相続で印鑑証明を渡すのが不安な時、何に使われるかと渡し方

相続で印鑑証明を渡すのが不安な時に、使い道と渡し方を解説する記事のアイキャッチ

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親が亡くなって、手続きをまとめている兄弟から「印鑑証明を2通送って」と連絡が来た。『何に使うのかよく分からないまま渡して大丈夫?』と不安になりますよね。

結論から言うと、相続での印鑑証明は、遺産分割協議書に押した実印が本人のものだと示すために使います。この記事では、ケースごとの使い道と通数、不安を減らす渡し方を見ていきます。

目次

印鑑証明は何に使われる?渡して大丈夫?

このケースの結論

相続で印鑑証明を求められるのは、ほとんどが遺産分割協議書と一緒に出すためです。協議書の中身を確かめて自分で実印を押し、その協議書を出す先の数だけ渡せば、心配しすぎることはありません。白紙や中身を見ていない書類に実印を押さないことが何よりの防ぎ方です。

『印鑑証明を渡したら、勝手に何かされるのでは』と思う方も多いはずです。

実は、印鑑証明だけで何かの手続きができるわけではないんです。印鑑証明は「この印影が本人の実印だ」と示す書類で、実印が押された書類と組み合わさって初めて意味を持ちます。

だからこそ大事なのは、印鑑証明を渡すことよりも、実印を押す書類の中身です。例えば、遺産分割協議書に「実家は兄が相続する」と書かれていて、自分も納得しているなら、それに実印を押して印鑑証明を付けるのはごく普通の流れです。

ケース印鑑証明の使い道通数の目安
遺産が預金だけ銀行で、協議書とともに名義変更・解約に使う手続きする金融機関の数
実家の土地・建物がある法務局で、協議書とともに相続登記に使う登記に1通(原本は返してもらえない)
相続税の申告が要る税務署に出す協議書の写しと一緒に付ける申告に1通
自分は相続放棄した遺産分割協議に加わらないので、基本的に使わない求められたら何に使うか確かめる
母・兄・自分の家系図と、遺産の中身ごとに印鑑証明の提出先と通数が変わることを示したケース別の分岐表

求められた通数が多い時は、どこに出すかを聞いてみましょう。提出先を数えて、通数が合っていれば安心できますよね。

預金だけ・不動産あり、ケースで何が変わる?

同じ「印鑑証明を送って」でも、遺産の中身で出す先が変わります。2つのケースで見てみますね。

遺産が預金だけのケース

例えば、父が亡くなり、母と兄と自分が相続人で、遺産は2つの銀行の預金だけというケース。兄が代表して、2つの銀行で手続きをします。

この場合、印鑑証明は銀行ごとに1通ずつ、合わせて2通求められることが多いです。金融機関によっては、手続きのあとで原本を返してくれることもあるので、窓口で聞いてみてください。

銀行によっては、発行から一定期間内の印鑑証明を求めるところがあります。早く取りすぎると取り直しになることも。手続きの日が決まってから取るのがおすすめです。

実家の土地・建物があるケース

実家を兄が相続して相続登記をするなら、法務局にも印鑑証明を出します。法務局の記載例では、遺産分割協議書には実印を押し、相続人全員の印鑑証明書を1通ずつ付けるとされています。

登記に付ける印鑑証明書は、3か月以内に作られたものでなくてもよいとされています(法務局 不動産登記の申請書様式について)。一方で、印鑑証明書の原本は返してもらえません。銀行と登記で使い回すことはできないと考えておきましょう。

相続税の申告がある場合は、さらに税務署の分も要ります。預金の銀行2つ、登記、申告と重なると、合計4通という計算になります。

不安を減らす渡し方は?

