遺言書を書いた時に判断能力があったかで争いになった時

遺言を書いた時の判断能力が争いになった時の考え方を解説する記事のアイキャッチ

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親の遺言を見たら、全部が同居していたきょうだいに。『あの頃の母に、こんな遺言が書けたはずがない』と感じている方もいるはずです。

結論から言うと、遺言を書いた時に判断能力がなかったと認められれば、その遺言は無効になります。ただ、それを示すのは争う側で、証拠集めが大事なんです。この記事では、遺言の種類と状況ごとに見られ方と取り分の違いを確認します。

目次

判断能力が怪しい遺言、わが家の場合はどうなる?

このケースではこうなる

遺言を書いた時点で、内容を理解して判断する力(遺言能力)がなければ、その遺言は無効です。自筆でも公正証書でも争うことはできますが、無効と認められるかは、書いた当時の医療・介護の記録や遺言の中身で判断されます。

民法は「遺言者は、遺言をする時においてその能力を有しなければならない」と定めています。見られるのは、亡くなる直前ではなく書いた日の状態です。

ケース争いになった時の見られ方注意
自筆の遺言で、書いた頃に要介護認定を受け物忘れが目立っていた当時の診療記録・介護記録、筆跡、内容の分かりやすさから判断される記録が残っているかで結論が大きく変わる
公正証書遺言で、公証人と証人2人の前で作った作成の手順が記録に残るので争いにくい公証人は医学的な判断はしないため、無効になる余地はある
成年後見が始まった後に書いた判断能力が一時回復した時に、医師2人以上の立会いが要る立会いがなければ無効を主張しやすい
自筆の遺言、公正証書の遺言、成年後見後の遺言の3ケースで、判断能力の争いでの見られ方を分けた分岐表

遺言が有効か無効かで、取り分はどれだけ変わる?

例えば、母が亡くなり子2人が相続人、遺産が4,000万円のケース。遺言には「全財産を長女に」とあります。

結論長女の取り分長男の取り分
遺言が有効4,000万円(長男に遺留分を払う)遺留分として1,000万円を金銭で請求できる
遺言が無効2人の話し合いで決める法定相続分なら2,000万円

遺言が有効でも、長男には遺産の4分の1の遺留分があります。無効なら、遺言がない状態で分け方を話し合うことになるんです。

反対に、遺言で財産を受け取った側が『無効だと言われたらどうしよう』と悩むこともありますよね。その場合も、書いた頃の様子が分かる記録や、遺言を書いた理由が分かる手紙などが、話し合いの材料になります。

ここが大事なところです。遺留分侵害額請求は、相続の開始と侵害を知った時から1年で消えてしまいます。

『無効を争っているから、遺留分は後でいい』と考えていると、期限を過ぎてしまうことも。無効を主張しながら、念のため遺留分の請求も期限内にしておきましょう。金額の出し方は遺留分のケース別計算で確認できます。

争う時に集める証拠と、話の進め方は?

「母は病院で同じ話を何度もしていたよ」
「それだけだと弱いので、その頃の記録を集めてみましょう」

家族の記憶だけでは、判断能力がなかったとは認められにくいです。記録は時間がたつと取り寄せにくくなることもあるので、早めに動いておきましょう。書いた日に近い時期の記録をそろえていきます。

判断能力の争いで集める記録
  • 書いた頃の診療記録、医師の意見書
  • 要介護認定の調査票など、介護保険の記録
  • 介護施設やヘルパーの日々の記録
  • 遺言の内容が複雑か、それまでの言動と合っているか
  • 自筆なら、ほかの時期の手紙などとの筆跡の比べ

話し合いでまとまらなければ、家庭裁判所の調停で話し合い、それでも決まらない時は裁判で遺言が有効かを決めます。家族の関係を考えて、弁護士に早めに相談してみてください。

もう1つ忘れやすいのが相続税の期限です。申告と納付の期限は、亡くなった日の翌日から10か月以内。遺言を争っている間も止まりません。

期限までに分け方が決まらなければ、法定相続分で分けたものとして申告し、決まった後に税額を直す流れになります。「申告期限後3年以内の分割見込書」を出しておけば、分けた後に配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例も使えます。

土地がある、遺産の額が基礎控除を超えそう、争いが長引きそうといったケースは、相続税の申告を税理士に任せると期限の心配が減ります。

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これから遺言を書く側なら、公正証書にする、作る時に医師の診断書をもらっておく、内容をシンプルにする、といった備えで争いを防ぎやすくなります。家族構成ごとの相続人は法定相続人の家族図で確かめておくと安心です。

よくある質問

公正証書遺言なら、判断能力の争いにはなりませんか?

争いにくくはなりますが、ゼロではありません。公証人は医学的な判断をする立場ではないので、当時の医療記録などから無効と判断されることもあります。

遺言が無効になったら、遺産はどう分けますか?

遺言がない状態に戻るので、相続人全員の遺産分割協議で分けます。まとまらなければ家庭裁判所の調停・審判に進みます。

判断能力を争っている間に、相続税の申告期限が来たらどうしますか?

法定相続分で分けたものとして期限内に申告し、分け方が決まった後に、更正の請求などの手続きで税額を直します。

まとめ

この記事の要点
  • 遺言を書いた時に判断能力がなければ、その遺言は無効
  • 判断のよりどころは、書いた日に近い医療・介護の記録と遺言の中身
  • 無効を争っていても、遺留分の請求は1年の期限内にしておく
  • 相続税の申告期限10か月は争っている間も止まらない
相続ケース案内

相続ケース案内 編集部

家族構成や財産の状況ごとに、相続・相続税がどうなるかを公的機関の公開情報をもとに解説しています。 公式サイト

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