借地権付きの家を相続した時に地主へ伝えることと名義変更|承諾料が要るケース・要らないケース

借地権付きの家を相続した時の地主への連絡と名義変更をケース別に解説する記事のアイキャッチ

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親の家が建っている土地は、実は地主さんから借りている借地だった。相続したら地主にあいさつに行くべきなのか、お金を払わないといけないのか、気になりますよね。

結論から言うと、子どもなどの相続人が借地権を受け継ぐだけなら、地主の承諾も承諾料も要らないとされています。地主には「相続で借地人が変わった」と知らせれば十分です。

ただし、相続人以外に遺贈する時や、相続した後に売る・建て替える時は話が変わります。この記事で、自分の家がどのケースに当たるかを確かめてみてください。

目次

借地の家を相続したら、地主の承諾は要る?

このケースではこうなる

例えば、父が借地の上に家を建てて住んでいて、父が亡くなり子2人が相続するケースです。借地権は家と一緒に相続人へ引き継がれ、地主の承諾や承諾料は要らないとされています。やることは、地主への連絡、家(建物)の相続登記、地代の支払い先の切り替えの3つです。

借地権は、他人の土地を借りて自分の建物を建てられる権利です。この権利も、家と同じように相続財産になります。

『地主さんに「名義書換料を払ってください」と言われたらどうしよう』と心配する方も多いはずです。相続は、借地権を売ったり譲ったりすること(譲渡)とは扱いが違います。

そのため、相続人が受け継ぐ場合は、地主の承諾がなくても借地権を引き継げるとされているんです。土地の賃貸借契約も、契約を結び直さずにそのまま相続人に引き継がれます。

それでも地主への連絡はしておく

承諾が要らないからといって、黙っておくのはおすすめしません。地代の振込名義が変わると、地主も「何かあったのかな」と心配しますよね。

連絡の時に伝えたいのは、次のようなことです。

  • 借地人が亡くなったこと
  • 誰が借地権と家を相続するか(決まっていなければ、決まり次第知らせること)
  • 地代の支払い方法や振込名義が変わること

「父が亡くなりまして、家は私が相続することになりました。地代はこれまでどおりお支払いします」
「そうでしたか。ご連絡ありがとうございます。契約書の写しを確認しておきますね」

こんな短いやりとりで十分です。関係が良いと、後で建て替えや売却の相談をする時もスムーズになります。

承諾料が要るケース・要らないケース

承諾料(地主に払うお金)が問題になるのは、相続そのものより、その後の動きの方です。ケース別に見てみましょう。

ケース地主の承諾理由・注意
子や配偶者など相続人が受け継ぐ要らないとされる相続は譲渡に当たらない。承諾料も原則として不要
遺言で相続人以外(孫・知人など)に遺贈する要ることが多い相続人以外への遺贈は譲渡と同じように扱われることがある
相続した後に借地権付きの家を売る要る第三者への譲渡になるため、地主の承諾と承諾料が問題になりやすい
相続した後に建て替える・大きく増改築する契約の内容しだい増改築を制限する特約があれば、地主の承諾が要る
兄弟で共有して受け継ぐ要らないとされるただし地代の支払いや将来の売却で全員の足並みが要る
借地権を誰が受け継ぐか、相続後にどうするかで地主の承諾が要るかどうかが分かれるケース別の分岐表

承諾料の金額は、法律で決まっているわけではありません。地域の慣行や地主との話し合いで決まるので、金額に迷う時は弁護士や不動産の専門家に相談してみてください。

兄弟で共有にする時の注意

『兄弟で半分ずつにすれば公平だよね』と考えがちです。でも、借地権を共有にすると、売る時や建て替える時に兄弟全員の同意が要ります。

住む人が1人なら、その人が借地権と家を受け継ぎ、ほかの兄弟には預貯金などで調整する分け方も検討してみてください。不動産全体をどう分けるかは、共有持分だけを相続した時の選択肢も参考になります。

