親が熟年再婚した時、子どもの相続分はどうなる?今からできる備え

親が熟年再婚した時に子どもの相続分がどう変わるかを、法律婚・事実婚・養子縁組のケース別に紹介する記事のアイキャッチ

当サイトは国税庁・法務省・裁判所などの公開情報をもとに編集部が執筆しています。記事内のサービス紹介には広告を含みます。

母が亡くなって数年、高齢になった父から「再婚しようと思う」と打ち明けられた。父の幸せを願う気持ちはあっても、『実家や預金はどうなるんだろう』と気になってしまう方も多いですよね。

結論から言うと、父が法律上の再婚をすると、再婚相手が相続人になり、子どもの相続分は半分に減ります。

この記事では、再婚の形ごとに子の取り分がどう変わるかと、子どもの立場で今からできる備えまで分かります。

目次

親が熟年再婚したら、子どもの相続分はどう変わる?

このケースの結論

父が婚姻届を出して再婚すると、再婚相手は配偶者として相続人になり、法定相続分は2分の1です。子2人の場合、子1人の取り分は2分の1から4分の1に減ります。婚姻届を出さない事実婚なら、再婚相手は相続人になりません。再婚相手の連れ子は、父と養子縁組をした時だけ相続人になります。

配偶者は常に相続人です。結婚した期間の長さは関係なく、再婚して1年でも、前の母と40年連れ添っても、法定相続分は同じ2分の1なんです。

父の再婚の形で、子の取り分がどう変わるか並べてみます(子2人のケース)。

ケース相続人子1人の法定相続分理由・注意
再婚していない子2人2分の1父の財産は子2人で分ける
婚姻届を出して再婚した再婚相手と子2人4分の1再婚相手が2分の1を相続する
事実婚(婚姻届を出していない)子2人2分の1内縁の配偶者は相続人ではない
再婚して、連れ子1人と父が養子縁組した再婚相手と子3人6分の1養子は実子と同じ相続分になる

『籍を入れないなら、私たちの取り分は変わらないの?』と思った方もいるはずです。そのとおりで、事実婚なら再婚相手は相続人ではありません。ただ、父が遺言で再婚相手に財産を残すことはできます。

再婚相手の連れ子の扱いは、連れ子は相続できる?養子縁組・遺言のケース別比較でくわしく紹介しています。

父が再婚した場合と再婚していない場合で、再婚相手と子2人の取り分がどう変わるかを示した家系図

父の遺産6,000万円なら、子の取り分と相続税はいくら?

数字で見ると、違いがはっきりします。例えば、父の遺産が6,000万円(自宅と預金)で、子が2人のケースです。

計算の流れ再婚していない再婚した(法定相続分どおり)
法定相続人子2人再婚相手・子2人
基礎控除4,200万円4,800万円
課税遺産総額1,800万円1,200万円
相続税の総額180万円120万円
子1人の取得3,000万円1,500万円
子1人の納付額90万円30万円
再婚相手の納付額なし0円(配偶者の税額軽減)

再婚すると相続人が1人増えるので、基礎控除は4,800万円に増えます。家族全体の相続税は減りますが、子1人が受け取る財産は3,000万円から1,500万円に減ります。

連れ子1人と養子縁組をした場合は、相続人が4人になり、基礎控除は5,400万円です。法定相続分どおりなら子1人の取得は1,000万円、納付額は10万円になります。

父が「全部を再婚相手に」という遺言を書いていたら

遺言があれば、遺言の内容が優先されます。ただ、子には遺留分(最低限受け取れる取り分)があります。

再婚相手と子2人が相続人なら、遺留分は全体で2分の1、子1人の遺留分は2分の1 × 4分の1 = 8分の1です。遺産6,000万円なら、子1人750万円になります。

ケース子1人が受け取る額子1人の納付額注意
遺言どおり全部を再婚相手が取得0円0円再婚相手は配偶者の税額軽減で0円(申告は必要)
子2人が遺留分を請求した750万円15万円請求はお金で行う。知った時から1年・相続開始から10年で消える

遺留分は自分から請求しないと受け取れません。期限も短いので、遺言の内容を知ったら早めに動いておきましょう。

再婚相手が先に全部を相続すると、実家はどこへ行く?

