疎遠な兄弟と相続の話し合いをする時の連絡の仕方と手紙の文例

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親が亡くなって、相続の手続きを始めようとしたら、何年も口をきいていない兄弟がいる。『正直、話したくない』『でも連絡しないと何も進まない』と、板挟みになっていませんか。

結論から言うと、疎遠でも兄弟は相続人なので、連絡は避けて通れません。ただ、最初の連絡は会うことではなく、事実を伝える手紙1通で十分です。

この記事では、連絡先の分かり方ごとの連絡の仕方と、そのまま使える手紙の文例が分かります。

目次

疎遠な兄弟にも、相続の連絡はしないといけない?

このケースの結論

連絡は必要です。遺産分割協議は相続人全員の合意が要るので、疎遠な兄弟を抜くと預金の解約も相続登記もできません。最初は電話よりも、親が亡くなった事実と今後の流れを書いた手紙を送るのが角が立ちにくい方法です。

絶縁状態でも、兄弟であることは変わりません。親の相続では、子はみな同じ順位の相続人で、法定相続分も同じです。

『向こうも関わりたくないはずだから、黙って進めてもいいのでは?』と思いますよね。ただ、それでは手続きが止まりますし、後から知った兄弟との関係がさらにこじれることもあるんです。

ケース最初の連絡手段結論理由・注意
電話番号やメールが分かる短いメッセージ+手紙「詳しくは手紙で送ります」と予告して手紙を送るいきなり長電話は感情的になりやすい
住所だけ分かる手紙(記録が残る郵便)手紙で事実と流れを伝える届いたことを確認できる方法で送ると後で困らない
住所も分からない戸籍の附票で住所を探す見つからなければ家庭裁判所の手続きへ本当に行方が分からない時は不在者財産管理人を選んでもらう
手紙に返事がない・話し合いを拒まれる家庭裁判所の調停調停で話し合う調停でまとまらなければ審判で分け方が決まる
疎遠な兄弟への連絡を、電話番号が分かる・住所だけ分かる・住所も分からない・返事がないの4つに分け、それぞれの最初の一手を示したケース別の分岐表

住所も分からず本当に行方が知れない場合の進め方は、兄弟が行方不明のまま親の相続が始まった時の進め方でまとめています。

最初の手紙には何を書けばいい?

最初の手紙は、気持ちを伝える場ではなく、事実を共有する場と割り切ると書きやすくなります。

書くことは次の5つで十分です。

最初の手紙に入れること
  • 親が亡くなった日と、葬儀などの報告
  • 相続人が誰か(自分と兄弟の名前)
  • 分かっている範囲の財産(預金・実家など)と、財産の一覧を後で送ること
  • 今後の流れと期限(相続税の申告が必要なら10か月以内)
  • 返事の方法(手紙・メール・電話のどれでもよい)と、返事がほしい時期の目安

逆に、昔のいさかいや、介護の負担への不満は書かないでおきましょう。読んだ瞬間に構えてしまい、返事が来なくなることがあります。

手紙の文例(最初の連絡)

〇〇へ

ご無沙汰しています。突然の手紙でごめんなさい。
父が〇月〇日に亡くなりました。葬儀は家族だけで済ませました。

父の相続について、相続人は私と〇〇、〇〇の3人です。
預金と実家があることまでは分かっていて、財産の一覧ができたら送ります。

相続税の申告が必要になった場合、期限は〇月〇日です。
分け方の希望があれば、手紙でもメールでもかまわないので、〇月中に教えてもらえると助かります。

連絡先: 〇〇〇(電話・メール)

手紙の文例(返事がない時の2通目)

〇〇へ

先日、父の相続について手紙を送りました。届いているでしょうか。
財産の一覧と、分け方の案を同封します。

案はあくまでたたき台です。直接話すのが難しければ、書面でのやりとりでも大丈夫です。
〇月〇日までに返事がない場合は、家庭裁判所の調停で話し合うことも考えています。

2通目の「調停」は脅しではなく、次の手順を正直に伝える一文です。書く時は、責める言い方にならないよう気をつけてみてください。

兄弟と直接話したくない時はどうする?

