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実家の相続登記を、平日に動ける兄がまとめて法務局へ出してくれることになった。そんな時、『委任状って誰が書くの?』と迷いますよね。
結論から言うと、委任状が要るのは「不動産を取得する人」と「法務局へ出しに行く人」が別の時です。この記事では、兄が手続きする場面を例に、誰が委任状を書くかと書き方を見ていきます。
兄が手続きするなら、委任状は誰が書く?
相続登記を申請するのは、不動産を相続する人です。その人以外の家族(例えば兄)が代わりに申請書を出すなら、相続する人から兄あての委任状が要ります。兄自身が相続するなら、兄が自分で申請するので委任状は要りません。
例えば、父が亡くなり、相続人が母と兄と自分の3人というケース。実家の土地と建物を誰が引き継ぐかで、委任状の要る人が変わります。
| ケース | 委任状を書く人 | 理由・注意 |
|---|---|---|
| 兄が実家を相続し、兄が申請する | 不要 | 相続する本人が申請人になる |
| 母が実家を相続し、兄が手続きする | 母(兄あて) | 申請人は母。兄は代理人として申請書に名前を書く |
| 兄と自分の共有で、兄が手続きする | 自分(兄あて) | 共有者それぞれが申請人。自分の分を兄に任せる |
| 遠方に住む自分が相続し、兄が手続きする | 自分(兄あて) | 書類のやり取りは郵送でもできる |
| 司法書士に頼む | 相続する人(司法書士あて) | 委任状の書式は司法書士が用意することが多い |

『家族なんだから、委任状なしで出してもいいのでは』と思う方もいるはずです。ただ、登記は名義を変える手続きなので、家族でも本人の意思を書面で示しておくことになります。
委任状には何を書く?法務局の記載例で確認
委任状の書式は決まった用紙ではありません。法務局が公開している申請書の記載例の中に「委任状の例」が載っているので、これに沿って作ると迷いにくいです(法務局 不動産登記の申請書様式について)。
記載例に載っている委任状は、次のような作りです。
| 書く項目 | 書き方の例(母が相続し、兄に任せるケース) |
|---|---|
| 受任者(任される人) | 兄の住所と氏名 |
| 任せる権限 | 申請書の作成と提出、登記識別情報通知書と登記完了証の受け取り、取下げや補正、登録免許税の還付金の受け取り、その他申請に必要な一切の権限 |
| 日付 | 委任状を書いた日 |
| 委任者(任せる人) | 母の住所と氏名、押印 |
| 登記の内容(記) | 登記の目的、原因(○年○月○日相続)、相続人、不動産の表示 |
任せる権限は、記載例の5項目をそのまま書き写して大丈夫です。自分で文を考えるより、抜けがなくて安心ですよね。
「記」の下の不動産の表示は、登記事項証明書(登記簿)の通りに写します。所在・地番・地目・地積、建物なら家屋番号・種類・構造・床面積まで、申請書と同じ内容にしておきましょう。
委任状の文例
母が相続し、兄が手続きするケースならこうなります。
私は、(兄の住所)(兄の氏名)に、次の権限を委任します。
1 下記の登記に関し、登記申請書を作成すること及び当該登記の申請に必要な書面と共に登記申請書を管轄登記所に提出すること
2 登記が完了した後に通知される登記識別情報通知書及び登記完了証を受領すること
3 登記の申請に不備がある場合に、当該登記の申請を取下げ、又は補正すること
4 登記に係る登録免許税の還付金を受領すること
5 上記1から4までのほか、下記の登記の申請に関し必要な一切の権限
(日付)(母の住所)(母の氏名)印
文例の下に「記」として、登記の目的・原因・相続人・不動産の表示を続けて書きます。
委任状の押印は実印?認印でいい?
