遺留分を請求されたら相続税はどうなる?払う側・もらう側のケース別に計算

遺留分を請求された時の相続税を払う側・もらう側のケース別に計算する記事のアイキャッチ

当サイトは国税庁・法務省・裁判所などの公開情報をもとに編集部が執筆しています。記事内のサービス紹介には広告を含みます。

遺言どおりに相続税を申告した後で、ほかの兄弟から遺留分を請求された。『もう払った相続税はどうなるの?』と戸惑う方も多いはずです。

結論から言うと、遺留分の額が決まったら、払った側は相続税を減らす手続き、もらった側は相続税を足す手続きをします。この記事では、払う側ともらう側の立場別に計算していきます。

目次

遺留分を払ったら、相続税はどう変わる?

このケースの結論

父が亡くなり(母は先に死亡)、相続人は長男と次男。遺言で長男が1億2,000万円の全財産を受け、相続税1,160万円を申告。次男から遺留分を請求され3,000万円を払ったケースでは、長男の相続税は870万円に減り、次男が290万円を納めます。2人の合計は1,160万円のまま変わりません。

遺留分は、兄弟姉妹以外の相続人に認められた最低限の取り分です。子だけが相続人なら全体の遺留分は財産の2分の1で、それを法定相続分で分けます。次男の遺留分は2分の1 × 2分の1 = 4分の1、つまり3,000万円です。

2019年7月1日以降の相続では、遺留分はお金で請求する「遺留分侵害額請求」になっています。払った長男は取得した財産が減り、受け取った次男は財産が増えたものとして相続税を計算し直すんです。

払う側・もらう側、ケース別の手続きと税額

1億2,000万円、子2人のケースを計算するとこうなります。課税価格1億2,000万円から基礎控除4,200万円を引いた7,800万円が課税遺産総額で、相続税の総額は1,160万円です。

ケース長男の相続税次男の相続税手続き
遺言どおり(請求前)1,160万円0円長男が10か月以内に申告
遺留分3,000万円を払った後870万円290万円長男は更正の請求、次男は申告
遺産が4,000万円だった場合0円0円基礎控除4,200万円以下で申告不要
長男が全財産を相続したケースで、遺留分3,000万円を払う前と後の長男・次男の相続税と手続きを並べた計算シート

払った長男は、遺留分の額が確定したことを知った日の翌日から4か月以内に更正の請求ができます。この例なら、払いすぎた290万円が戻ってくる計算です。

もらった次男は、遺留分を受け取ったものとして相続税の申告(すでに申告していれば修正申告)をします。『請求したお金にも相続税がかかるの?』と思いますよね。遺留分は相続で取得した財産の一部なので、相続税の対象になるんです。

例えば、遺産が8,000万円で、次男に4分の1の2,000万円を払ったケース。相続税の総額470万円を3対1で分けて、長男352万5,000円・次男117万5,000円になります。遺産の額が変わっても、総額を取得割合で分け直すという考え方は同じです。

期限は国税庁の質疑応答事例でも確認できます。誰がいくら払うかの按分の仕組みは、按分割合の計算を兄弟3人のケースでで詳しく見られます。

お金の代わりに土地で払ったら?

「現金が足りないので、相続した土地で払ってもいいですか?」
「払えますが、その土地を売ったのと同じ扱いになるので、別の税金に気をつけてください」

実は、遺留分の代わりに土地を渡すと、長男がその土地を次男に譲渡(代物弁済)したと扱われます。長男に譲渡所得の税金がかかることがあるんです。

土地を売った時の税金の考え方は、相続財産を譲渡した場合の取得費の特例も参考にしてみてください。

さらに、次男はその土地を相続で取得したわけではないので、土地について小規模宅地等の特例は使えません。次男は遺留分に相当するお金を取得したものとして修正申告をします。

もし長男がすでに土地を売って現金にしていたなら、その売却分には譲渡所得の税金が別にかかります。遺留分の支払いと売却の税金は別々に考えておきましょう。

請求された時に気をつけることは?

遺留分侵害額請求には期限があります。もらう側にとっては大事な期限ですね。相続の開始と侵害を知った時から1年、相続開始から10年で請求できなくなります。

『まだ話し合い中だから、税金は後で考えればいい』と後回しにしがちですよね。ただ、払う側の更正の請求は、額が決まってから4か月以内です。決まったらすぐ動けるよう、準備しておきましょう。

遺留分の額で揉めている、土地で払うか迷っている、すでに相続税の申告が済んでいる。こんなケースは、修正申告と更正の請求をまとめて税理士に頼むと楽です。個別の判断は税理士に確認を。

税理士ドットコム

わが家のケースは、相続に強い税理士に聞くのが近道

相続税がかかりそう、土地や自宅がある、相続人が多い、期限が近いといったケースでは、相続税に詳しい税理士に早めに相談すると安心です。税理士ドットコムなら、全国7,500名以上の登録税理士から相続に強い税理士を無料で紹介してもらえます。

紹介料無料税理士ドットコムで相続に強い税理士を紹介してもらう

(税理士ドットコムの紹介ページに移動します・24時間365日受付)

よくある質問

遺留分を受け取ったら、相続税の基礎控除は変わりますか?

変わりません。基礎控除は法定相続人の数で決まるので、この例では4,200万円のままです。変わるのは各人の取得額と納付額です。

遺留分の請求を受けた側が何もしないとどうなりますか?

更正の請求をしなければ、払いすぎた相続税は戻りません。額が決まったことを知った日の翌日から4か月以内に手続きしましょう。

遺留分は兄弟姉妹にもありますか?

ありません。遺留分は兄弟姉妹以外の相続人に認められています。

まとめ

この記事の要点
  • 遺留分を払っても、相続税の総額は変わらず、2人の負担割合が変わる
  • 1億2,000万円・子2人の例で、長男1,160万円が870万円に、次男が290万円に
  • 払った側は額の確定を知った日の翌日から4か月以内に更正の請求
  • もらった側は相続税の申告か修正申告をする
  • 土地で払うと払った側に譲渡所得の税金がかかることがある
相続ケース案内

相続ケース案内 編集部

家族構成や財産の状況ごとに、相続・相続税がどうなるかを公的機関の公開情報をもとに解説しています。 公式サイト

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次