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借金があるなら相続放棄すればいい。そう考えて手続きを進めたものの、後から『こんなはずじゃなかった』と感じる方もいます。
結論から言うと、相続放棄の主なデメリットは「家も含めて財産を一切もらえない」「後から撤回できない」「次の順位の親族に相続権が移る」の3つです。この記事では、よくある後悔のケースから逆算して、放棄の前に確かめておきたいことを見ていきます。
相続放棄で後悔するのは、どんなケース?
例えば、父が亡くなり、母と子2人が相続人で、父にカードローンがあったケースです。子2人が放棄すると借金は引き継ぎませんが、父の親や兄弟姉妹が新しく相続人になり、知らせないまま督促状が届いて揉めることがあります。また、母も放棄すると、母が住んでいる実家も相続できなくなります。
よくある後悔のケースを先に並べます。
| ケース(後悔したこと) | なぜ起きた? | 防ぐには |
|---|---|---|
| 1 住んでいた実家を出ることになった | 放棄すると家も相続できない | 家を残したいなら限定承認なども検討 |
| 2 放棄の後に定期預金が見つかった | 受理後は撤回できない | 放棄の前に財産を調べ切る |
| 3 叔父や叔母に借金の督促が届いて揉めた | 次の順位に相続権が移った | 放棄したことを次の相続人に伝える |
| 4 保険金に思ったより相続税がかかった | 放棄した人は非課税枠を使えない | 受け取る保険金の額を先に確かめる |
| 5 家業を兄に継がせるためだけに放棄した | 遺産分割協議で足りた | 借金がなければ協議を検討する |

どのケースも、放棄そのものが間違いだったわけではありません。放棄の前に確かめることが抜けていたんです。
裏を返せば、確かめる順番さえ押さえておけば、後悔はかなり減らせます。ケースごとに見ていきましょう。
実家や後から見つかった財産、家業はどうなる?
実家に住み続けたかったケース
『家だけは残して、借金だけ放棄したい』と思う方は多いはずです。ただ、相続放棄は財産も借金もまとめて手放す手続きなので、家だけ残すことはできません。
例えば、父名義の実家に母が住んでいて、父に借金があったケースです。母も子も全員が放棄すると、実家は父の親や兄弟姉妹の相続財産になります。
「放棄しても、このまま住んでいていいよね?」
「しばらくはいいけど、家を守る義務があるし、いずれ引き渡すことになるよ」
放棄の時に実家を実際に管理している人は、次の相続人などに引き渡すまで、その家を保存する義務があります。家を残したいなら、借金の範囲を財産までに抑える限定承認を選ぶケースも比べてみてください。
後から預金が見つかったケース
相続放棄は、受理された後は撤回できません。3か月の期限内でも同じです。
借金が多いと思って急いで放棄した後に、別の銀行の定期預金や株が見つかっても、もう受け取れないんです。財産の調べが3か月で終わらない時は、期間の伸長を申し立てて、調べ切ってから決めるのが安全です。
家業を継がせるためだけに放棄したケース
例えば、父の家業と店舗を兄に継がせるため、弟と妹が相続放棄したケースです。父に借金がなかったなら、放棄しなくても遺産分割協議で兄に集めれば足りました。
『放棄のほうが、すっきりするから』という理由で選ぶ方もいます。ただ、子が放棄した分だけ、相続人の顔ぶれや取り分が変わることがあるんです。
借金がないなら、まず遺産分割協議を考えてみてください。協議なら、弟や妹が少しだけ受け取るといった調整もできます!
反対に、協議で「何ももらわない」と決めただけでは、借金は債権者から請求されることがあります。借金があるなら協議ではなく放棄、ここは分けて考えておきましょう。
次の順位の親族に借金が回るケースは?