ここが大事なところです。印鑑証明を渡すこと自体を避けるより、渡す前と渡し方で安心を作るほうが現実的です。

印鑑証明を渡す前のチェック
  • 遺産分割協議書の中身を全部読み、納得してから実印を押したか
  • 白紙や、財産の欄が空いた書類に実印を押していないか
  • 何に使うか、どこに出すかを聞いて、通数が合っているか
  • 協議書のコピーを手元に残したか
  • 実印そのものは渡さず、自分で押したか

「どこに出すのか教えてもらえる?」
「A銀行とB銀行、それに法務局の分だよ」

こんなふうに、提出先を一言聞くだけで安心感がずいぶん違います。聞きにくければ、「控えを残したいから」と言えば角が立ちません。

郵送で渡す時のコツ

遠方に住んでいて、協議書と印鑑証明を郵送でやり取りするケースもありますよね。その時は次のようにしておくと安心です。

  • 協議書は、全員分の押印欄がある完成版を送ってもらう
  • 自分で実印を押した協議書と印鑑証明を、同じ封筒で返送する
  • 送る前に協議書と印鑑証明をスマホで撮影しておく
  • 追跡できる郵便で送る

協議書の書き方や文面がケースでどう変わるかは、遺産分割協議書のケース別文例で確認できます。登記を家族に任せる時の委任状は、相続登記の委任状を家族に頼む時の書き方を見てみてください。委任状のほうは認印でよいとされています。

こんな頼まれ方をしたら立ち止まる

家族からの頼みでも、次のような形なら一度立ち止まって理由を聞いてみてください。印鑑証明そのものより、組み合わせのほうが気になる場面です。

頼まれ方気をつけたい理由返し方の例
実印を預けてほしい中身を見ていない書類に押されるおそれがある「書類を送ってくれたら自分で押すね」
印鑑登録証(カード)を貸してほしい自分の知らないところで印鑑証明を取られる「必要な通数は自分で取って送るよ」
協議書はあとで送るので、先に印鑑証明だけ何に使うか分からないまま手元を離れる「協議書と一緒に返送するね」
財産の欄が空いた書類に押してほしい後から内容を書き足されるおそれがある「中身が入ってから押すね」

身内を疑うようで気が引けますよね。ただ、こうした確認は手続きの基本なので、相手も嫌な気はしにくいはずです。後から「言った、言わない」にならないためにも、落ち着いて頼んでみましょう。

渡したくない時、印鑑証明がない時はどうなる?

『どうしても協議書の内容に納得できない』という時もありますよね。その場合は、印鑑証明を渡す前に、まず協議書の内容について話し合うのが先です。

遺産分割協議は、相続人全員の合意が必要です。誰か1人の実印と印鑑証明がそろわないと、協議書を使う手続きは進みません。話し合いでまとまらなければ、家庭裁判所の調停、それでも決まらなければ審判へと進みます。

印鑑登録をしていない人は、住民票のある市区町村で印鑑登録をすれば、印鑑証明を取れるようになります。実印を作るところから始めるケースもあるので、早めに準備しておきましょう。

一方、全員が納得していて、実家の土地もあり遺産が基礎控除を超えそう、というケースもありますよね。小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減を使うには申告が要り、協議書の写しと印鑑証明も必要になります。こうした家族は、相続税に詳しい税理士に頼むと、書類の通数まで含めて整えてもらえて楽です。

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よくある質問

相続で印鑑証明は何通必要ですか?

遺産分割協議書を出す先の数が目安です。預金の金融機関ごと、相続登記、相続税の申告と、出す先を数えてみてください。

印鑑証明に有効期限はありますか?

法務局の記載例では、相続登記に付ける印鑑証明書は3か月以内に作られたものでなくてもよいとされています。金融機関によっては発行からの期間を決めているので、事前に確認しておきましょう。

印鑑証明のコピーを渡してもいいですか?

登記や金融機関の手続きでは原本を求められるのが一般的です。何に使うかを聞いた上で、原本が要る先の分だけ渡しましょう。

まとめ

この記事の要点
  • 相続の印鑑証明は、遺産分割協議書の実印が本人のものだと示すために使う
  • 印鑑証明だけでは手続きはできず、大事なのは実印を押す書類の中身
  • 通数は、預金の金融機関・相続登記・相続税の申告など出す先の数が目安
  • 白紙や中身を見ていない書類に実印を押さない
  • 納得できない時は、渡す前に協議書の内容を話し合う
相続ケース案内

相続ケース案内 編集部

家族構成や財産の状況ごとに、相続・相続税がどうなるかを公的機関の公開情報をもとに解説しています。 公式サイト

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