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何度話しても、兄弟で遺産の分け方が決まらない。『もう家庭裁判所しかないのかな』と考え始めている方も多いはずです。
結論から言うと、遺産分割調停は「裁判所で争う」手続きではありません。調停委員が間に入って、話し合いを続けるための場なんです。
この記事では、ケースごとに調停がどう進むか、何回くらい・いくらかかるか、まとまらなかった時にどうなるかが分かります。
調停に進むと、どんな流れで決まる?
遺産分割調停は、相続人の1人が家庭裁判所に申し立てて始まります。調停委員が双方から交代で話を聞き、合意を目指します。合意できれば調停成立、まとまらなければ自動的に審判に移り、裁判官が分け方を決めます。回数や期間は、何でもめているかで大きく変わります。
裁判所の説明では、話し合いがまとまらず調停が不成立になった場合は、自動的に審判手続が始まるとされています(裁判所 遺産分割調停)。
- 申立て: 相手方のうち1人の住所地の家庭裁判所か、当事者が合意で決めた家庭裁判所に申し立てる
- 期日の通知: 裁判所から相続人全員に呼出しが届く
- 調停期日: 調停委員が申立人・相手方から交代で事情を聞く
- 次の期日までに、資料の提出や案の検討をする(これを何回か繰り返す)
- 合意できれば調停成立。調停調書が作られ、これをもとに預金の解約や登記ができる
- まとまらなければ不成立となり、審判に移る
『相手と顔を合わせるのがつらい』という方もいますよね。調停では、基本は交代で部屋に入って話をするので、兄弟と直接言い合う場面は多くありません。
成立した後は、調停調書で手続きを進める
調停が成立すると、合意した内容が調停調書にまとめられます。この調書は、遺産分割協議書の代わりになるものです。
つまり、兄弟から改めて署名や実印をもらわなくても、預金の解約や不動産の名義変更を進められます。相続で不動産を取得した人は、取得を知った日から3年以内の相続登記が義務になっているので、成立したら早めに手続きしておきましょう。
審判になると、裁判官が分け方を決める
審判では、裁判官がそれまでの資料や主張をもとに分け方を決めます。兄弟の誰もが望まない形になることもあるんです。
例えば、誰も実家を手放したくないのに、売ってお金で分けるよう決まることも。『それなら調停で歩み寄っておけばよかった』とならないよう、調停の段階で落としどころを探しておきたいところです。
何でもめているかで、回数や期間はこう変わる
調停が何回で終わるか、期間がどのくらいかは、法律で決まっていません。期日は裁判所と当事者の都合で入るので、次の期日まで間が空きます。
回数を左右するのは、主に「何でもめているか」です。よくある3つのケースを比べてみます。
| ケース | 調停で話すこと | 長引きやすさ | 理由・注意 |
|---|---|---|---|
| 実家の値段だけでもめている | 評価額の決め方と、代償金の額 | 比較的まとまりやすい | 物差しが決まれば計算で答えが出る。鑑定を使うこともある |
| 連絡を無視する兄弟がいる | 相手が出てくるかどうか | 相手次第 | 欠席が続いても、まとまらなければ審判で決まる道がある |
| 介護の苦労や生前の援助でもめている | 寄与分・特別受益をどう見るか | 長引きやすい | 昔の出来事の証拠集めが要る。感情の対立も深い |

3つ目のケースは要注意です。2023年4月1日施行の改正民法で、相続開始から10年を過ぎると、特別受益や寄与分を主張できなくなりました(原則として法定相続分で分けることになります)。
『介護した分を考えてほしい』という気持ちがあるなら、先延ばしにしない方がいいんです。介護の負担をどう考えるかは、親の介護をしなかった兄弟と遺産を同じに分けるのは不公平?で詳しく書いています。
調停にかかる費用と、そろえる書類
申立ての費用は思ったより少ないです。裁判所の説明では、収入印紙は被相続人1人につき1,200円分です。これに連絡用の郵便切手がかかり、額は裁判所ごとに違います。
『もっとかかると思っていた』という方も多いですよね。ただ、弁護士に代理を頼む場合は、別に弁護士費用がかかります。
- 申立書と、事情説明書・進行に関する照会回答書
- 亡くなった人の出生から死亡までの戸籍謄本
- 相続人全員の戸籍謄本と、住民票か戸籍附票
- 不動産の登記事項証明書や固定資産評価証明書など、遺産が分かる資料
戸籍の束は集めるのが大変ですよね。2024年3月1日から、本籍地以外の市区町村窓口でも、自分や親・子などの戸籍をまとめて請求できるようになっています。
調停を申し立てる前に、「何でもめているか」を書き出しておくと、事情説明書も書きやすくなります。
調停の前に、もう一度だけ試せること
調停は、兄弟の関係を決定的に変えてしまうこともあります。『裁判所から書類が届いた』というだけで、相手が態度を硬くすることも少なくありません。
例えば、こんなやり取りで話が止まっている家もあります。
「もう調停にするしかないね」
「そっちがその気なら、こっちも弁護士を立てるよ」
申し立てる前に、止まっている理由をもう一度見直してみてください。値段でもめているなら評価の決め方を先に合意する、代償金が払えないなら分割払いを提案する、といった方法で動くこともあります。
それぞれの考え方は、実家の評価額で兄弟の意見が合わない時の決め方と、代償金を払うお金がない時に実家を相続する方法にまとめています。
調停中でも、相続税の申告期限は止まらない
ここが大事なところです。調停をしていても、相続税の申告期限は延びません。相続税がかかる家は、亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内に申告と納税が要ります。
分け方が決まっていない時は、法定相続分で分けたと仮定して申告します。その時に「申告期限後3年以内の分割見込書」を出しておけば、分け方が決まった後に配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例を受けられます。
調停が長引きそうで、相続税もかかりそうなケースは、申告と特例の扱いを早めに税理士に相談しておくと、期限に追われずに済みます。
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よくある質問
遺産分割調停は何回くらいで終わりますか?
回数の決まりはなく、何でもめているかで大きく変わります。実家の値段だけが争点なら比較的まとまりやすく、介護や生前の援助が争点だと長引きやすくなります。
調停に相手が来ない時はどうなりますか?
相手が欠席を続けて話し合いが成り立たなければ、調停は不成立となり、自動的に審判に移ります。審判では裁判官が分け方を決めます。
調停の費用はいくらですか?
裁判所に納める収入印紙は被相続人1人につき1,200円分で、ほかに連絡用の郵便切手がかかります(額は裁判所ごと)。戸籍などの取得費、弁護士に頼む場合はその費用が別にかかります。
まとめ
- 遺産分割調停は、調停委員が間に入って話し合いを続ける手続き
- 不成立なら自動的に審判に移り、裁判官が分け方を決める
- 回数や期間は、値段・連絡無視・介護や援助など、もめている理由で変わる
- 申立ての収入印紙は被相続人1人につき1,200円分と郵便切手
- 調停中でも相続税の申告期限は10か月のまま。分割見込書で特例の道を残す




