家族信託のデメリットで後悔するのはどんな時?費用倒れ・兄弟不仲のケース

家族信託のデメリットで後悔するケースを確かめる記事のアイキャッチ

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親が認知症になる前にと、家族信託をすすめられた。『でも、本当にうちに必要なの?』と迷っている方も多いはずです。

結論から言うと、家族信託で後悔するのは「目的がはっきりしないまま始めた家」です。この記事では、後悔しやすいケースとそうでないケースを並べて、自分の家がどちらに近いかを確かめられるようにしました。

目次

家族信託で後悔するのは、どんな家?

このケースの結論

家族信託は、親の財産の管理を子に任せる仕組みです。相続税を減らす効果はありません。財産が自宅と少しの預金だけの家、兄弟の間で管理役に不満が出そうな家は、始めてから後悔しやすいケースです。

家族信託の中身はシンプルです。親(委託者)が財産を子(受託者)に託し、そこから出る利益は親(受益者)が受け取ります。

ここで勘違いしやすいのが税金です。信託しても財産から利益を受けるのは親のままなので、親が亡くなれば信託した財産も相続税の対象になります。

まずは、後悔しやすいケースと始めてよかったと感じやすいケースを並べてみます。

ケース結論理由・注意
財産は自宅と預金だけで、相続税もかからない後悔しやすい設定の費用に見合う効果が出にくい
兄弟のうち1人だけが受託者になり、他の兄弟に説明していない後悔しやすい「財産を勝手に動かしている」と疑われる
節税のつもりで始めた後悔しやすい相続税は減らない
賃貸アパートを持ち、親の判断力が落ちても修繕や契約を続けたい役に立ちやすい受託者が管理を引き継げる
親が施設に入った後、空き家になる自宅を売る可能性が高い役に立ちやすい判断力が落ちた後でも受託者が売れる
家族信託で後悔しやすいケースと役に立ちやすいケースを、財産の中身と兄弟の関係で分けた分岐表

『家族信託はやめた方がいいの?』と思った方もいますよね。危険な制度というわけではありません。合うケースと合わないケースの差が大きい、というだけなんです。

費用倒れで「家族信託は必要なかった」と感じるケースは?

費用倒れの後悔は、財産が少なめの家で起きやすいです。家族信託は契約書づくりや登記などで専門家に依頼することが多く、その費用が先にかかります。

例えば、母はすでに亡くなり、父と子2人の家族で、財産が自宅と預金で3,000万円のケースです。相続人が子2人なら基礎控除は4,200万円なので、相続税はかかりません。

ケース財産相続税家族信託の向き不向き
父と子2人・自宅と預金で3,000万円3,000万円0円(基礎控除4,200万円以下)自宅を売る予定がなければ、遺言で足りることも
父と子2人・自宅と預金とアパートで5,000万円5,000万円合計80万円(子1人40万円)アパートの管理を続けたいなら検討の価値あり

5,000万円のケースでも、信託したからといって80万円が減るわけではありません。信託した財産も、亡くなった時は相続財産として数えるからです。

『じゃあ、何のためにやるの?』という疑問が出てきますよね。答えは「親の判断力が落ちた後も、財産を動かせるようにするため」です。売る予定も、管理を続ける予定もない財産なら、信託する意味は薄くなります。

相続税がかかるかどうかは、家族の人数別の基礎控除で先に確かめておくと判断しやすくなります。

家族信託が必要ない家は、代わりに何をする?

家族信託をやめたからといって、何もしなくていいわけではありません。目的ごとに、もっと手軽な方法で足りることがあるんです。

やりたいこと家族信託の代わりの方法注意
誰に何を渡すか決めたい遺言を書く自筆証書遺言は法務局に保管すると検認が要らない
相続人に現金を残したい受取人を家族にした生命保険非課税枠は500万円×法定相続人の数
預金を家族に少しずつ渡したい暦年課税の生前贈与受け取る人ごとに年110万円まで贈与税0円
相続の時の手続きを楽にしたい財産の一覧と口座のメモを作る家族が探す手間が減る

自筆証書遺言書保管制度を使うと、手数料は1通3,900円です。『それなら遺言で十分かも』と感じた方は、まず遺言から始めてみてください。

兄弟が不仲になって後悔するのはどんな時?

