法定相続分と違う割合で遺産を分けても問題ない?税金と手続きの注意

法定相続分と違う割合で遺産を分ける時の税金と手続きの注意を解説する記事のアイキャッチ

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親と同居して介護してきた兄が多めに、遠方の弟は少なめに。こんな分け方を考えて『法定相続分どおりにしないと違法なのでは?』と心配になる方は多いですよね。

結論から言うと、相続人全員が合意すれば、法定相続分と違う割合で分けて問題ありません。この記事では、割合を変えた時に税金と手続きで何が変わるかをケース別に見ていきます。

目次

子2人で8対2に分けたら、税金はどう変わる?

このケースの結論

遺産分割協議で全員が合意すれば、割合は自由に決められます。例えば課税価格6,000万円を子2人で分けると、相続税の総額は180万円で、割合を変えても総額は同じです。変わるのは各人の負担で、5対5なら90万円ずつ、8対2なら144万円と36万円になります。

例えば、母が先に亡くなっていて、父の遺産を子2人が相続するケースです。

ケース取得額納付額理由・注意
法定相続分どおり(5対5)3,000万円ずつ90万円ずつ(合計180万円)基礎控除は4,200万円
兄8・弟2で分ける4,800万円と1,200万円144万円と36万円(合計180万円)総額は同じ。多く取った人の負担が増える

『多くもらった兄に贈与税がかかるのでは?』と思うかもしれません。ただ、遺産分割協議で決めた取り分は、亡くなった人から相続で受け取ったものです。兄弟の間で贈与があったとは扱われないんです。

詳しくは兄弟の1人に多く渡しても贈与税がかからない理由で見られます。

課税価格6,000万円を子2人で5対5と8対2に分けた時の取得額と納付額を並べた計算シート

配偶者がいるなら、割合で総額が変わることも

子だけのケースでは総額が変わりませんでした。実は、配偶者がいると話が変わります。配偶者の税額軽減があるからです。

例えば、課税価格1億円を、妻と子2人で相続するケースで比べてみます。

ケース妻の取得子の取得納付額の合計理由・注意
法定相続分どおり5,000万円2,500万円ずつ315万円妻の分は配偶者の税額軽減で0円
妻は取らず、子だけで分ける0円5,000万円ずつ630万円税額軽減が使えず、子が157.5万円ずつ多く負担

『母はもう十分持っているから、全部子どもに』という声もよく聞きます。ただ、上の表を見ると、その選択で家族全体の納付額が2倍になっているのが分かりますよね。

相続税の総額は、どちらも630万円です。妻の取得が多いほど、軽減で消える分が増えて、家族全体の納付額が減ります。

ただ、妻が多く取ると、妻が亡くなった時の二次相続で子の税金が増えることもあります。どの割合が家族にとって得かは、二次相続まで計算して決めておきましょう。

割合を変える時に気をつけたいことは?

割合は自由でも、守るべきルールはあります。

まず、財産の中身によっては割合どおりに分けにくいこともありますよね。例えば遺産の大半が自宅で、兄が住み続けるケースです。

その時は、兄が自宅を取得して、弟に自分のお金を払って調整する分け方もあります。払う金額も含めて、協議書に書いておきましょう。

法定相続分と違う割合にする時のチェック
  • 相続人全員が合意して、協議書に署名押印したか
  • 遺言がある場合、遺留分を侵害していないか
  • 配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例を使うなら申告したか
  • 申告期限(亡くなった日の翌日から10か月以内)に間に合うか
  • 相続開始から10年を過ぎていないか

遺言で外された人がいる時は、遺留分の請求を受けることがあります。いくらになるかは遺留分のケース別計算で確認できます。

2023年4月1日施行の改正で、相続開始から10年を過ぎると、特別受益や寄与分を主張できなくなりました。原則として法定相続分で分けることになるので、介護の貢献を割合に反映したいなら早めに話し合っておきましょう。

例えば、こんなやりとりがよくあります。

「父の面倒を見てきたし、少し多めにもらえないかな」
「いいよ。ただ、後で揉めないように協議書に書いておこう」

一度決めた割合を後から変えると、贈与と見られることもあります。迷ったら遺産分割をやり直すと税金がかかるケースも読んでおいてください。

配偶者がいて割合を決めかねている、二次相続まで計算したい、というケースは税理士に頼むと楽です。いくつかの割合で税額を比べてもらえます。

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よくある質問

1人がすべてを相続する分け方もできますか?

相続人全員が合意すれば可能です。ほかの相続人は協議書に署名押印して、その内容に同意します。

法定相続分で分けないと、相続税の申告ができませんか?

申告は実際に取得した割合で行います。期限までに分け方が決まらない時は、法定相続分で仮に申告する方法があります。

遺言と違う割合で分けてもいいですか?

相続人全員の合意で遺言と違う分け方をすることもあります。遺言執行者がいる時などは扱いが変わるので、事前に専門家に確認してみてください。

まとめ

この記事の要点
  • 相続人全員が合意すれば、法定相続分と違う割合で分けてよい
  • 課税価格6,000万円・子2人なら、割合を変えても総額180万円は同じ
  • 配偶者がいると割合で納付額の合計が変わる(1億円・妻と子2人で315万円と630万円)
  • 協議で決めた取り分に贈与税はかからないが、やり直しは贈与と見られることがある
  • 相続開始から10年を過ぎると特別受益・寄与分を主張できなくなる
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相続ケース案内 編集部

家族構成や財産の状況ごとに、相続・相続税がどうなるかを公的機関の公開情報をもとに解説しています。 公式サイト

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