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親が亡くなって通帳を見たら、思っていたより残高が少なかった。『親の預金を管理していたのは兄だけど、何に使ったの?』と、聞くに聞けずにいる方も多いはずです。
結論から言うと、まずは管理していた兄弟に「何に使ったか」を説明してもらい、自分でも金融機関の取引履歴で出入りを確かめるのが第一歩です。この記事では、ケースごとに確認の進め方と、遺産分割での扱いの違いを見ていきます。
管理していた兄弟に使い道を聞いてもいい?
聞いて大丈夫です。親から通帳を預かって管理していたなら、頼まれて事務をしていた立場なので、使い道を説明してもらうのは自然なことなんです。介護費などの領収書がそろえば話は早く終わります。説明がつかないお金が残った時は、遺産に戻して分けるかどうかを話し合うことになります。
民法では、頼まれて事務をした人は、頼んだ人の求めがあれば状況を報告し、終わった後は経過と結果を報告することになっています(民法第645条)。親が亡くなった後は、相続人がその立場を引き継ぎます。
『でも、介護を任せきりだった自分が言うのは気が引ける…』
そう感じるのは自然です。ただ、責めるための質問ではなく、遺産をきちんと分けるための確認なんです。
切り出す時は、こんな言い方がやわらかいですよ。
「介護、本当にありがとう。遺産を分ける前に、通帳の出入りだけ一緒に見ておきたいんだけど、いいかな」
使い道の説明がつくケースとつかないケースの違い
同じ「預金が減っていた」でも、中身によって結論はかなり変わります。よくあるケースを並べてみます。
| ケース | 結論 | 理由・注意 |
|---|---|---|
| 介護施設や病院への支払いで、領収書や請求書がある | 親のための支出として遺産から外れる | 親の生活費として使ったお金なので、問題になりにくい |
| 毎月の生活費として少しずつ引き出していた | 金額が親の暮らしぶりに見合えば説明がつく | 通帳と家計の記録を照らし合わせる |
| まとまった額が引き出され、使い道の説明がない | 遺産に戻して分けるか話し合う | 引き出した本人が使ったなら、その人の同意なしで遺産に含めて考えられる |
| 親が生前に「これは使っていい」と渡していた | 贈与として扱われることがある | 他の兄弟との公平の問題(特別受益)になることも |
3つ目のケースは、2019年の民法改正で整理された点です。遺産を分ける前に相続人の1人が預金を引き出した場合、他の相続人全員が同意すれば、そのお金も遺産として残っているものとみなせます。引き出した本人の同意はいりません(民法第906条の2)。

通帳がなくても取引履歴は確認できる?
『通帳は兄が持っていて見せてくれない』という方もいますよね。
実は、相続人なら1人でも、金融機関に亡くなった親の口座の取引履歴を出してもらえます。窓口で、親が亡くなったことと自分が相続人であることが分かる戸籍などを出して頼んでみてください。手数料は金融機関ごとに違います。
- 引き出しの日付と金額が、施設や病院の請求の時期と合っているか
- 1回にまとまった額が出ていないか
- 親が入院中や施設にいた時期に、ATMで引き出されていないか
- 別の口座(兄弟名義の口座など)への振り込みがないか
- 亡くなった直後に引き出しがないか
亡くなった後の引き出しは、葬儀費用の支払いに使われていることもあります。その場合は、領収書があれば説明がつきます。
なお、遺産分割の前でも、預貯金の仮払い制度を使えば、1つの金融機関ごとに「相続開始時の預金額×1/3×自分の法定相続分」、上限150万円までは1人で払い戻せます。葬儀代などで急ぐ時の方法です。
話し合いで決着しない時はどうなる?
説明を求めても答えてもらえない時や、金額に納得がいかない時は、家庭裁判所の遺産分割調停を使う方法があります。申立ての費用は、亡くなった人1人につき収入印紙1,200円分と、連絡用の郵便切手です(裁判所:遺産分割調停)。
ただ、ここが大事なところです。「引き出したこと自体を認めない」「使った額で争いになる」という場合は、調停だけでは話がまとまらず、別に裁判で返してもらうよう求める流れになることもあります。
どのルートがよいかは、証拠の量や金額で変わります。早めに弁護士に相談してみてください。
なお、相続開始から10年を過ぎると、特別受益や寄与分を主張できなくなり、原則として法定相続分で分けることになります。長く放っておかないことも大切です。
介護をした兄弟が「その分多くもらいたい」と言う場合は、遺留分や取り分をケース別に計算した記事もあわせて見ておくと、話し合いの目安になります。調停の手紙が届いた側の準備は遺産分割調停を申し立てられた時にやることでまとめています。
使途不明の預金を遺産に戻すと、相続税の計算にも関わってきます。遺産が基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超えそうなら、預金の出入りを洗い出す段階から税理士に入ってもらうと楽です。
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よくある質問
管理していた兄弟が「親に頼まれて使った」と言うだけで、記録がありません。
記録がないと、他の兄弟が納得しにくいのは自然なことです。取引履歴と施設・病院の請求書を照らし合わせ、説明がつかない分をどう扱うかを話し合ってみてください。まとまらなければ調停や弁護士への相談を考えましょう。
介護をしてくれた兄弟に、多少の謝礼を渡すのはおかしいですか?
おかしくありません。相続人どうしが合意すれば、遺産分割の中で介護をした人の取り分を多めにすることもできます。話し合いの中で決めておくと後でもめにくいです。
親名義の預金を兄弟名義の口座に移していた場合はどうなりますか?
中身が親のお金なら、名義が兄弟でも親の財産として扱われることがあります(名義預金)。相続税の申告でも問題になりやすいので、税理士に確認してみてください。
まとめ
- 預金を管理していた兄弟に、使い道を説明してもらうのは自然なこと
- 介護費や生活費で領収書があれば、親のための支出として遺産から外れる
- 説明のない引き出しは、他の相続人全員の同意で遺産に戻して考えられる
- 取引履歴は相続人1人でも金融機関に出してもらえる
- まとまらなければ遺産分割調停(収入印紙1,200円分)や弁護士への相談へ