ここが大事なところです。子どもにとって本当に困りやすいのは、父の相続そのものより、その次の再婚相手の相続です。

例えば、父の実家を再婚相手が相続し、その後に再婚相手が亡くなったケース。子と再婚相手が養子縁組をしていなければ、子は再婚相手の相続人ではありません。

ケース再婚相手が亡くなった時の実家の行き先理由・注意
再婚相手に自分の子がいる再婚相手の子父の子は相続人にならない
再婚相手に子がいない再婚相手の親、または兄弟姉妹・甥姪父の子は相続人にならない
父の子と再婚相手が養子縁組していた父の子も相続人になる再婚相手の実子がいれば一緒に分ける
再婚相手が亡くなった時に、父の実家が再婚相手の子や親族へ移るか、父の子へ戻るかを養子縁組の有無で分けて示した分岐表

『父の家なのに、知らない親戚の物になるなんて』と思いますよね。でも、法律上はそうなってしまうんです。

「お父さんの家は、最後は私たちが引き継ぎたい」
「それなら、遺言でちゃんと決めておこうか」

こんな話を、父が元気なうちにできるかどうかで、後の結果が大きく変わります。

異母兄弟・異父兄弟が絡む相続の取り分は、異母兄弟がいる相続のケース別の取り分も参考にしてみてください。

子どもの立場で、今からできる備え

父の再婚に反対する必要はありません。大事なのは、再婚相手の暮らしも守りつつ、実家などを最後に誰が引き継ぐかを決めておくことです。

父と話しておきたい備え
  • 遺言書を作ってもらう(誰に何を残すかを財産ごとに書く。公正証書遺言なら検認が要らない)
  • 実家は子が取得し、再婚相手には配偶者居住権で住み続けてもらう形を考える
  • 子を受取人にした生命保険を使う(相続人が受け取る保険金は500万円 × 法定相続人の数まで非課税)
  • 再婚相手の財産を将来子も引き継ぐなら、子と再婚相手の養子縁組を検討する
  • 財産の一覧(不動産・預金・保険)を父と一緒に作っておく

配偶者居住権は、2020年4月1日から使える制度です。再婚相手は実家に住み続けられ、実家の所有権は子が持つので、再婚相手の相続で実家が他の親族へ行くのを防ぎやすくなります。

自筆の遺言書は、法務局の自筆証書遺言書保管制度を使うと、手数料1通3,900円で預けられて、検認も要りません。

専門家に相談した方がいいケース

父の財産に実家や賃貸物件があり、再婚相手と子の取り分をどう分けるか決めたい時や、遺留分を請求するか迷っている時は、税金と分け方を一緒に考える必要があります。家族だけで話すと感情的になりやすい場面でもありますよね。

相続税の計算や遺言を前提にした分け方の試算は、相続にくわしい税理士に頼むと楽です。遺留分の請求や再婚相手との交渉が必要なら、弁護士の仕事になります。

税理士ドットコム

わが家のケースは、相続に強い税理士に聞くのが近道

相続税がかかりそう、土地や自宅がある、相続人が多い、期限が近いといったケースでは、相続税に詳しい税理士に早めに相談すると安心です。税理士ドットコムなら、全国7,500名以上の登録税理士から相続に強い税理士を無料で紹介してもらえます。

紹介料無料税理士ドットコムで相続に強い税理士を紹介してもらう

(税理士ドットコムの紹介ページに移動します・24時間365日受付)

よくある質問

父の再婚相手と子は、何もしなくても親子になりますか?

なりません。父と再婚相手が結婚しても、子と再婚相手の間に法律上の親子関係はできません。親子になるには養子縁組が要ります。

再婚相手が亡くなった時、父から相続した財産を子が受け取る方法はありますか?

子と再婚相手が養子縁組をしていれば、子も再婚相手の相続人になります。養子縁組をしない場合は、再婚相手に遺言で子へ残してもらう方法があります。

父が事実婚の相手に財産を残したい場合はどうなりますか?

事実婚の相手は相続人ではないので、遺言で財産を残す形になります。相続人ではない人が遺言で取得した財産には、相続税が2割加算されます。子には遺留分があるので、遺言の内容によっては請求できます。

まとめ

この記事の要点
  • 父が婚姻届を出して再婚すると、再婚相手の法定相続分は2分の1。子2人なら子1人は4分の1に減る
  • 事実婚の相手は相続人ではない。連れ子は養子縁組をした時だけ相続人
  • 父の遺産6,000万円の例で、子1人の取得は3,000万円から1,500万円、納付額は90万円から30万円
  • 全部を再婚相手にという遺言でも、子は遺留分(この例で子1人750万円)を請求できる
  • 再婚相手が亡くなると、養子縁組がなければ実家は再婚相手の親族へ。遺言や配偶者居住権で備える
相続ケース案内

相続ケース案内 編集部

家族構成や財産の状況ごとに、相続・相続税がどうなるかを公的機関の公開情報をもとに解説しています。 公式サイト

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次