兄弟が親に遺言書を書かせたかもしれない時の考え方

兄弟が親に遺言書を書かせた疑いがある時の考え方を説明する記事のアイキャッチ

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親と同居していた兄弟に有利な遺言書が出てきた。しかも書かれた時期は、親の物忘れが目立ち始めた頃だった。そんな時、『兄が書かせたんじゃないか』と考えてしまいますよね。

結論から言うと、「書かせた」だけでは遺言は無効になりません。この記事では、無効を主張できるケースと、遺留分の請求に切り替えた方がいいケースを見ていきます。

目次

兄弟が親に遺言書を書かせたなら、その遺言は無効になる?

このケースではこうなる

兄弟が勧めて書かせただけなら、親が内容を理解して自分の意思で書いている限り、遺言は有効です。無効を主張できるのは、書いた時に親の判断能力(遺言能力)がなかった場合や、だまされたり脅されたりして書いた場合です。

『そそのかして書かせたなら、ずるいはず』と思う方も多いはずです。ただ、法律が見るのは「誰が勧めたか」ではなく、「親が内容を分かって決めたか」なんです。

例えば、同居の長男が「お世話になっているから家は自分に」と頼み、親が納得して書いたケースがあります。この場合、ほかの兄弟が不公平だと感じても、遺言そのものは有効になります。

一方で、書いた当時、親が自分の財産や家族のことを理解できない状態だったなら話は別です。遺言能力がなかったとして、無効を争う余地が出てきます。

「書かせた」と感じやすい場面

不満が出やすいのは、親と同居していた兄弟だけが遺言の話を知っていたケースです。ほかの兄弟は、亡くなって初めて中身を知ることになりますよね。

例えば、親の通院や銀行の手続きを1人が担っていて、その時期に公正証書遺言が作られていたケースがあります。付き添いがその兄弟だけだと、どうしても誘導を疑ってしまうものです。

ただ、親が自分で頼んで付き添ってもらった可能性もあります。感情だけで決めつけず、作った日の状況を一つずつ確かめていきましょう。

自筆か公正証書か、判断能力はどうだったかで何が変わる?

遺言の形と、書いた時の親の状態で、争いやすさが変わります。主なケースを並べてみます。

ケース無効の主張理由・注意
親は元気で、兄弟に勧められて自筆で書いた通りにくい勧めただけでは無効にならない
判断能力が大きく落ちた時期に、自筆で書いた争う余地がある医療・介護の記録で当時の状態を確かめる
判断能力が落ちた時期に、公正証書で作った争えるが簡単ではない公証人と証人2人が立ち会っているため
文字が書けないはずの時期なのに、整った字で書かれている偽造の疑いもある筆跡や書かれた経緯をあわせて確かめる

公正証書遺言は、公証役場で証人2人の立ち会いのもとで作られます。そのため、遺言能力が争われても認められにくい面があります。

ただ、公正証書だから無効にならない、というわけではありません。当時の記録しだいで判断が分かれるので、記録を集めることがスタートになります。

遺言の形と書いた時の判断能力の組み合わせで、無効を主張できるかが分かれるケース別の分岐表
当時の状態を確かめる材料
  • 病院のカルテや、かかりつけ医の意見
  • 介護サービスの記録や、要介護認定の資料
  • 遺言を書いた頃の親の手紙・メール・日記
  • 遺言を書いた日に誰が付き添っていたか

無効を争うか、遺留分を請求するか、どう決める?

『無効にできなくても、何か言えることはないの?』という声もよく聞きます。実は、子や配偶者には遺留分という最低限の取り分があります。

遺留分は兄弟姉妹以外の相続人に認められ、子だけが相続人なら全体の1/2を法定相続分で分けます。例えば子2人なら、1人あたり遺産の1/4です。

「全部を兄に、という遺言なんだ。もう何も言えないのかな」

「子どもには遺留分があるから、まずそこを確かめよう」

無効を争うには、親の状態を示す証拠が要ります。証拠が少ない時は、遺留分侵害額請求で金銭を求める方が現実的なことも多いです。

ここが大事なところです。遺留分侵害額請求は、相続の開始と侵害を知った時から1年で消えてしまいます。無効を争う場合も、並行して請求の意思を伝えておきましょう。

金額の目安は遺留分をケース別に計算した記事で確かめてみてください。遺言書そのものに手が加えられた疑いがある時は、遺言書が書き換えられたかもしれない時に確認することも参考になります。

遺言の内容しだいで、相続税を誰がいくら納めるかも変わります。不動産が中心の遺産、相続人が3人以上、申告期限の10か月が近い。こうしたケースは、税理士に計算と申告を任せると負担が軽くなります。

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よくある質問

兄弟が親を説得して遺言書を書かせた場合、無効になりますか?

説得されただけで、親が内容を理解して自分の意思で書いたなら有効です。判断能力がなかった、だまされた、脅されたといった事情があれば無効を争う余地があります。

公正証書遺言でも無効を主張できますか?

できます。ただ、公証人と証人2人が立ち会って作られているため、自筆の遺言より認められにくい面があります。当時の医療や介護の記録が判断の材料になります。

無効の主張と遺留分の請求は両方できますか?

できます。無効が認められなかった時に備えて、遺留分侵害額請求の1年の期限内に請求の意思を伝えておくと安心です。

まとめ

この記事の要点
  • 兄弟が勧めて書かせただけでは、遺言は無効にならない
  • 無効を争えるのは、遺言能力がなかった場合やだまされた・脅された場合
  • 公正証書遺言は、自筆より無効が認められにくい
  • 証拠が少ない時は、遺留分侵害額請求の方が現実的なこともある
  • 遺留分の請求は、知った時から1年で消える
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相続ケース案内 編集部

家族構成や財産の状況ごとに、相続・相続税がどうなるかを公的機関の公開情報をもとに解説しています。 公式サイト

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