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そろそろ遺言書を書いておこうと思って、便せんとペンを用意した。でも『最初の一文は何て書くの?』『家や預金はどう書けば伝わるの?』と、いざ書こうとすると手が止まりますよね。
結論から言うと、自筆証書遺言は「誰に・何を・どう残すか」をはっきり書き、全文・日付・氏名を自分で書いて押印すれば形になります。この記事では、そのまま書き写せるひな形を家族のケース別に見ていきます。
わが家のケースだと、遺言書はどう書く?
夫が「全財産を妻に」と残したいなら、「遺言者は、遺言者の有する一切の財産を、妻〇〇(昭和〇年〇月〇日生)に相続させる。」と1文で書けます。最後に日付(年月日)と氏名を自書して押印すれば、自筆証書遺言としての形はそろいます。
自筆証書遺言のルールは、まず3つだけ押さえておけば大丈夫です。
- 本文・日付・氏名は、全部自分の手で書く
- 押印する(認印でもよいとされていますが、実印にしておくと安心です)
- 財産目録だけは、パソコンや通帳のコピーでもよい(各ページに署名押印)
家族の形によって、書き方が変わるポイントを表にしました。
| ケース | 本文の書き方 | 理由・注意 |
|---|---|---|
| 夫が全財産を妻に残したい | 「一切の財産を妻〇〇に相続させる」 | 子がいれば子にも遺留分がある |
| 子2人に家と預金を分けたい | 不動産は長男、預金は長女と財産ごとに書く | 財産を登記事項証明書や通帳どおりに特定する |
| 相続人ではない孫に残したい | 「孫〇〇に遺贈する」 | 相続人以外には「遺贈する」と書く |
| 子のいない夫婦で、妻に全部残したい | 「一切の財産を妻〇〇に相続させる」 | 兄弟姉妹には遺留分がない |

例えば、子がいない夫婦で夫が亡くなると、遺言が無ければ妻と夫の兄弟姉妹が相続人になります。妻に全部残す遺言を書いておけば、兄弟姉妹には遺留分が無いので、妻がそのまま全部を受け取れます。
ひな形1: 全財産を妻に残すケース
いちばん短いひな形です。夫が亡くなった後、妻が困らないように全部を残したいケースで見てみます。
遺言書
遺言者 〇〇〇〇 は、次のとおり遺言する。
第1条 遺言者は、遺言者の有する一切の財産を、遺言者の妻 〇〇〇〇(昭和〇年〇月〇日生)に相続させる。
令和〇年〇月〇日
住所 〇〇県〇〇市〇〇町〇丁目〇番〇号
遺言者 〇〇〇〇 印
ここが大事なところです。家族は名前だけでなく、続柄と生年月日も書いておくと、誰のことか取り違えられません。
『日付は「〇月吉日」でもいいよね?』と思う方もいるかもしれません。ただ、吉日では日が特定できず、遺言が無効になるおそれがあります。年月日まで書いておきましょう。
ひな形2: 子2人に家と預金を分けるケース
次は、家は同居している長男に、預金は長女に、と財産ごとに分けたいケースです。ここでは、財産をはっきり特定することが大きなポイントになります。
遺言書
遺言者 〇〇〇〇 は、次のとおり遺言する。
第1条 遺言者は、遺言者の有する次の不動産を、長男 〇〇〇〇(昭和〇年〇月〇日生)に相続させる。
(1)土地 所在 〇〇市〇〇町〇丁目 地番 〇番〇 地目 宅地 地積 〇〇.〇〇平方メートル
(2)建物 所在 〇〇市〇〇町〇丁目〇番地〇 家屋番号 〇番〇 種類 居宅
第2条 遺言者は、遺言者の有する次の預金を、長女 〇〇〇〇(昭和〇年〇月〇日生)に相続させる。
〇〇銀行 〇〇支店 普通預金 口座番号〇〇〇〇〇〇〇
第3条 遺言者は、前各条に記載した財産以外の一切の財産を、長男 〇〇〇〇 に相続させる。
令和〇年〇月〇日
住所 〇〇県〇〇市〇〇町〇丁目〇番〇号
遺言者 〇〇〇〇 印
不動産は、登記事項証明書に書かれているとおりに書きます。住所(住居表示)ではなく、所在と地番・家屋番号で書くのが基本です。
第3条のように「それ以外の財産は誰に」と書いておくと、書き漏れた財産があっても話し合いをせずに済みます。
「お兄ちゃんが家、私が預金って、遺言に書いてあったね」
「残りは全部お兄ちゃん、っていう一文もあったから、迷わなくて済んだよ」
財産の書き方を目録に分けたい時は、本文に「別紙財産目録1記載の不動産を長男〇〇に相続させる」と書き、目録を別に付けます。
ひな形3: 孫に一部を遺贈するケース
子が健在なら、孫は相続人ではありません。相続人ではない人に財産を残す時は、「相続させる」ではなく「遺贈する」と書きます。
遺言書
遺言者 〇〇〇〇 は、次のとおり遺言する。
第1条 遺言者は、遺言者の有する〇〇銀行〇〇支店の普通預金(口座番号〇〇〇〇〇〇〇)を、孫 〇〇〇〇(平成〇年〇月〇日生)に遺贈する。
第2条 遺言者は、前条に記載した財産以外の一切の財産を、長男 〇〇〇〇(昭和〇年〇月〇日生)に相続させる。
第3条 遺言者は、この遺言の遺言執行者として、長男 〇〇〇〇 を指定する。
令和〇年〇月〇日
住所 〇〇県〇〇市〇〇町〇丁目〇番〇号
遺言者 〇〇〇〇 印
孫が遺贈で財産を受け取ると、相続税がかかる場合はその孫の税額が2割増しになります。孫が孫養子でも同じで、代襲相続人の孫は対象外です。
遺言執行者を決めておくと、名義変更などの手続きをその人が進められます。書かなくても遺言は有効ですが、手続きの窓口が決まっていると家族は楽です。
財産目録・書き間違い・保管はどうする?
