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漁師をしていた親が亡くなり、港には親の船が残っている。『船はそのまま使っていいの?漁業権も子どもが引き継げるの?』と分からないことだらけですよね。
結論から言うと、漁船は普通の財産として相続できます。漁業権や漁業の許可も相続で引き継げるものがありますが、種類ごとに届け出の期限や条件が違うんです。
この記事では、子が漁業を継ぐケースと継がないケースで、船と権利の手続きがどう分かれるかを見ていきます。
漁船や漁業権は、子が相続できる?
漁船は相続財産なので、遺産分割で引き継ぐ人を決め、都道府県の漁船原簿の変更の登録をします。個別漁業権は相続で取得でき、取得から2か月以内に都道府県知事へ届け出ます。漁協が持つ共同漁業権などは親個人の財産ではないので、相続ではなく組合員の手続きで考えます。
漁業法では、漁業権は原則として人に移すことができません。ただし、相続と法人の合併・分割の場合だけは移転が認められています(第79条)。親から子への相続は、この例外にあたるんです。
一方で、漁協などの団体が持つ漁業権のもとで、組合員として漁をする権利は性質が違います。親が組合員として漁をしていた場合、子が同じ漁場で続けるには、漁協での手続きが中心になります。
| 引き継ぐもの | 相続できる? | 主な手続き | 理由・注意 |
|---|---|---|---|
| 漁船 | できる | 漁船原簿の変更の登録(2週間以内) | 船の大きさによっては船舶登記なども関わる |
| 個別漁業権(定置・区画など) | できる | 取得から2か月以内に知事へ届け出 | 適格性がないと譲渡を求められることがある |
| 漁協が持つ漁業権のもとで漁をする権利 | 相続とは別 | 漁協で組合員の手続き | 親個人の財産ではない |
| 大臣許可漁業の許可 | 地位を引き継ぐ | 承継から2か月以内に農林水産大臣へ届け出 | 相続人が複数なら協議で営む人を決められる |
| 知事許可漁業の許可 | 都道府県の規則による | 都道府県の水産担当に確認 | 県ごとに扱いが違う |

子が漁業を継ぐ時は、何をどの順で進める?
例えば、父が亡くなり、子2人のうち長男が漁業を継ぐケースで考えてみます。
「漁船は兄が継ぐとして、弟の取り分はどうしますか?」
「預貯金を多めに弟へ回すなど、遺産分割で調整するのが一般的です」
漁船も漁業権も、まずは遺産分割で長男が引き継ぐと決めるところからです。相続人が2人以上いる時、大臣許可漁業の許可は、協議で営む人を決めればその人が地位を引き継げます。
- 遺産分割で、漁船・漁業権・漁具を引き継ぐ人を決める
- 漁船原簿の変更の登録を、変更が生じた日から2週間以内に申請する
- 個別漁業権を取得したら、2か月以内に都道府県知事へ届け出る
- 大臣許可漁業なら、承継から2か月以内に農林水産大臣へ届け出る
- 知事許可漁業や漁協の組合員の手続きは、県と漁協に確認する
- 継ぐ人の名前で開業届を出す(開設から1か月以内)
漁船原簿の登録は、船の主たる根拠地を管轄する都道府県知事が受け付けています。登録票は船内に備え付けておく決まりもあるので、書き換えが済んだら差し替えておきましょう。
『親の権利なんだから、相続すれば自動的に使えるのでは?』と思いますよね。ただ、個別漁業権を相続しても、継ぐ人がその漁業権を持つ適格性がないと知事が判断すると、一定期間内に譲渡するよう通知されることがあります。漁業の経験がない子が継ぐ場合は、先に県に相談しておくと安心です。
個人事業としての届け出は、個人事業主の親が亡くなった時に事業を継ぐ・やめる場合の手続きで詳しく見られます。
継がない時、漁船や漁業権はどうなる?
『誰も漁師を継がないなら、船はどうしたらいいの?』と悩む方も多いはずです。継がない場合も、漁船はいったん相続財産として誰が引き継ぐか決めます。
| ケース | 漁船 | 漁業権・許可 | 理由・注意 |
|---|---|---|---|
| 長男が継ぐ | 長男の名義で登録を変更 | 届け出をして引き継ぐ | 弟の取り分は預貯金などで調整 |
| 誰も継がず船を売る | 相続した人が売却する | 引き継がずに手放す方向で県に相談 | 漁業権は自由に人へ譲れない |
| 船が古く買い手がない | 廃船にして登録を抹消する | 同上 | 解体費用がかかることがある |
漁業権は、相続などの例外を除いて人に移すことができません。継がない場合の扱いは、権利の種類で変わるので、都道府県の水産担当や漁協に確認してみてください。
船を売ったお金は、売った人の所得になる場合があります。相続した資産を売る時は、取得費は亡くなった親から引き継ぐ決まりです。
漁船の相続税は、どう評価する?
実は、漁船の評価方法は国税庁の財産評価基本通達で決まっています。
原則は、同じような船の売買実例価額や、専門家の意見価格を参考にして評価します。それが分からない船は、同じ種類・型の船を新しく造る時の価額から、建造からの年数分の減価(定率法)を差し引いて評価します。
漁具や作業場の土地も、相続財産に入ります。作業場の土地で漁業を継ぐ場合は、要件を満たせば特定事業用宅地等として400㎡まで80%減額できることもあります。
相続税の基礎控除は、3,000万円に600万円×法定相続人の数を足した額です。子2人なら4,200万円です。漁船や漁具、自宅、預貯金を合わせて、この額を超えそうか確認しておきましょう。
漁業の手続き全体は個人事業主の親が亡くなった時の手続きと期限の一覧でも確認できます。
漁船の評価額が分からない、作業場の土地に特例を使いたい、継ぐ人と継がない人の取り分を調整したい。そんなケースは、相続税の申告を税理士に頼むと評価と分け方を一緒に考えてもらえます。
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わが家のケースは、相続に強い税理士に聞くのが近道
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よくある質問
漁師だった親の漁業権は、相続で子が引き継げますか?
個別漁業権は相続で取得できます。取得から2か月以内に都道府県知事へ届け出ます。漁協が持つ漁業権のもとで漁をしていた場合は、相続ではなく漁協での組合員の手続きになります。
漁船の名義変更はどこで、いつまでにしますか?
船の主たる根拠地を管轄する都道府県知事に、漁船原簿の変更の登録を申請します。変更が生じた日から2週間以内が期限です。
漁船の相続税評価はどうやって出しますか?
同じような船の売買実例価額や専門家の意見価格を参考にします。分からない場合は、同じ型の船を新しく造る価額から、建造からの年数分の減価を差し引いて評価します。
まとめ
- 漁船は相続財産で、漁船原簿の変更の登録は2週間以内
- 漁業権は相続なら移転でき、個別漁業権は取得から2か月以内に知事へ届け出る
- 漁協の漁業権のもとで漁をする権利は相続とは別で、漁協で手続きする
- 漁船は売買実例価額などで評価し、分からなければ新造価額から減価を差し引く