『顔を合わせるのも、声を聞くのも嫌』という方もいるはずです。実は、遺産分割協議は全員が集まる必要はないんです。

協議書の案を作って郵送し、それぞれが署名押印して返送する持ち回りの方法でも成立します。

  • 財産の一覧と協議書の案を郵送し、署名押印して返してもらう
  • やりとりはメールや手紙だけにして、記録を残す
  • 間に入る人を立てる(弁護士は交渉や調停の代理ができる)
  • 話し合いがまとまらなければ、家庭裁判所の遺産分割調停を申し立てる

調停では、調停委員が双方の話を別々に聞くので、相手と直接やりとりせずに進めやすいです。調停でもまとまらなければ、審判で分け方が決まります。

例えば、電話がかかってきてしまった時は、こんな返し方ができます。

「今は落ち着いて話せないから、要点を手紙で送るね」
「分け方の案を書面で送るから、それを見て意見をもらえるかな」

疎遠な兄弟がいる時、期限と相続税はどう考える?

話し合いが長引いても、相続税の申告と納付は亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内です。疎遠な兄弟がいる時ほど、早めに動き出しておきたいところです。

例えば、父が亡くなり、母と子3人が相続するケースで、遺産が6,000万円なら次のようになります。

ケース基礎控除相続税の総額各人の納付額(法定相続分どおり)
母と子3人で分ける5,400万円60万円母0円(配偶者の税額軽減)、子は10万円ずつ
母が先に亡くなっていて、子3人で分ける(遺産7,200万円)4,800万円240万円子は80万円ずつ

母が配偶者の税額軽減で0円になる時も、軽減を使うには申告が必要です。

10か月までにまとまらない時は、法定相続分で分けたと仮定して申告し、「申告期限後3年以内の分割見込書」を出しておきましょう。分け方が決まった後で、配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例を受け直せます。

協議に法律上の期限はありませんが、相続開始から10年を過ぎると、特別受益や寄与分を主張できなくなります。実家の相続登記も、取得を知った日から3年以内が期限です。

兄弟の1人が「全部自分が継ぐ」と言い出した場合の対処は、長男が遺産を全部相続すると言い出した時の対処法で取り上げています。

疎遠な兄弟との相続は誰に頼む?

自分だけで連絡を続けるのがつらい時は、専門家に間に入ってもらうのも1つの方法です。

  • 兄弟との交渉や調停の代理を頼みたい時は、弁護士
  • 相続税の計算・申告と、分け方ごとの税額を出してほしい時は、税理士
  • 戸籍の収集や協議書の作成を頼みたい時は、行政書士や司法書士

遺産が基礎控除を超えそう、実家の土地がある、兄弟の返事を待っていると期限が近づいてしまう、というケースは税理士に頼むと楽です。財産の一覧と税額が書面になると、兄弟に送る資料としても使えます。

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よくある質問

疎遠な兄弟に相続放棄してほしいと頼んでもいいですか?

頼むこと自体はできますが、放棄するかどうかは本人が決めます。放棄は家庭裁判所への申述が必要で、期限は相続の開始を知った時から3か月以内です。

兄弟に財産の中身を全部見せないといけませんか?

協議は全員の合意が必要なので、財産の一覧は共有しておくのが基本です。一部を伏せて合意した後で分かると、協議のやり直しを求められることがあります。

手紙を受け取り拒否されたら、どうすればいいですか?

届けようとした記録は残しておきましょう。そのうえで、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てると、裁判所から相手に連絡が行きます。

まとめ

この記事の要点
  • 疎遠でも兄弟は相続人。抜いた協議では預金の解約も相続登記もできない
  • 最初の連絡は、事実と今後の流れを書いた手紙1通。昔のいさかいは書かない
  • 会いたくなければ、協議書を郵送して署名押印してもらう持ち回りでも成立する
  • 返事がない・拒まれる時は、家庭裁判所の遺産分割調停で話し合う
  • 申告期限の10か月は延びない。まとまらなければ法定相続分で申告し分割見込書を出す
相続ケース案内

相続ケース案内 編集部

家族構成や財産の状況ごとに、相続・相続税がどうなるかを公的機関の公開情報をもとに解説しています。 公式サイト

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