ここが大事なところです。法務局の記載例では、委任状に押す委任者の印は認印で構わないとされています。
ただ、同じ相続登記でも、遺産分割協議書には実印を押して印鑑証明書を付けます。『どっちが実印だっけ』と混ざりやすいので、表で分けておきますね。
| 書類 | 押す印 | 注意 |
|---|---|---|
| 委任状 | 認印でよい | 申請のために作った書類なので、原本は返してもらえない |
| 遺産分割協議書 | 実印 | 相続人全員の印鑑証明書を付ける |
| 登記申請書 | 申請人か代理人の印 | 代理人が出す時は代理人の住所・氏名も書く |
代理人が申請する場合は、申請書の申請人の欄の下に代理人の住所と氏名を書きます。委任状だけ用意して、申請書に代理人の記載を忘れるのはよくあるミスです。
委任状でよくある書き間違い
法務局で補正を求められやすいのは、次のようなところです。出す前に一度見直しておきましょう。
- 不動産の表示が登記簿と1文字違う(地番の「番」と「番地」の混同など)
- 原因の日付が、亡くなった日ではなく遺産分割の日になっている
- 委任者の住所が住民票の表記と違う(丁目・番・号の省略)
- 建物を書き忘れ、土地だけの委任状になっている
実は、委任状と申請書の中身がずれていると、それだけで手続きが止まることも。申請書を先に作り、その内容を委任状に写す順番にすると、ずれを防げます。
印鑑証明書を兄に渡すのが不安という方は、印鑑証明を渡す時の不安と渡し方も見てみてください。
委任状をそろえたら、どの順で出す?
委任状ができたら、あとは申請書と添付書類をそろえて法務局へ出します。兄が手続きするケースの流れはこうです。
- 相続人全員で遺産分割協議をして、誰が実家を相続するか決める
- 戸籍、住民票の写し、固定資産税評価証明書などを集める
- 遺産分割協議書を作り、全員が実印を押して印鑑証明書を付ける
- 相続する人が、兄あての委任状を書いて押印する
- 兄が申請書を作り、代理人として法務局へ出す(郵送もできる)
- 登記完了後、兄が登記識別情報通知書を受け取り、相続した人へ渡す
戸籍の束を何度も出すのが大変なら、法定相続情報一覧図を取っておくと楽になります。どんな時に取るかは法定相続情報一覧図はどんな時に取る?にまとめています。
また、2026年10月5日以降に申請する場合は、登記名義人になる人の国籍などを申し出る新しい様式に変わっています。古い様式をダウンロードしたまま使わないよう、法務局のページで最新の様式か確かめておきましょう。
期限と費用も一緒に確認
相続登記は、不動産を相続で取得したと知った日から3年以内に申請する義務があります。正当な理由なく怠ると、10万円以下の過料の対象になります。
登録免許税は、固定資産税評価額の0.4%です。例えば課税価格が2,000万円なら、登録免許税は8万円になります。
「兄さん、仕事を休んで行ってくれるの?」
「平日に1回行けば済むから、書類だけそろえておいて」
こんなふうに役割を分けると、遠方の家族も動きやすくなります。
一方で、実家のほかに預金や株もあって遺産が基礎控除を超えそう、自宅に小規模宅地等の特例を使いたい、というケースもありますよね。特例は申告しないと使えないので、こうした家族は相続税に詳しい税理士に早めに相談しておくと安心です。
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わが家のケースは、相続に強い税理士に聞くのが近道
相続税がかかりそう、土地や自宅がある、相続人が多い、期限が近いといったケースでは、相続税に詳しい税理士に早めに相談すると安心です。税理士ドットコムなら、全国7,500名以上の登録税理士から相続に強い税理士を無料で紹介してもらえます。
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よくある質問
相続登記の委任状のテンプレートはどこでダウンロードできますか?
法務局の「不動産登記の申請書様式について」のページで、相続の申請書の記載例の中に委任状の例が載っています。Word形式とPDF形式があります。
委任状に印鑑証明書は付けますか?
法務局の記載例では、委任状の印は認印でよいとされています。印鑑証明書が要るのは、遺産分割協議書のほうです。
家族以外の知人に頼んでもいいですか?
登記の代理を仕事として行うのは司法書士です。家族以外に頼む場合は、司法書士に依頼するのが一般的です。
まとめ
- 委任状が要るのは、相続する人と申請に行く人が別の時
- 兄自身が相続して申請するなら委任状は要らない
- 書き方は法務局の記載例にある「委任状の例」の5項目を写すと迷わない
- 委任状は認印でよいが、遺産分割協議書は実印と印鑑証明書
- 代理人が出す時は、申請書にも代理人の住所と氏名を書く