財産目録は、パソコンで作ったり、通帳のコピーや登記事項証明書を付けたりしてもかまいません。ただし、目録の全部のページに署名と押印が要ります。
書き間違えた時は、決まった訂正のしかたがあります。訂正のしかたを間違えると、その部分が無効になるおそれもあります。慣れないうちは、新しい紙に最初から書き直すほうが安心です。
- 本文・日付・氏名を全部自分の手で書いた(目録以外)
- 日付が「〇年〇月〇日」と特定できる書き方になっている
- 押印した
- 家族を続柄・氏名・生年月日で特定した
- 不動産は登記事項証明書どおり、預金は銀行名・支店・口座番号まで書いた
- パソコンの財産目録は全ページに署名押印した
自分で書いた遺言書は、家で保管すると、亡くなった後に家庭裁判所の検認が必要です(収入印紙800円/通)。法務局の自筆証書遺言書保管制度を使えば、検認は要りません。手数料は1通3,900円です。
保管制度に預ける場合は、用紙のルールがあります。
| 項目 | 保管制度のルール |
|---|---|
| 用紙 | A4サイズ |
| 余白 | 上5ミリ・下10ミリ・左20ミリ・右5ミリ以上 |
| 書く面 | 片面のみ(両面に書いた遺言書は預けられない) |
| ページ番号 | 各ページに「1/2」「2/2」のように書く |
| 綴じ方 | ホチキスなどで綴じない。封筒も不要 |
| 氏名 | 戸籍どおりの氏名で書く |
『家に置いておけば十分じゃない?』と思う方もいますよね。ただ、見つけてもらえない・書き換えられるといった心配がある時は、保管制度を使うと安心です。保管制度は遺言の中身が有効かどうかまでは確かめてくれない点も覚えておきましょう。
財産に自宅の土地があったり、相続人が多かったりすると、遺言の分け方しだいで相続税の額や納め方も変わります。特に、配偶者と子でどう分けるかは二次相続の税額にも響くので、書く前に税理士に相談しておくと分け方を決めやすくなります。
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わが家のケースは、相続に強い税理士に聞くのが近道
相続税がかかりそう、土地や自宅がある、相続人が多い、期限が近いといったケースでは、相続税に詳しい税理士に早めに相談すると安心です。税理士ドットコムなら、全国7,500名以上の登録税理士から相続に強い税理士を無料で紹介してもらえます。
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よくある質問
ボールペンで書いてもいいですか?
大丈夫です。保管制度でも、ボールペンや万年筆など消えにくい筆記具を使うよう案内されています。鉛筆や消せるペンは避けましょう。
夫婦で1枚の遺言書に一緒に書いてもいいですか?
2人以上が同じ書面で遺言することは認められていません。夫と妻で、それぞれ別に書きます。
遺言書を書いた後、家を売ってしまったらどうなりますか?
遺言に書いた財産が無くなっている場合、その部分は効力を失うと考えられています。財産が大きく変わったら、新しい日付で書き直しておくと安心です。
まとめ
- 本文・日付・氏名を自分で書いて押印すれば、自筆証書遺言の形になる
- 相続人には「相続させる」、孫など相続人以外には「遺贈する」と書く
- 日付は「吉日」にせず、年月日まで書く
- 財産目録はパソコンや通帳のコピーでもよいが、全ページに署名押印
- 法務局の保管制度なら検認不要。A4・片面・余白・ページ番号のルールがある
遺言で不動産を相続した後の名義変更は、相続登記の申請書の書き方で確認できます。相続人を一覧にする書類は法定相続情報一覧図の書き方も参考にしてみてください。





