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「自宅は同居している長男に継がせたい。でも、次男から後で遺留分を請求されたら困る」。親の生前にこう考えて、次男に遺留分を放棄してもらえないかと悩む家族は少なくありません。
結論から言うと、遺留分は親が生きているうちでも放棄できます。ただし、家庭裁判所の許可が要るんです。この記事では、許可が出やすいケースと、放棄しただけでは足りない理由を見ていきます。
親が生きているうちに遺留分を放棄できる?
遺留分は、親の生前に家庭裁判所の許可を受ければ放棄できます。念書や家族間の約束だけでは効力がありません。放棄した人も相続人のままなので、親が遺言書を書いておかないと、放棄の意味がほとんどなくなります。
ここで混同しやすいのが「相続放棄」です。相続放棄は、亡くなった後に、相続の開始を知った時から3か月以内に家庭裁判所へ申述する手続き。生前にはできません。
一方の遺留分の放棄は、親が生きている間に申し立てる手続きです。申し立てるのは、遺留分を放棄する本人(例えば次男)なんです。
『兄弟で話し合って、紙に書いておけば大丈夫でしょ?』
そう思いますよね。ただ、生前に交わした「遺留分は請求しません」という念書は、それだけでは効力がありません。気持ちが変われば、相続後に請求できてしまいます。
家庭裁判所への申立ては何が必要?
手続きの中身は、裁判所の案内(裁判所:遺留分放棄の許可)にまとまっています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 申し立てる人 | 遺留分を持つ相続人(放棄する本人) |
| 申し立てる時期 | 親(被相続人)が生きている間だけ |
| 申立先 | 親の住所地を管轄する家庭裁判所 |
| 費用 | 収入印紙800円分と連絡用の郵便切手(額は裁判所ごと) |
| 主な書類 | 親の戸籍謄本、申し立てる本人の戸籍謄本 |
- 放棄する本人が申立書を書き、戸籍謄本をそろえる
- 親の住所地の家庭裁判所へ提出する(郵送でも出せる)
- 裁判所から照会書が届いたり、面談で事情を聞かれたりする
- 許可の審判が出れば、放棄が成立する
審理では、追加の資料を求められることもあります。本人が自分の意思で決めたか、放棄に見合う事情があるかを見られると言われています。
援助を受けている時と受けていない時で何が変わる?
許可が出るかどうかは、ケースによって見通しが変わります。
| ケース | 結論 | 理由・注意 |
|---|---|---|
| 次男が生前に住宅資金などの援助をすでに受けている | 許可の見通しは立てやすい | 放棄に見合う見返りがあると説明しやすい |
| 次男が何も受け取っておらず、兄に頼まれて仕方なく | 慎重に見られやすい | 本人の意思か、押し付けではないかが問われる |
| 親から放棄を強く迫られている | 許可されない可能性がある | 自由な意思で決めたことが前提 |
| 子のいない夫婦で、相続人が配偶者と兄弟だけ | 放棄の手続き自体が要らない | 兄弟姉妹にはもともと遺留分がない |
例えば、こんなやりとりが家族の中であったとします。
「家は兄さんが継ぐ。その代わり、今のうちに頭金を出してもらえないかな」
「それなら、遺留分は放棄する方向で考えるよ」
このように、放棄と引き換えの援助が実際にあると、筋の通った話として説明しやすくなります。

子のいない夫婦の場合は、手続きよりも遺言の書き方が大切です。詳しくは兄弟には遺留分がないとは?子なし夫婦の遺言で大事な理由で見てみてください。
放棄しただけでは足りない?遺言とのセット
ここが大事なところです。遺留分を放棄しても、その人は相続人のまま。親が遺言書を残さずに亡くなれば、次男も遺産分割協議に加わり、法定相続分を主張できます。
ですから、遺留分の放棄は「長男に自宅を相続させる」という遺言書とセットで考えておきましょう。書き方や費用は公正証書遺言の費用は財産いくらでいくら?が参考になります。
また、1人が遺留分を放棄しても、他の兄弟の遺留分が増えるわけではありません。遺留分の全体は、子などが相続人の時は財産の2分の1。それを法定相続分で分けた額が各人の遺留分です。
一度許可されると、気軽には取り消せません。事情が大きく変わった時に、家庭裁判所に取消しを求める形になります。
相続税の申告まで見据えるなら
『放棄の話がまとまったら、あとは安心かな』という方もいますよね。
ただ、自宅や土地を特定の子に集める時は、相続税の計算も一緒に考えておくと安心です。基礎控除は3,000万円+600万円×法定相続人の数で、遺留分を放棄した人も人数に数えます。
自宅の土地が広い、同居の子が小規模宅地等の特例を使いたい、財産の多くが不動産。こんなケースは、遺言を書く段階から税理士に見てもらうと、後の申告がぐっと楽になります。要件を満たすかは税理士に確認しておきましょう。
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よくある質問
遺留分の放棄は親が申し立てるのですか?
いいえ。申し立てるのは遺留分を放棄する本人です。親が代わりに申し立てることはできません。
生前に相続放棄の念書を書いてもらえば足りますか?
相続放棄は亡くなった後にしかできず、生前の念書には効力がありません。生前にできるのは、家庭裁判所の許可を受けた遺留分の放棄です。
遺留分を放棄した人は遺産をもらえなくなりますか?
遺言がなければ相続人として遺産分割に加わり、遺産を受け取れます。放棄で失うのは、遺言で取り分が減った時に請求する権利です。
まとめ
- 遺留分は親の生前でも、家庭裁判所の許可を受ければ放棄できる
- 申し立てるのは放棄する本人で、費用は収入印紙800円分と郵便切手
- 放棄に見合う援助があるかなど、ケースで許可の見通しが変わる
- 放棄した人も相続人のままなので、遺言書とセットで準備する
- 兄弟姉妹にはもともと遺留分がないので、子なし夫婦は遺言が鍵




