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親が亡くなり、残ったのは実家の土地と少しの預金。兄弟で話し始めたら、思っていたより話がかみ合わない。そんな状況に戸惑っていませんか。
結論から言うと、兄弟の相続トラブルの多くは「分けにくい土地」が原因で、揉め方のパターンごとに効く解決策がだいたい決まっています。この記事では、実家の土地をめぐる5つの事例から、自分の家に合う解決策を逆引きできるようにしました。
兄弟が実家の土地で揉めるのはどんな時?
住みたい人と売りたい人がいるなら代償分割、全員が手放したいなら換価分割(売って分ける)が出発点です。とりあえずの共有名義は、次の相続で持ち主が増えて動かせなくなりやすいので慎重に。話し合いが止まったら、家庭裁判所の遺産分割調停に進めます。
預金なら1円単位で分けられますよね。でも土地は、切り分けると使いにくくなるし、売るかどうかで意見が割れます。
そこに「親の面倒を見たのは自分だ」「兄は昔お金を出してもらった」という気持ちが重なると、話がこじれてしまうんです。まずは、よくある5つの事例を見てみましょう。
| 事例 | 揉めている点 | 向いている解決策 | 注意 |
|---|---|---|---|
| 1 兄が住み続けたい、弟は売りたい | 住むか売るか | 代償分割(兄が弟にお金を払う) | 兄に払えるお金があるか |
| 2 共有名義にしたら売れなくなった | 全員の同意が取れない | 共有の解消(持分の買い取り・売却) | 次の相続で共有者が増える |
| 3 介護した妹が多く欲しい | 取り分の差 | 寄与分の主張 | 相続開始から10年で主張できなくなる |
| 4 兄だけ家を建てる資金をもらっていた | 生前の援助 | 特別受益として計算に入れる | 同じく10年の期限がある |
| 5 地方の実家を誰も要らない | 押し付け合い | 売却・相続土地国庫帰属制度・相続放棄 | 相続登記の義務は残る |

事例1・2 住みたい兄と売りたい弟、共有名義の行き詰まり
事例1 兄が住み続けたい、弟は売りたい
例えば、母が亡くなり、実家に同居していた兄と、別に暮らす弟の2人が相続するケース。兄は住み続けたい、弟は売ってお金で分けたい、と意見が割れます。
こんな時に出てくるのが代償分割です。兄が土地と家を相続し、その代わりに弟へお金(代償金)を払う方法です。
『でも、兄にそんなお金はないはず』。そう思いますよね。実はここが、特に話が止まりやすいところなんです。代償金を用意できないなら、分割払いにする、預金を弟に多めに回すなど、組み合わせを考えます。
代償金の額は、土地の評価額をいくらと見るかで大きく変わります。路線価で見るのか、売れる値段で見るのか。ここを先にそろえておくと話が早いです。
例えば、弟が「売ればもっと高い」と言い、兄が「税金の評価額で十分」と言う。こんな食い違いはよくあります。不動産会社の査定を複数取って、全員で同じ数字を見ると落ち着きやすいですよ。
事例2 とりあえず共有名義にしたら売れなくなった
「揉めるくらいなら、兄弟で半分ずつの共有にしておこう」。一見、公平で穏やかな解決に見えますよね。
ただ、共有の土地を売るには共有者全員の同意が要ります。さらに兄弟の誰かが亡くなると、その持分を配偶者や子が相続して、持ち主がどんどん増えていきます。
数年後、甥や姪と連絡がつかず、誰も土地を動かせない。こんな事例は珍しくありません。共有にするなら、いつ売るか、誰が管理費を払うかまで決めておきましょう。
土地と現金の分け方の組み合わせは、土地と現金の分け方を兄弟の人数別に見た記事で詳しく比べています。
事例3〜5 介護した妹、援助を受けた兄、誰も要らない実家
事例3 親を介護した妹が多く欲しい
長年、親の介護をしてきた妹が「その分、多くもらいたい」と言うケースです。民法には寄与分という仕組みがあり、親の財産を守ったり増やしたりした貢献があれば、取り分を増やせることがあります。
『毎週通って世話をしたのに、兄と同じなのは納得できない』。その気持ちはもっともです。ただ、家族としての通常の手伝いを超えるかどうかが問われるので、認められるかはケース次第です。認められやすい例は介護した兄弟の取り分の記事で見てみてください。
