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『法定相続分どおりに分けるなら、わざわざ協議書を作らなくてもいいのでは?』。兄弟で揉めていない家ほど、そう考えますよね。
結論から言うと、協議書がなくても手続きできる場面はあります。ただ、預金の解約や相続税の特例では結局必要になることが多いんです。この記事では、作らなくていいケースと作るべきケースを判定していきます。
法定相続分どおりなら、協議書なしで相続できる?
遺産分割協議書が要らないのは、相続人が1人だけのケース、遺言書ですべての財産の行き先が決まっているケース、不動産を法定相続分の割合で共有登記するだけのケースです。預貯金の解約や、配偶者の税額軽減・小規模宅地等の特例を使う相続税の申告では、協議書を作っておくほうがスムーズです。
遺産分割協議書は、相続人全員で「誰が何をもらうか」を決めた結果を書き残す書類です。話し合い(協議)をしないなら、書く中身もないことになります。
ここが勘違いしやすいところです。「法定相続分どおり」には2つの意味があるんです。
1つは、何も決めずに全部の財産を法定相続分の割合で共有するやり方。もう1つは、「自宅は母、預金は子2人」のように分けて、結果として法定相続分の金額にそろえるやり方です。
後者は財産ごとに行き先を決めているので、立派な遺産分割協議です。協議書を作っておきましょう。
協議書が不要なケース・必要なケースの判定表
| ケース | 協議書 | 理由・注意 |
|---|---|---|
| 相続人が1人だけ | 不要 | 話し合う相手がいない |
| 遺言書ですべての財産の行き先が決まっている | 不要 | 遺言書で名義変更できる。遺言に書かれていない財産があれば協議が要る |
| 不動産を法定相続分の割合で共有登記する | 不要 | 相続人の1人からでも申請できる |
| 預貯金を解約・名義変更する | ほぼ必要 | 協議書か、金融機関の書類への全員の署名押印を求められる |
| 預金の仮払い制度を使う | 不要 | 1金融機関ごとに上限150万円まで単独で払い戻せる |
| 相続税の申告で配偶者の税額軽減・小規模宅地等の特例を使う | 必要 | 分割が決まっていることが前提。申告書に協議書の写しなどを付ける |
| 遺産が基礎控除以下で、預金も少額 | 作らない家もある | 後で財産が見つかった時に備えて、簡単でも残すと安心 |

実家を法定相続分で共有登記するケース
例えば、父が亡くなり、母と子2人が実家を相続するケース。法定相続分どおり、母2分の1・子4分の1ずつの共有で登記するなら、協議書は要りません。
相続登記は、2024年4月1日から義務になっています。取得を知った日から3年以内に登記しないと、10万円以下の過料の対象です。
『とりあえず共有にしておけば楽』と思う方もいるはずです。ただ、共有の家は、売る時も貸す時も共有者全員の同意が要ります。母が亡くなれば、その持ち分にまた相続が起きて、名義人が増えていきます。
「とりあえず3人の共有にしておけば、もめないですよね?」
「今はもめなくても、将来売る時に全員のハンコが要ります。誰が住み続けるかまで決めておくと後が楽です」
期限内に話がまとまらないなら、相続人申告登記で義務を果たす方法もあります。
遺言書があるのに財産が漏れていたケース
例えば、遺言書に自宅と預金は書いてあるのに、父名義の株式が書かれていなかったケース。書かれていない株式だけは、相続人全員で話し合って分けます。
この場合、協議書は株式についてだけ作れば足ります。遺言書で決まっている財産まで書き直す必要はありません。
協議書がないとどうなる?困るのはこんな時
実は、困るのは相続税の申告が必要な家です。
配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例は、誰がどの財産を取得したかが決まっていないと使えません。申告期限は、亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内です。
期限までにまとまらない時は、法定相続分で仮に申告し、「申告期限後3年以内の分割見込書」を出しておきます。分割が決まった後に更正の請求をすれば、特例を受けられます。
『うちは相続税がかからないから関係ない』という家もありますよね。その場合も、預貯金の手続きでは協議書があると話が早く進みます。
もう一つ困るのが、預貯金です。金融機関では、協議書がないと全員の署名押印をそろえることになり、兄弟が遠方に住んでいると手間がかかります。
協議の進め方は初回の話し合いで決めること、遺言書がある場合は遺言書の効力が及ぶ範囲で確認できます。
相続税の申告が要る、自宅に小規模宅地等の特例を使いたい、相続人が遠方に分かれている。こんなケースは、協議書の中身から税理士に相談すると、特例の要件に合った分け方を決めやすくなります。個別の判断は税理士に確認を。
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わが家のケースは、相続に強い税理士に聞くのが近道
相続税がかかりそう、土地や自宅がある、相続人が多い、期限が近いといったケースでは、相続税に詳しい税理士に早めに相談すると安心です。税理士ドットコムなら、全国7,500名以上の登録税理士から相続に強い税理士を無料で紹介してもらえます。
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よくある質問
遺産分割協議書を法定相続分どおりに書く時の書き方は?
「各相続人が法定相続分の割合で取得する」とだけ書くより、財産ごとに誰が取得するかを書くほうが、銀行や登記で使いやすくなります。相続人全員が署名し、実印を押して印鑑証明書を付けます。
協議書は自分たちで作ってもいいですか?
作れます。決まった書式はありません。財産を特定できる書き方にし、全員の署名と実印をそろえましょう。
遺産分割に期限はありますか?
法律上の期限はありません。ただ、相続開始から10年を過ぎると特別受益や寄与分を主張できなくなり、相続税の申告は10か月以内です。
まとめ
- 相続人1人・遺言書ですべて決まっている・法定相続分で共有登記するだけなら協議書は不要
- 財産ごとに分けて結果を法定相続分にそろえるのは、遺産分割協議にあたる
- 預貯金の解約や相続税の特例では、協議書があるほうがスムーズ
- 共有登記は、売る時に全員の同意が要り、名義人が増えていく
- 期限内にまとまらなければ、分割見込書を出して仮に申告する