家族信託のトラブルで多いのが、兄弟の関係がこじれるケースです。

例えば、子が3人いて、近くに住む長男だけが受託者になったケースを考えてみましょう。長男は親の預金を管理し、介護費用を払い、自宅の修繕もします。

ほかの兄弟から見ると、長男が親のお金を自由に使えるように見えるんです。

「兄さん、父さんの口座からいくら出したの?」
「全部介護に使ったよ。いちいち聞かないでくれ」

こうしたやり取りが重なると、相続の時に話し合いがまとまらなくなります。

ケース結論防ぎ方
受託者を決める時に、全員で話し合ったもめにくい契約の前に兄弟全員へ説明しておく
受託者が帳簿を付け、定期的に兄弟へ見せているもめにくい年に1回など報告の時期を決めておく
受託者が1人で決め、他の兄弟は後から知ったもめやすい信託の中身を後からでも共有する
信託で決めた財産の行き先が、ほかの兄弟の取り分を大きく下回るもめやすい遺留分の問題が残ることがある

遺留分は、兄弟姉妹以外の相続人に認められた最低限の取り分です。信託で財産の行き先を決めても、取り分が少なすぎる相続人から遺留分の請求が起きることがあります。

ほかに知っておきたい家族信託のデメリットは?

費用と兄弟の関係のほかにも、始める前に知っておきたい点があります。

始める前に家族で確かめたいこと
  • 何の財産を、何のために信託するかを一言で言えるか
  • 受託者になる子が、管理と報告を続けられるか
  • 兄弟全員が中身を知っているか
  • 信託に入れない財産の分け方を、遺言で決めておくか
  • 賃貸物件を入れる場合、赤字が出た時の税金の扱いを確認したか

賃貸物件を信託に入れると、その物件で出た赤字をほかの所得と差し引きできなくなる税金上のルールがあります。アパートを持つ家は、始める前に税理士に確認しておきましょう。

また、信託に入れなかった財産は、これまでどおり相続や遺言で分けることになります。家族信託だけで相続の準備がすべて終わるわけではないんです。

相続税を減らしたいなら、家族信託とは別の対策を考えます。相続時精算課税を使うケースやアパート経営の効果もあわせて見てみてください。

相続税がかかりそうな財産がある、アパートなど管理が必要な不動産がある、兄弟の間で考え方が違う。こんなケースは、信託と相続税の両方を見てくれる専門家に一度相談すると、やるかやらないかを決めやすくなります。

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わが家のケースは、相続に強い税理士に聞くのが近道

相続税がかかりそう、土地や自宅がある、相続人が多い、期限が近いといったケースでは、相続税に詳しい税理士に早めに相談すると安心です。税理士ドットコムなら、全国7,500名以上の登録税理士から相続に強い税理士を無料で紹介してもらえます。

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よくある質問

家族信託をすると相続税は安くなりますか?

安くなりません。信託した財産から利益を受けるのは親のままなので、親が亡くなった時は信託した財産も相続税の対象になります。

家族信託は必要ないと言われるのはどんな家ですか?

財産が自宅と預金だけで相続税がかからず、自宅を売る予定もない家です。この場合は遺言で分け方を決めておくだけで足りることがあります。

受託者を兄弟の1人にすると、ほかの兄弟とトラブルになりますか?

なりやすいのは、ほかの兄弟が中身を知らないまま始めたケースです。契約の前に全員へ説明し、受託者が定期的にお金の出入りを報告する決まりにしておくと、もめにくくなります。

まとめ

この記事の要点
  • 家族信託は財産の管理を子に任せる仕組みで、相続税を減らす効果はない
  • 財産3,000万円で子2人なら相続税は0円で、費用倒れになりやすい
  • 受託者を1人で決めて兄弟に説明しないと、相続でもめやすい
  • 賃貸物件の赤字はほかの所得と差し引きできなくなる
  • 信託に入れない財産は、遺言などで分け方を決めておく
相続ケース案内

相続ケース案内 編集部

家族構成や財産の状況ごとに、相続・相続税がどうなるかを公的機関の公開情報をもとに解説しています。 公式サイト

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