事例4 兄だけ家を建てる資金をもらっていた
生前に兄だけが住宅資金の援助を受けていた、というケース。こうした援助は特別受益として、遺産を分ける計算に入れられることがあります。
「兄さんは家の頭金を出してもらったよね」
「それはもう昔の話だろう」
こんなやり取りで止まりがちです。注意したいのは、2023年4月1日施行の改正民法で、相続開始から10年を過ぎると特別受益も寄与分も主張できなくなったこと。原則として法定相続分で分けることになるので、言いたいことがあるなら早めに話し合いのテーブルに出しておきましょう。
事例5 地方の実家を誰も要らない
都市部に住む兄弟3人が、地方の実家を相続するケース。誰も住まない、管理も大変、と押し付け合いになります。
選択肢は、売って分ける、相続土地国庫帰属制度で国に引き取ってもらう、相続放棄する、のおおむね3つです。
国庫帰属制度は2023年4月27日に始まり、審査手数料が土地1筆14,000円、承認後に負担金(原則20万円)がかかります。建物がある土地は申請できないので、家を壊してから使う形になります。
相続放棄は、知った時から3か月以内に家庭裁判所へ申述します。ただ、放棄は土地だけでなく預金も含めて全部を手放すことになります。
もう1つ忘れがちなのが相続登記です。2024年4月1日から義務になり、取得を知った日から3年以内に登記が必要です。正当な理由なく怠ると10万円以下の過料があります。揉めていて決まらない間は、相続人申告登記で義務を果たせます。
話し合いが止まったら、どう進める?
兄弟だけでの話し合いが進まない時は、次の順番で考えてみてください。
- 財産の一覧と土地の評価額を、全員が同じ資料で見られるようにする
- 住みたい人、売りたい人、それぞれの希望を書き出す
- 代償分割・換価分割・共有のどれが合うかを比べる
- まとまらなければ、家庭裁判所の遺産分割調停を申し立てる
調停では調停委員が間に入るので、兄弟が直接言い合わずに済みます。それでもまとまらなければ審判になり、裁判官が分け方を決めます。
相続税の申告期限は、亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内です。揉めている間でも期限は進むので、法定相続分で仮に申告し、申告期限後3年以内の分割見込書を出しておきましょう。分割後に小規模宅地等の特例などを受けられます。
実家の土地の評価が分からない、代償金の額で揉めている、相続税がかかりそう。こんなケースは、土地評価に慣れた税理士に数字を出してもらうと、兄弟の話し合いが進めやすくなります。個別の判断は税理士に確認を。
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わが家のケースは、相続に強い税理士に聞くのが近道
相続税がかかりそう、土地や自宅がある、相続人が多い、期限が近いといったケースでは、相続税に詳しい税理士に早めに相談すると安心です。税理士ドットコムなら、全国7,500名以上の登録税理士から相続に強い税理士を無料で紹介してもらえます。
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よくある質問
兄弟の1人が勝手に実家に住み続けています。家賃を請求できますか?
遺産分割が終わるまで、実家は相続人全員のものとして扱われます。住んでいる人に使用料を求められるかは事情によるので、調停の場で話し合うか、弁護士に相談してみてください。
遺産分割調停はどこに申し立てますか?
相手方のうちの1人の住所地の家庭裁判所か、当事者が合意で決めた家庭裁判所です。
共有名義の土地を自分の持分だけ売ることはできますか?
自分の持分だけなら売ることはできます。ただ、買い手が限られ、ほかの共有者との関係がこじれやすいので、先に兄弟へ買い取りを打診してみましょう。
まとめ
- 住みたい人と売りたい人がいるなら、代償分割が出発点
- とりあえずの共有は、次の相続で持ち主が増えて動かせなくなりやすい
- 介護の寄与分や生前の援助は、相続開始から10年で主張できなくなる
- 誰も要らない土地は、売却・国庫帰属制度・相続放棄を比べる
- 話し合いが止まったら遺産分割調停へ。相続登記と相続税の期限は別に進む