名義変更は「家の相続登記」で行う

借地権の名義変更というと、土地の登記を変えるように思えますよね。実は、借地の土地の登記は地主の名義のままで、変えるのは家(建物)の登記です。

借地の家を相続した時の進め方
  1. 土地の賃貸借契約書を探し、地代・契約期間・特約(増改築や譲渡の制限)を確かめる
  2. 地主に、借地人が亡くなったことと相続人を知らせる
  3. 遺産分割協議で、借地権と家を誰が受け継ぐかを決める
  4. 法務局で家(建物)の相続登記をする
  5. 地代の支払い名義と振込口座を、受け継いだ人に切り替える

借地の上の家を自分の名義で登記しておくと、土地が売られて地主が変わった時なども、借地権を主張しやすくなります。登記は名義を整えるだけでなく、借地権を守る意味もあるんです。

相続登記は2024年4月1日から義務になりました。取得を知った日から3年以内に登記しないと、10万円以下の過料の対象になります。登録免許税は、建物の固定資産税評価額の0.4%です。

遺産分割がまとまらず期限に間に合いそうにない時は、相続人申告登記で義務を果たしておく方法もあります。

相続税では借地権をいくらで計算する?

『土地は地主さんの物だし、相続税は関係ないよね』と思いがちです。ただ、借地権も相続税の対象です。評価額は「その土地を自分の土地とした場合の評価額(自用地評価)× 借地権割合」で計算します。

借地権割合は地域ごとに決まっていて、国税庁の路線価図や評価倍率表で確認できます(国税庁 No.4611 借地権の評価)。

例えば、母がすでに亡くなっていて、父の財産を子2人が相続するケースで見てみます。基礎控除は4,200万円です。

項目小規模宅地等の特例を使わない特例を使える場合(330㎡以内)
借地の自用地評価4,000万円4,000万円
借地権(借地権割合60%)2,400万円480万円(80%減額)
家(建物の固定資産税評価額)500万円500万円
預貯金3,100万円3,100万円
課税価格の合計6,000万円4,080万円
相続税の総額180万円0円
借地権の評価額と小規模宅地等の特例を使った場合と使わない場合の課税価格と相続税を並べた財産内訳バーの図

借地権も、自宅の敷地として使われていれば小規模宅地等の特例の対象になりえます。このケースでは、特例を使えるかどうかで相続税が180万円か0円かに分かれます。

ただし、特例で0円になる場合でも、相続税の申告は必要です。家を受け継ぐ子が同居していたか、持ち家がない別居の子かなどで要件が変わるので、使えるかは税理士に確認を。

借地権の評価、地主との関係、特例の要件と、借地の相続は判断することが多めです。財産が基礎控除を超えそうな時や、相続人が何人もいる時は、評価から申告まで税理士に任せると楽になります。申告期限は、亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内です。

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借地を含めた不動産全体の動き方は、実家・空き地・賃貸物件のケース別にやることもあわせて見てみてください。

よくある質問

借地権を相続したら、地主に承諾料を払う必要がありますか?

子や配偶者などの相続人が受け継ぐだけなら、地主の承諾も承諾料も要らないとされています。ただし、相続した後に売る時や、契約で制限された増改築をする時は、地主の承諾と承諾料が問題になることがあります。

借地権の名義変更はどうやってしますか?

借地の上の家(建物)の相続登記をします。土地の登記は地主の名義のままです。あわせて地主に連絡し、地代の支払い名義を切り替えておきましょう。

借地権にも相続税はかかりますか?

かかります。評価額は自用地評価に借地権割合をかけて計算します。自宅の敷地なら小規模宅地等の特例の対象になりえますが、適用には申告が必要で、要件を満たすかは税理士に確認してください。

まとめ

この記事の要点
  • 相続人が借地権を受け継ぐだけなら、地主の承諾も承諾料も要らないとされる
  • 相続人以外への遺贈、相続後の売却や建て替えは、地主の承諾が要ることがある
  • 名義変更は家(建物)の相続登記で行う。取得を知った日から3年以内
  • 借地権の評価は自用地評価×借地権割合。例では4,000万円×60%で2,400万円
  • 小規模宅地等の特例を使えると、子2人・課税価格6,000万円の例で相続税180万円が0円に
相続ケース案内

相続ケース案内 編集部

家族構成や財産の状況ごとに、相続・相続税がどうなるかを公的機関の公開情報をもとに解説しています。 公式サイト

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