遺産相続で長男が独り占めしようとする時、他の兄弟が取れる行動

遺産相続で長男が独り占めしようとする時に、ほかの兄弟が取れる行動を段階順に解説する記事のアイキャッチ

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親の通帳も権利証も長男が持っていて、何も見せてくれない。「長男なんだから家のものは俺が継ぐ」と言われ、話が進まない。そんな状況で困っていませんか。

結論から言うと、今の法律では長男だからといって多くもらえる決まりはなく、ほかの兄弟にも同じ取り分があります。この記事では、独り占めのパターン別に、兄弟が取れる行動を段階順に見ていきます。

目次

長男が独り占めしようとする時、まず知っておくことは?

このケースの結論

遺言がなければ、子の法定相続分は長男も次男も長女も同じです。遺産を見せてもらえないなら、相続人として自分で金融機関や役所に財産を調べられます。長男が勝手に預金を引き出していたなら、返還を求められます。遺言で「長男に全部」とあっても、ほかの兄弟には遺留分があります。

『うちは昔から長男が継ぐ家だから』。そう言われると、言い返しにくいですよね。

でも、長男がすべてを継ぐ仕組みは戦前の家督相続の考え方で、今の民法にはありません。子どもが3人なら、親の配偶者がいない場合は3分の1ずつが法定相続分です。

もちろん、兄弟全員が納得すれば、長男に多く渡す分け方もできます。問題になるのは、ほかの兄弟が納得していないのに、長男が一人で進めてしまう場合です。独り占めにもいくつかの形があるので、自分の状況を確かめてみてください。

ケース長男の行動兄弟が取れる行動注意
遺産を開示しない通帳や財産の中身を見せない自分で金融機関・役所に調べる相続人であることを戸籍で示す
生前・死後に引き出していた同居中に預金を下ろしていた使い道の説明を求め、返還を請求親のための支出なら返還対象外のことも
協議に応じず勝手に進める分割の話し合いを拒む遺産分割調停を申し立てる全員の合意がないと分割は成立しない
遺言で長男に全部遺言を盾に何も渡さない遺留分侵害額請求知った時から1年・相続開始から10年
長男が遺産を独り占めしようとする4つのケースと、ほかの兄弟が取れる行動を並べたケース別の分岐表

遺産を見せてくれない時は、どう調べる?

長男が「たいした財産はない」と言うだけで、中身を見せてくれないケースです。実は、相続人なら一人でも財産を調べられるんです。

財産を自分で調べる順番
  1. 亡くなった親の戸籍と、自分が相続人だと分かる戸籍をそろえる
  2. 心当たりの銀行に、相続開始日の残高証明と取引履歴を請求する
  3. 不動産は、市区町村で名寄帳や固定資産税の評価証明を取る
  4. 証券会社や保険会社にも、口座や契約の有無を問い合わせる

戸籍の束を何度も出すのが大変なら、法務局の法定相続情報証明制度が便利です。「法定相続情報一覧図の写し」を無料で交付してもらえ、銀行の手続きで戸籍の代わりに使えます。

取引履歴を見ると、亡くなる前後に大きなお金が動いていないかが分かります。ここで不自然な引き出しが見つかることも少なくありません。

勝手に相続を進められた時は?

「もう全部済ませたから」と、長男が一人で手続きを進めてしまうケースもあります。ただ、遺言がない限り、遺産分割協議は相続人全員の合意がないと成立しません。

あなたが署名もハンコもしていない協議書は、あなたを含めた分割として有効にはなりません。預金の解約や不動産の名義変更も、本来は全員の書類がそろわないと進まない手続きなんです。

『知らない間にハンコを押されていたら?』。そんな心配がある時は、銀行や法務局にどんな書類で手続きされたかを確かめ、早めに弁護士へ相談してみてください。

一方で、長男が「話し合いには応じない」と言い張る場合は、遺産分割調停を申し立てるのが近道です。家庭裁判所から呼び出しが届くので、長男も無視しにくくなります。

「長男は多くもらって当然」と言われたら?

地域や家によっては、今でも「跡取りが多く継ぐもの」という考え方が残っていますよね。兄弟の誰かがそれに納得しているなら、その分け方自体は問題ありません。

大事なのは、あなたが納得していない時に、黙ってハンコを押さないことです。一度協議書に合意すると、後から覆すのは難しくなります。

同居の長男が預金を引き出していた場合は?

