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仕事や住まいの都合で、相続の手続きに自分が動けない。『兄に任せたいけど、委任状ってどう書けばいいの?』と悩んでいる方も多いはずです。
結論から言うと、委任状は「誰が、誰に、何を頼むか」をはっきり書けば形は自由です。ただし提出先によって、決まった書式や実印が求められます。この記事では、頼む先ごとのケース別に記入例を見ていきます。
銀行の払い戻しを兄に頼む場合、委任状はどう書く?
父が亡くなり、相続人は兄と妹の2人。遠方に住む妹が、父の預金の払い戻しを兄に任せるケースです。銀行が用意した相続手続き用の委任状に、妹が自分で署名して実印を押し、妹の印鑑証明書を添えて兄に渡します。銀行の書式がない時は、委任事項を具体的に書いた委任状を自作します。
銀行の相続手続きでは、まず銀行の書式があるかを確認しましょう。多くの場合、相続の届出書や依頼書の中に委任の欄があります。
自作する時に入れる項目は、次のとおりです。
| 項目 | 書く内容 |
|---|---|
| 日付 | 委任状を書いた日 |
| 委任者 | 頼む人(妹)の住所・氏名・実印 |
| 受任者(代理人) | 頼まれる人(兄)の住所・氏名 |
| 被相続人 | 亡くなった人の氏名・死亡日 |
| 委任事項 | 「○○銀行○○支店の被相続人名義の預金の解約・払い戻しに関する一切の件」など |
ここが大事なところです。委任事項は、どの手続きを頼むのかが分かるように書いてください。
『細かく書くのは面倒だから、「相続に関する一切」でいいかな』と思うかもしれませんね。ただ、範囲がぼんやりした委任状は、窓口で受け付けてもらえないことがあります。
例えば、窓口でこんなやりとりになることも。
「委任事項が『相続の件』だけだと、どの口座の何の手続きか分からないんです」
「じゃあ、支店名と口座の手続きまで書いてもらいます」
法務局・役所・家族に頼む場合は何が変わる?
頼む先によって、委任状の書き方や頼める範囲が変わります。ケースごとに比べてみましょう。
| ケース | 委任状の書き方 | 注意 |
|---|---|---|
| 銀行の払い戻しを家族に頼む | 銀行の書式に署名と実印。なければ自作 | 委任者の印鑑証明書を求められることが多い |
| 相続登記の申請を家族に頼む | 法務局の記載例にならって、登記の目的と不動産を書く | 申請人本人の代わりに出す形。不動産の表示は登記簿どおりに |
| 役所で戸籍の取り寄せを家族に頼む | 役所の委任状の書式に、必要な戸籍と使い道を書く | 本籍地以外でまとめて取れる広域交付は、代理人では使えない |
| 相続税の申告を頼む | 家族への委任状では足りない | 申告の代理は税理士の仕事 |

戸籍の広域交付は、2024年3月1日から始まった便利な制度です。ただ、郵送や代理人による請求はできません。家族に頼むなら、本籍地の役所に委任状を付けて請求する形になります。
相続登記を家族に頼む場合も、委任状に書く不動産の表示は登記事項証明書のとおりにします。協議書の書き方は相続登記で使う遺産分割協議書で確認できます。
『家族じゃなくて専門家に頼みたい』という場合もありますよね。登記の申請を仕事として代理するのは司法書士です。司法書士に頼む時は、事務所が用意する委任状に署名と押印をする流れになります。
遺産の分け方で揉めていて、相手との交渉や調停を任せたい時は弁護士の出番です。頼みたい内容によって、委任状を渡す相手が変わると覚えておきましょう。
委任状を書く時に気をつけることは?
委任状は、渡したらそれで終わりではありません。頼む側も頼まれる側も、次の点を確認しておきましょう。
- 委任者が自分で署名している(代筆していない)
- 委任事項に提出先と手続きの内容が書かれている
- 日付が入っている(古いと受け付けない窓口もある)
- 実印が必要な窓口では、実印と印鑑証明書をそろえた
- 受任者の本人確認書類を、受任者が持って行く
白紙の委任状に印鑑だけ押して渡すのは避けましょう。あとから何でも書き足せてしまうので、家族の間でも揉める元になります。
相続人が多くて全員の委任状を集めるのが大変な場合は、窓口を減らす工夫もできます。戸籍の束の代わりに法定相続情報一覧図の写しを使えば、銀行や法務局に出す書類が軽くなります。法定相続情報一覧図を取ったほうがいいケースも見ておくと楽です。
JAに貯金がある場合は、JAの依頼書の書き方も確認しておくと安心です(JAの相続手続依頼書の書き方)。
相続人が遠方にばらばらで、預金のほかに不動産もある。相続税の申告も要りそう。こんな場合は、手続きの代理と申告をまとめて専門家に頼むと、委任状を何枚も書く手間が減ります。
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よくある質問
委任状は手書きでないとダメですか?
本文はパソコンで作っても受け付けるところが多いです。委任者の署名だけは本人が自分で書いておきましょう。
委任状に有効期限はありますか?
法律で決まった期限はありませんが、作成から時間がたったものを受け付けない窓口もあります。提出先に確認してみてください。
相続人代表者として手続きするのにも委任状は要りますか?
銀行などでは、ほかの相続人全員の署名と実印が入った書類が別に求められます。代表者だから委任状が要らない、というわけではないんです。
まとめ
- 委任状は「誰が、誰に、何を頼むか」を書けば形は自由
- 銀行は専用の書式と実印・印鑑証明書を求めることが多い
- 戸籍の広域交付は代理人では使えない。相続税の申告代理は税理士
- 白紙委任は避け、委任事項を具体的に書く




