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亡くなった父の遺産は、銀行の預金だけ。『土地もないし、協議書なんて簡単に書けるはず』と思って書き始めたら、口座の書き方で手が止まった方も多いはずです。
結論から言うと、預金は「金融機関・支店・種類・口座番号」で特定すれば足ります。この記事では、口座ごとに分けるケースと、1つの口座を割合で分けるケースの記載例を比べていきます。
口座ごとに分けるなら、どう書けばいい?
夫が亡くなり、妻と子2人が3つの口座を1つずつ取得するケースなら、協議書には口座ごとに「金融機関名・支店名・預金の種類・口座番号」を書き、「その口座の預金の全部を〇〇が取得する」と書きます。残高は書かなくても口座は特定できます。
口座ごとに分けると、各相続人がそれぞれの銀行で手続きを進められます。話し合いがまとまりやすいのも、この分け方の良いところです。
記載例はこうなります。
「第1条 次の預金は、相続人〇〇(妻)が取得する。
〇〇銀行 〇〇支店 普通預金 口座番号〇〇〇〇〇〇〇
第2条 次の預金は、相続人〇〇(長男)が取得する。
〇〇信用金庫 〇〇支店 定期預金 口座番号〇〇〇〇〇〇〇」
『残高も書いた方が丁寧なのでは?』と思いますよね。ただ、残高を書くと、利息が付いた時や引き落としがあった時に金額がずれてしまいます。口座番号で特定し、「預金の全部(利息を含む)」と書いておく方が後で困りません。
- 金融機関名と支店名を通帳どおりに書いているか
- 普通・定期・貯金などの種類を書いているか
- 口座番号の桁を間違えていないか
- ゆうちょ銀行は記号・番号で書いているか

1つの口座を割合で分けるなら?
口座が1つしかない、または金額をきっちり公平にしたい。そんなケースは、1つの口座を割合で分ける書き方になります。
「第1条 次の預金は、相続人〇〇(長男)が代表して解約して払戻しを受け、その金額を妻が2分の1、長男と長女が4分の1ずつの割合で分ける。
〇〇銀行 〇〇支店 普通預金 口座番号〇〇〇〇〇〇〇」
ここで大事なのが、誰が代表して手続きするかを書いておくことです。代表者を決めておくと、銀行の手続きが1人で進められます。代表者の決め方は相続人代表が受け取るケースの請求書の書き方も参考になります。
| ケース | 書き方 | 向いている家 | 理由・注意 |
|---|---|---|---|
| 3つの口座を妻・長男・長女が1つずつ | 口座ごとに取得者を書く | 口座ごとの残高が近い家 | 各自がそれぞれの銀行で手続きできる |
| 1つの口座を割合で分ける | 代表者と割合を書く | 口座が1つ・公平にしたい家 | 代表者が払戻しを受けて分ける |
| 後から別の口座が見つかった | 後で見つかった財産の取得者を書いておく | 口座を把握しきれていない家 | 協議のやり直しを避けられる |
後から通帳が出てくることは珍しくありません。「本協議書に記載のない財産が後日判明した時は、長男が取得する」のように一文入れておくと安心です。
「後から定期預金が出てきたら、また全員で集まるの?」
「最初に一文入れておけば、集まらずに済むよ」
預金だけでも、相続税はかかる?
預金だけの遺産でも、合計が基礎控除を超えれば相続税がかかります。基礎控除は3,000万円+600万円×法定相続人の数で、妻と子2人なら4,800万円です。
例えば預金が合計4,000万円なら、基礎控除以下なので相続税はかからず、申告もいりません。合計5,000万円になると、課税遺産総額は200万円で、相続税の総額は20万円です。
5,000万円のケースでは、分け方でも納める額が変わります。
| 分け方(預金5,000万円・妻と子2人) | 妻の取得 | 子2人の取得 | 納付税額の合計 |
|---|---|---|---|
| 法定相続分どおり | 2,500万円 | 各1,250万円 | 10万円(子が各5万円) |
| 妻は取得せず子だけで分ける | 0円 | 各2,500万円 | 20万円(子が各10万円) |
法定相続分どおりなら、妻の分は配偶者の税額軽減で0円になります。ただし、軽減を使って0円にする時も申告は必要です。
『妻の分が0円なら、申告しなくていいよね?』という誤解は多いので注意しておきましょう。申告期限は、亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内です。
協議がまとまる前に葬儀費用などが必要なら、預貯金の仮払い制度も使えます。1つの金融機関ごとに、相続開始時の預金額×1/3×その人の法定相続分、上限150万円まで単独で払い戻せます。
口座が多い、預金の合計が基礎控除の近くにある、申告がいるか分からない。こんなケースは、協議書の段階から専門家に見てもらうと手戻りが減ります。
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よくある質問
協議書に預金の残高を書かないといけませんか?
書かなくても、金融機関名・支店名・種類・口座番号で口座は特定できます。残高を書くと利息などで金額がずれることがあるので、「預金の全部(利息を含む)」と書く方法がよく使われます。
銀行ごとに協議書を分けて作ってもいいですか?
作れます。ただ、相続人全員の署名と実印が毎回必要になるので、1通にまとめて全口座を書いておく方が手間は少なく済みます。
預金だけなら協議書なしで手続きできますか?
金融機関によっては、協議書の代わりに所定の依頼書へ相続人全員が署名押印する方法も選べます。口座が複数ある時は、協議書を1通作っておくと各銀行で使い回せて楽です。
まとめ
- 預金は金融機関名・支店名・種類・口座番号で特定し、残高は書かなくてよい
- 口座ごとに分けると、各相続人がそれぞれの銀行で手続きできる
- 1つの口座を割合で分けるなら、代表者と割合を書く
- 後で見つかった口座の取得者も一文入れておく
- 預金5,000万円・妻と子2人なら、法定相続分どおりで納付税額の合計は10万円
戸籍の束を何度も出したくない時は、法定相続情報一覧図を取るケースもあわせて見てみてください。




