当サイトは国税庁・法務省・裁判所などの公開情報をもとに編集部が執筆しています。記事内のサービス紹介には広告を含みます。
夫が亡くなって、年金事務所から遺族年金の案内が届いた。『これも遺産として兄弟と分けるの?相続税の計算に入るの?』と戸惑う方も多いはずです。
結論から言うと、遺族年金は相続財産ではなく、相続税もかかりません。この記事では、家族構成ごとに誰が受け取れるかと、相続放棄した時の扱いを見ていきます。
遺族年金は相続財産になる?相続税はかかる?
遺族年金は、決められた遺族が自分の権利として受け取る年金です。亡くなった人の財産ではないので、遺産分割の対象にならず、相続税もかかりません。遺族年金には所得税もかかりません。一方、亡くなった月までの分を遺族が受け取る未支給年金は、相続税の対象外ですが、受け取った人の一時所得として所得税の対象になります。
未支給年金については、国税庁の質疑応答事例未支給の国民年金に係る相続税の課税関係に考え方が載っています。遺族が自己の固有の権利として請求するもので、相続税の対象にならない、という内容です。
ここが大事なところです。遺族年金を相続税の計算に足してしまうと、税額を多く見積もってしまうんです。
家族構成によって、誰が遺族年金を受け取れる?
遺族年金には、国民年金の「遺族基礎年金」と、厚生年金の「遺族厚生年金」があります。どちらも、亡くなった人に生計を維持されていた遺族が対象です。
家族構成ごとに見てみましょう。
| ケース | 遺族基礎年金 | 遺族厚生年金 | 理由・注意 |
|---|---|---|---|
| 妻と高校生以下の子がいる | 子のある妻が受け取れる | 子のある妻が受け取れる | 妻が受け取る間、子には支給されない |
| 子のない妻(30歳以上) | 対象外 | 受け取れる | 子のない30歳未満の妻は5年間のみ |
| 子のない夫 | 対象外 | 55歳以上なら受け取れる | 受給開始は原則60歳から |
| 配偶者がおらず、父母が残された | 対象外 | 55歳以上の父母なら受け取れる | 受給開始は60歳から |

ここでいう「子」は、18歳になった年度の3月31日までの子、または20歳未満で障害年金の障害等級1級か2級の状態にある子です。
遺族厚生年金は、子のある配偶者、子、子のない配偶者、父母、孫、祖父母の順で、いちばん順位の高い人が受け取ります。詳しくは日本年金機構の遺族厚生年金と遺族基礎年金のページで確認できます。
戦没者の遺族への年金など、制度が違う年金を受け取っていた場合は、支給元の窓口で扱いを確かめてみてください。
相続放棄しても遺族年金はもらえる?
『借金があるから相続放棄したい。でも遺族年金まで止まったら困る』という声はよく聞きます。
相続放棄は、亡くなった人の財産と借金を引き継がない手続きです。遺族年金や未支給年金は、遺族が自分の名前で請求するもので、亡くなった人の財産ではありません。そのため、相続放棄とは別の話として扱われます。
| ケース | 相続財産 | 遺族年金・未支給年金 | 注意 |
|---|---|---|---|
| 普通に相続する | 引き継ぐ | 受給要件を満たせば請求できる | 遺産分割の対象にしない |
| 相続放棄する | 引き継がない | 遺族自身の権利として別に請求 | 放棄の期限は知った時から3か月以内 |
例えば、こんなやり取りがよくあります。
「放棄したら、年金の手続きもできなくなるのかな」
「遺族年金は遺産とは別のものだよ。受け取れるかは年金事務所で確認しよう」
受け取れるかどうかの最終判断は、年金事務所で確認してみてください。
相続税の計算ではどう扱う?妻と子2人のケース
例えば、夫が亡くなり妻と子2人が相続するケースです。法定相続人は3人なので、基礎控除は4,800万円です。
夫の財産が自宅と預金で6,000万円、妻は遺族年金を受け取るとします。遺族年金は計算に入れません。
| 計算の段階 | 金額 |
|---|---|
| 課税価格の合計(遺族年金は含めない) | 6,000万円 |
| 基礎控除 | 4,800万円 |
| 課税遺産総額 | 1,200万円 |
| 相続税の総額 | 120万円 |
| 法定相続分どおりに分けた時の納付額 | 妻0円、子2人が30万円ずつ |
妻の納付額が0円なのは、配偶者の税額軽減を使うからです。この特例は申告して初めて使えるので、0円でも申告書を出します。
人数ごとの基礎控除は相続人の人数別の基礎控除早見表で確かめられます。
『遺族年金のほかに、保険の給付金も届いた』という方は、医療保険の給付金に相続税がかかるケースもあわせて見てみてください。
配偶者の税額軽減を使う、相続放棄と遺族年金の手続きを同時に進めたい、という方は税理士に頼むと楽です。自分のケースに特例が当てはまるかは、税理士に確認しておきましょう。
税理士ドットコム
わが家のケースは、相続に強い税理士に聞くのが近道
相続税がかかりそう、土地や自宅がある、相続人が多い、期限が近いといったケースでは、相続税に詳しい税理士に早めに相談すると安心です。税理士ドットコムなら、全国7,500名以上の登録税理士から相続に強い税理士を無料で紹介してもらえます。
紹介料無料税理士ドットコムで相続に強い税理士を紹介してもらう(税理士ドットコムの紹介ページに移動します・24時間365日受付)
よくある質問
遺族年金は兄弟で分ける遺産になりますか?
なりません。遺族年金は、決められた遺族が自分の権利として受け取るもので、遺産分割の対象ではありません。
未支給年金には税金がかかりますか?
相続税はかかりません。受け取った遺族の一時所得として所得税の対象になります。請求できる期間は5年です。
遺族年金を受け取ったら確定申告は要りますか?
遺族年金には所得税がかからないので、遺族年金だけを理由に確定申告をする必要はありません。
まとめ
- 遺族年金は相続財産ではなく、相続税も所得税もかからない
- 未支給年金は相続税の対象外で、受け取った人の一時所得になる
- 誰が受け取れるかは家族構成と年齢で決まる
- 相続放棄しても、遺族年金は遺族自身の権利として別に考える
- 妻と子2人で財産6,000万円なら、相続税の総額は120万円で妻は0円(申告は必要)





