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親の介護や家業を長く支えてきたのに、遺産は兄弟と同じ割合。『それって不公平じゃない?』と感じている方は多いはずです。
結論から言うと、親の財産を守ったり増やしたりした「特別な貢献」があれば、寄与分として取り分を上乗せできます。この記事では、介護・家業・お金の負担の3つのケースで、取り分がいくらになるかを計算していきます。
寄与分があると、取り分はいくら増える?
父の遺産4,000万円を子2人で分けるケースで、5年間介護した長女の寄与分を400万円と決めたとします。遺産から400万円を先に引いた3,600万円を2人で分け、長女は1,800万円に400万円を足して2,200万円、長男は1,800万円になります。寄与分がなければ2,000万円ずつだったので、長女は200万円多く受け取る計算です。
寄与分の計算は、次の3ステップで進めます。
- 遺産から寄与分を引く(これが分ける元になる金額)
- 引いた後の金額を法定相続分で分ける
- 貢献した人だけ、寄与分を足す
ここで大事なところです。寄与分の金額そのものは、法律で一律に決まっているわけではありません。相続人全員の話し合いで決め、まとまらなければ家庭裁判所が決めます。
なので、この記事の寄与分の金額は「仮にこの額で合意した場合」の例として見てくださいね。
| 計算の段階 | 寄与分なし | 長女の寄与分400万円 |
|---|---|---|
| 遺産 | 4,000万円 | 4,000万円 |
| 寄与分を引いた金額 | 4,000万円 | 3,600万円 |
| 法定相続分(2分の1ずつ) | 2,000万円ずつ | 1,800万円ずつ |
| 長女の取り分 | 2,000万円 | 2,200万円 |
| 長男の取り分 | 2,000万円 | 1,800万円 |

どんな貢献が寄与分になる?
裁判所の説明では、寄与分は「被相続人の財産の維持又は増加について特別に寄与した」相続人に認められるものです。対象になる貢献の形は、次のように分かれています。
| 貢献の形 | 例えばこんなケース | 金額の考え方 |
|---|---|---|
| 療養看護 | 同居して毎日の介護を担い、介護サービスの費用がかからずに済んだ | 外部に頼んだらかかった費用を目安に、家族であることを考えて減らす |
| 家業の手伝い | 親の店や農業を長年ほぼ無給で手伝った | 本来もらえたはずの給与から、実際に受け取った分や生活費を引く |
| 財産上の給付 | 親の施設費用やローンを自分のお金で払った | 出したお金の額が基本 |
| その他 | 親の不動産の管理を無償で続けた | 管理会社に頼んだ場合の費用などを目安にする |
注意したいのは「特別な」という言葉です。親子なら当然するくらいの手伝い、例えば月に何度か顔を出して買い物を代わりにする程度では、寄与分になりにくいんです。
『じゃあ、どのくらいなら特別なの?』と思いますよね。よく目安にされるのは、無償であること、長い期間続いていること、仕事を減らすなどかなりの負担を負っていること、です。
介護の程度ごとに認められやすさを見たい方は、介護した兄弟の取り分が増えるケース・増えないケースも合わせてどうぞ。
家業やお金で親を支えたケースはいくら?
家業を無給で手伝った長男のケース
次は、父が個人で店をしていて、長男が長年ほぼ無給で店を手伝ってきたケースです。母はすでに亡くなっていて、遺産は6,000万円、子は3人とします。
話し合いで長男の寄与分を900万円と決めた場合の取り分はこうなります。
| 計算の段階 | 金額 |
|---|---|
| 遺産 | 6,000万円 |
| 長男の寄与分を引いた金額 | 5,100万円 |
| 法定相続分(3分の1ずつ) | 1,700万円ずつ |
| 長男の取り分 | 1,700万円 + 900万円 = 2,600万円 |
| 次男・三男の取り分 | 1,700万円ずつ |
この家族は相続税もかかります。法定相続人3人で基礎控除は4,800万円、課税遺産総額は1,200万円、相続税の総額は120万円です。
相続税は実際に取得した割合で分けるので、長男が52万円、次男と三男が34万円ずつになります。寄与分で取り分が増えた人は、その分税金も多めに負担する形です。
寄与分の話し合いと相続税の申告期限(死亡を知った日の翌日から10か月以内)が重なると、時間が足りなくなりがちです。このあたりで税理士に入ってもらうと、取り分と税額をまとめて計算してもらえます。
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施設費用を立て替えた次男のケース
3つ目は、お金を出したケースです。父の老人ホームの費用を、次男が自分の預金から500万円払っていたとします。遺産は3,000万円、相続人は子2人です。
寄与分を500万円と認め合えば、3,000万円から500万円を引いた2,500万円を2人で分けます。次男は1,250万円に500万円を足して1,750万円、長男は1,250万円です。
お金の貢献は、介護と比べて金額がはっきりしているのが強みです。そのぶん、振込の記録や領収書が残っているかで話が大きく変わります。
「立て替えた分、覚えてる?」
「通帳を見れば分かるはず」
こんな会話になった時に記録を出せるよう、今から残しておきましょう。
- 介護の記録(日付・内容・時間が分かるメモや日誌)
- 要介護認定の書類やケアプラン
- 自分が払った費用の通帳記録・領収書
- 家業を手伝った期間と、受け取っていた給与が分かるもの
- 仕事を辞めた、減らしたなら、その時期が分かるもの
介護したのが長男の妻なら「特別寄与料」
『介護をしたのは私(長男の妻)なんだけど、何ももらえないの?』という声もよく聞きます。
長男の妻は相続人ではないので、寄与分は主張できません。ただ、2019年7月1日からは特別寄与料という制度があり、無償で療養看護などをした親族は、相続人にお金を請求できます。
| ケース | 使える制度 | 期限・注意 |
|---|---|---|
| 介護したのが相続人(子) | 寄与分 | 相続開始から10年を過ぎると主張できなくなる |
| 介護したのが相続人でない親族(長男の妻など) | 特別寄与料 | 相続の開始と相続人を知った時から6か月、相続開始から1年 |
| 介護したのが内縁の配偶者 | 寄与分も特別寄与料も対象外 | 相続人がいなければ特別縁故者として財産分与を申し立てる道がある |

特別寄与料は期限がとても短いのが特徴です。話し合いがまとまらない時の家庭裁判所の調停は、収入印紙1,200円分(相手方が複数なら人数分)と郵便切手で申し立てます。
寄与分の調停も、申立人1人につき収入印紙1,200円分と郵便切手が必要です。遺言で一部の人に多く渡されている場合は、遺留分がいくらになるかも合わせて確認しておくと安心です。
よくある質問
寄与分に相場や上限はありますか?
法律で決まった相場はありません。貢献の内容や期間をもとに話し合いで決め、まとまらなければ家庭裁判所が決めます。
同居していただけでも寄与分になりますか?
同居しているだけでは難しく、無償で長く介護を担った、費用を負担したなど、親の財産が減らずに済んだと言える事情が要ります。
寄与分はいつまで主張できますか?
2023年4月1日施行の改正で、相続開始から10年を過ぎると原則として寄与分を主張できず、法定相続分で分けることになります。
まとめ
- 寄与分は「遺産から引く、法定相続分で分ける、貢献者に足す」の3ステップで計算する
- 金額は話し合いで決め、まとまらなければ家庭裁判所が決める
- 介護・家業・お金の負担で、金額の考え方が変わる
- 相続人でない長男の妻などは、期限の短い特別寄与料で請求する
- 寄与分で取り分が増えると、相続税の負担も増える