例えば、父と同居していた長男が、父の生前から通帳を管理し、まとまった額を何度も引き出していたケース。ほかの兄弟が取引履歴を見て初めて気づく、という流れが多いです。

「父さんの口座から、何度も引き出されているよね」
「介護や生活費に使っただけだよ」

この場合、まずは使い道を説明してもらいましょう。父のための医療費や生活費なら、問題にならないこともあります。

説明がつかない引き出しは、長男に返還を求められます。話し合いで決まらなければ、弁護士に相談して不当利得返還請求などの訴訟を考える流れです。

亡くなった後に勝手に引き出された預金は、その長男以外の相続人全員が同意すれば、遺産に含めて分割できる仕組みもあります。引き出した分を長男の取り分から差し引いて考えるイメージです。

横領罪で刑事告訴はできる?

『勝手に使い込んだなら、横領罪では?』と考える方もいるはずです。ただ、家族の間の財産の問題は、刑法で刑が免除されたり、告訴が必要だったりする特別な扱いがあります。

刑事で動けるかどうかは関係や状況で変わるので、弁護士に相談してから判断しましょう。お金を取り戻すことが目的なら、まずは民事の返還請求や遺産分割の中で解決を目指すのが現実的です。

遺言で「長男に全部」と書かれていたら?

遺言に「全財産を長男に相続させる」とある場合、遺産分割の話し合いをしなくても長男が相続できてしまいます。それでも、ほかの兄弟には遺留分があります。

配偶者がすでにいなくて子3人なら、全体の遺留分は2分の1で、1人6分の1ずつです。遺産6,000万円なら、次男と長女はそれぞれ1,000万円を請求できます。

請求できるのは、相続の開始と侵害を知った時から1年、相続開始から10年までです。まずは内容証明郵便で「遺留分侵害額を請求します」と伝えておきましょう。金額の計算は遺留分の金額をケース別に計算した記事で確かめられます。

長男が生前に多額の贈与を受けていた場合は、その一部も遺留分の計算に入ることがあります。家の建築資金や事業資金など、心当たりがあれば書き出しておきましょう。

長男が話し合いを拒み続けるなら、遺産分割調停や遺留分の調停で、家庭裁判所に間に入ってもらえます。取り分を振り込んでくれない時の催促の順番は、遺産を振り込んでくれない時の催促方法にまとめています。

遺産を調べたら土地や株が多かった、引き出しの金額が大きい、相続税の申告期限(知った日の翌日から10か月以内)が迫っている。こんなケースは、財産の評価と申告を税理士に頼むと、取り分を話し合うための正確な数字がそろいます。個別の判断は税理士に確認を。

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わが家のケースは、相続に強い税理士に聞くのが近道

相続税がかかりそう、土地や自宅がある、相続人が多い、期限が近いといったケースでは、相続税に詳しい税理士に早めに相談すると安心です。税理士ドットコムなら、全国7,500名以上の登録税理士から相続に強い税理士を無料で紹介してもらえます。

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よくある質問

長男が親の介護をしていた場合、多くもらえますか?

介護が家族として通常の手伝いを超え、親の財産を守ったと言えるなら、寄与分として取り分が増えることがあります。ただし相続開始から10年を過ぎると主張できなくなります。

長男が勝手に相続登記をしてしまいました。どうすればいいですか?

遺産分割の合意がないまま長男名義にされたなら、登記の手続きに問題がないかを確かめる必要があります。司法書士や弁護士に相談してみてください。

長男と連絡が取れず、話し合いができません。

遺産分割調停を申し立てれば、家庭裁判所から長男に呼び出しが届きます。出てこなければ審判に移り、裁判官が分け方を決めます。

まとめ

この記事の要点
  • 長男だから多くもらえる決まりは今の民法にない
  • 遺産を見せてもらえなくても、相続人なら自分で財産を調べられる
  • 説明のつかない引き出しは返還を求められる
  • 遺言で長男に全部でも、ほかの兄弟には遺留分がある
  • 話し合いを拒まれたら、家庭裁判所の調停を使う
相続ケース案内

相続ケース案内 編集部

家族構成や財産の状況ごとに、相続・相続税がどうなるかを公的機関の公開情報をもとに解説しています。 公式サイト

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