遺留分の放棄と相続放棄の違いは?生前に頼まれたケースで比較

遺留分の放棄と相続放棄の違いを生前に頼まれたケースで比較する記事のアイキャッチ

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親から『家は長男に継がせたいから、遺留分を放棄してくれないか』と頼まれた。相続放棄と何が違うのか、よく分からないという方も多いはずです。

結論から言うと、親が生きているうちにできるのは遺留分の放棄だけで、相続放棄はできません。しかも、遺留分を放棄しても相続人のままなんです。この記事では、生前に頼まれたケースで2つの違いを比べます。

目次

生前に「放棄して」と頼まれたら、何ができる?

このケースの結論

父が財産6,000万円を長男に全部遺す遺言を書き、次男に生前の放棄を頼んだケースでは、次男ができるのは家庭裁判所の許可を得て遺留分を放棄することだけです。放棄すると、次男が求められたはずの1,500万円を請求できなくなります。

相続放棄は、自分のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に家庭裁判所へ申述するものです。親が亡くなる前には申述できません。

『念書を書けば同じことでは?』と思いますよね。生前に「相続放棄します」と念書を書いても、相続放棄としての効力はありません。親が亡くなった後に、改めて家庭裁判所で手続きするかどうかを自分で決めることになります。

一方、遺留分の放棄は親の生前でもできます。ただし、家庭裁判所の許可を受けた時に限って効力が生じます(民法1049条1項・e-Gov法令検索 民法)。

遺留分の放棄と相続放棄、何が違う?

2つは名前が似ていますが、手放すものの大きさがまるで違います。

比べる点遺留分の放棄相続放棄
親の生前にできるかできる(家庭裁判所の許可が要る)できない
亡くなった後許可なしで請求しないと決められる3か月以内に家庭裁判所へ申述
相続人の立場相続人のまま初めから相続人でなかったことになる
親の借金引き継ぐ引き継がない
遺言に書かれていない財産遺産分割に加わる受け取れない
ほかの相続人への影響他の相続人の遺留分は増えない次の順位の人が相続人になることがある

ここが大事なところです。遺留分を放棄しても、親に借金があれば引き継ぐ立場は変わりません。借金が心配なら、親が亡くなった後に相続放棄を検討することになります。

遺留分の放棄と相続放棄で、生前にできるか・相続人の立場・借金の扱いがどう違うかを比べた分岐表

遺留分の放棄の許可を申し立てられるのは、遺留分を持つ相続人本人です。申立先は親が住んでいる地域の家庭裁判所で、費用は収入印紙800円分と郵便切手です(裁判所 遺留分放棄の許可)。

財産6,000万円・子2人の家では、いくら変わる?

母がすでに亡くなり、父の財産6,000万円を長男と次男が相続するケースで考えてみます。父は「全部を長男に」という遺言を書いています。

子だけが相続人なら、全体の遺留分は財産の1/2です。これを法定相続分で分けるので、次男の遺留分は1/4、つまり1,500万円です。

ケース長男の取得次男の取得相続税(長男/次男)
次男が遺留分を放棄していた6,000万円0円180万円/0円
次男が遺留分侵害額を請求し1,500万円を受け取った4,500万円1,500万円135万円/45万円
次男が死亡後に相続放棄した6,000万円0円180万円/0円

基礎控除は3,000万円+600万円×2人で4,200万円です。次男が相続放棄した場合も、人数には数えます。相続税の総額はどのケースも180万円で、取り分に応じて分け合う形になります。

遺留分侵害額の請求は、相続の開始と侵害を知った時から1年、相続開始から10年で消えます。2019年7月1日以降はお金で請求します。

例えば、生前にこんな会話になることがあります。

「お前には生前に援助したから、遺留分は放棄してほしいんだ」
「放棄するのはいいけど、借金があったら僕も払うことになるんだよね?」

この疑問はもっともです。遺留分の放棄では借金から外れないので、親の借金の有無も一緒に確認しておきましょう。

兄弟から相続放棄を頼まれているなら、念書を書く前に考えたいこともあわせて読んでみてください。放棄後のお礼の扱いは相続放棄してくれた兄弟へのお礼と贈与税で見られます。

自宅や土地を誰か1人に継がせたい、遺留分をお金で払う資金が足りるか心配。こんなケースは、遺言の内容と相続税をあわせて税理士に試算してもらうと、家族で話しやすくなります。

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よくある質問

相続放棄は親の生前にできますか?

できません。相続放棄は、自分のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に家庭裁判所へ申述します。生前にできるのは、家庭裁判所の許可を受けて行う遺留分の放棄です。

遺留分を放棄したら、遺産は一切もらえませんか?

遺留分を放棄しても相続人のままです。遺言に書かれていない財産があれば遺産分割に加わり、受け取ることもあります。逆に、親の借金も引き継ぎます。

相続放棄をしたら遺留分はもらえますか?

もらえません。相続放棄すると初めから相続人でなかったことになるので、遺留分を請求する権利もなくなります。

まとめ

この記事の要点
  • 親の生前にできるのは遺留分の放棄だけで、家庭裁判所の許可が要る
  • 生前に相続放棄の念書を書いても、相続放棄としての効力はない
  • 遺留分を放棄しても相続人のままで、親の借金は引き継ぐ
  • 財産6,000万円・子2人の例で、次男の遺留分は1,500万円、受け取れば相続税45万円
  • 遺留分侵害額の請求は、知った時から1年、相続開始から10年で消える
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相続ケース案内 編集部

家族構成や財産の状況ごとに、相続・相続税がどうなるかを公的機関の公開情報をもとに解説しています。 公式サイト

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