ここはトラブルになりやすいところです。子が全員放棄すると、相続権は父母や祖父母、いなければ兄弟姉妹へと移ります。
| ケース | 次に相続人になる人 | 起きやすいこと |
|---|---|---|
| 子が全員放棄、父の親が健在 | 父の親 | 高齢の親に督促が届く |
| 子が全員放棄、父の親はすでにいない | 父の兄弟姉妹 | 叔父・叔母に借金が回る |
| 子の1人だけが放棄 | 残った子 | 兄弟の負担割合が増える |
次の順位の人も放棄できますが、自分が相続人になったと知った時から3か月以内です。家庭裁判所から自動で連絡は行かないので、こちらから伝えておくのが親切です。
伝える時は、亡くなったこと、自分が放棄したこと、分かっている借金と財産の3点を書いた手紙にすると、相手も判断しやすくなります。
どこまで相続権が移るかは、相続放棄の順位で次は誰になるかで家系図と一緒に確認できます。
生命保険金を受け取るケースの注意は?
生命保険金は、受取人に指定されていれば、相続放棄をしても受け取れます。保険金は受取人固有の財産だからです。
ただ、ここに落とし穴があります。生命保険金の非課税枠(500万円×法定相続人の数)は、相続人が受け取った分にしか使えません。放棄した人は、この枠を使えないんです。
例えば、夫が亡くなり、妻と子2人が法定相続人のケースです。非課税枠は500万円×3人で1,500万円ですが、放棄した子が受け取った保険金には使えません。その保険金は、全額が相続税の計算に入ります。
もっとも、相続税がかかるのは、財産の合計が基礎控除を超える時だけです。このケースの基礎控除は、放棄した人も人数に数えて4,800万円です。
親の借金で放棄はしたいけれど、受け取る保険金がまとまった額になる。ほかにも土地や預金がありそう。こうしたケースは、放棄するかどうかと相続税がかかるかを一緒に見てもらうと迷いが減るので、相続税に詳しい税理士への相談が向いています。
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わが家のケースは、相続に強い税理士に聞くのが近道
相続税がかかりそう、土地や自宅がある、相続人が多い、期限が近いといったケースでは、相続税に詳しい税理士に早めに相談すると安心です。税理士ドットコムなら、全国7,500名以上の登録税理士から相続に強い税理士を無料で紹介してもらえます。
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放棄する前のチェック
- 預貯金・株・不動産・借金を、通帳や郵便物、登記で調べ切ったか
- 自分や家族が住んでいる家が相続財産に入っていないか
- 次に相続人になる親族は誰か、伝える準備ができているか
- 受取人になっている生命保険金がいくらあるか
- 借金がないなら、遺産分割協議で足りないか
借金はないけれど相続に関わりたくない、という時の別の方法は相続拒否の3つの方法の比較で見られます。借金と財産の額で決めたい時は借金と財産の額で決める判断表を使ってみてください。
よくある質問
相続放棄のメリットとデメリットは何ですか?
メリットは、借金や保証債務を引き継がず、遺産分割協議に加わらなくてよいことです。デメリットは、家も含めて財産を一切受け取れないこと、受理後に撤回できないこと、次の順位の親族に相続権が移ることです。
相続放棄した後に財産が見つかったら、取り消せますか?
財産が見つかったという理由では撤回できません。だまされたり脅されたりして放棄した場合などに、家庭裁判所への申述で取り消せる道があるだけです。放棄の前に財産を調べ切っておきましょう。
相続放棄すると、子どもに借金が行くことはありますか?
ありません。放棄した人の子には相続権が回らないので、孫が借金を引き継ぐことはありません。相続権は親や兄弟姉妹の側へ移ります。
相続放棄をすると、相続税の基礎控除は減りますか?
減りません。基礎控除は放棄した人も法定相続人の数に数えて計算するので、放棄がなかった場合と同じ額になります。生命保険金の非課税枠の人数も同じ数え方です。
まとめ
- 放棄すると家も含めて財産を一切もらえない。家だけ残すことはできない
- 受理された後は撤回できない。財産を調べ切ってから決める
- 子が全員放棄すると、親や兄弟姉妹に相続権が移る。事前に伝えておく
- 生命保険金は受け取れるが、放棄した人は非課税枠を使えない
- 借金がないなら、遺産分割協議で足りるケースもある




