考えておきましょう。

知的障害のある子が相続人の時は?

例えば、父が亡くなり、母と、知的障害のある成人の子が相続人になるケースです。子が話し合いの内容を理解できなければ、子の側に成年後見人が必要になります。

すでに母が子の成年後見人になっている家もありますよね。この場合、母と子はどちらも相続人なので、遺産分割では利益がぶつかります。

後見監督人がいなければ、遺産分割のために特別代理人を家庭裁判所で選んでもらう流れになります。

相続税では、子が障害者控除を使える場合があります。85歳になるまでの年数×10万円(特別障害者は20万円)なので、例えば30歳の子なら一般の障害者で550万円です。

障害のある子の生活を長く支えるために、親が元気なうちから遺言で分け方を決めておく家も少なくありません。

後見を始める前に知っておきたいことは?

一つ目は、後見は遺産分割が終わってもやめられないことです。

成年後見は、本人が判断能力を取り戻すか、亡くなるまで続きます。家庭裁判所も、遺産分割など最初の目的を果たしたら終わり、というものではないと説明しています。

二つ目は、後見人の報酬です。家庭裁判所が報酬額を決めた場合は、本人の財産から支払われます。金額は事案ごとに裁判官が決めます。

『後見を使わずに相続できないの?』という声も多いですよね。ここで大事なのが、親が元気なうちの備えです。

例えば、父が生前に遺言を書いておけば、母が認知症になっても話し合いなしで相続を進められます。母自身の相続に備えて、母が元気なうちに遺言を作っておく家もあります。

一人っ子の家で母が認知症になったケースは、一人っ子の相続で気をつけることにもまとめています。

認知症の相続人がいる時の相続税は?

相続税の申告期限は、亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内です。後見の手続きを待っていても、この期限は延びません。

期限までに分け方が決まらない時は、法定相続分で分けたと仮定して申告します。その時に「申告期限後3年以内の分割見込書」を出しておけば、分割後に配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例を受けられます。

ケース相続税の進め方理由・注意
期限内に後見人が選ばれ、分け方が決まった通常どおり申告配偶者の税額軽減や特例もそのまま使える
期限までに分け方が決まらない法定相続分で仮に申告し、分割見込書を出す分割後に更正の請求で特例を受けられる
認知症の母が障害者控除の対象になる母の税額から障害者控除を引ける85歳になるまでの年数×10万円。特別障害者は20万円

障害者控除は、例えば75歳の母なら、一般の障害者で100万円、特別障害者で200万円です。対象になるかは、障害者手帳や認定の状況で変わるので確認してみてください。

相続人に認知症の家族がいて、後見の申立てと相続税の申告期限が重なりそう、自宅の特例を使いたい、というケースは手続きの順番が大事になります。税理士に早めに相談しておくと、申告の段取りを組みやすくなります。

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わが家のケースは、相続に強い税理士に聞くのが近道

相続税がかかりそう、土地や自宅がある、相続人が多い、期限が近いといったケースでは、相続税に詳しい税理士に早めに相談すると安心です。税理士ドットコムなら、全国7,500名以上の登録税理士から相続に強い税理士を無料で紹介してもらえます。

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母が住む家の相続については、住んでいる家の相続で子供と母はどうするかも参考にしてみてください。

よくある質問

認知症の母の代わりに、子が遺産分割協議書に署名してもいいですか?

いけません。本人の代わりに署名しても、母の合意があったことにはなりません。話し合いが必要なら、成年後見人を選んでもらいます。

成年後見人には誰がなりますか?

家庭裁判所が、本人の財産や必要な援助の内容に応じてふさわしい人を選びます。家族を候補者に挙げることはできますが、希望どおりになるとは限りません。

遺産分割が終わったら、後見をやめられますか?

やめられません。成年後見は、本人が判断能力を取り戻すか、亡くなるまで続きます。家族の希望で終わらせることもできません。

まとめ

この記事の要点
  • 判断能力が衰えた相続人がいて遺産を分けるなら、成年後見人が必要になる
  • 遺言があれば、話し合いが要らず後見なしで進むことがある
  • 子が後見人で自分も相続人なら、特別代理人が必要になることがある
  • 後見は遺産分割が終わっても続き、報酬は本人の財産から支払われる
  • 申告期限は延びないので、分割見込書で特例を後から受ける準備をする
相続ケース案内

相続ケース案内 編集部

家族構成や財産の状況ごとに、相続・相続税がどうなるかを公的機関の公開情報をもとに解説しています。 公式サイト

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