相続放棄しても遺贈は受けられる?遺言で財産を指定されたケース

相続放棄しても遺贈を受けられるかを遺言の書き方別に確認する記事のアイキャッチ

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父の遺言に「長男に○○の土地を遺贈する」とあった。でも父には借金もある。『相続放棄したら、遺言でもらうはずの土地もなくなるの?』と迷いますよね。

結論から言うと、遺言の書き方しだいです。「この財産を」と特定されていれば、相続放棄しても遺贈は受けられます。「財産の何分の一を」という書き方なら、借金も一緒に引き継ぐ形になります。この記事では、遺言の文言ごとに結論を見ていきます。

目次

相続放棄しても、遺言で指定された財産はもらえる?

このケースの結論

「自宅の土地を長男に遺贈する」のように財産を特定した遺贈(特定遺贈)なら、相続放棄をしても受け取れます。借金は引き継ぎません。「財産の3分の1を遺贈する」のように割合で指定した遺贈(包括遺贈)だと、受け取る人は相続人と同じ扱いになり、借金も割合に応じて引き継ぎます。

相続放棄をすると、初めから相続人でなかったことになります。ただ、遺贈は遺言で「この人にあげる」と決められたものなので、相続人かどうかとは別の話なんです。

一方で、包括遺贈を受ける人は、民法で相続人と同一の権利義務を持つとされています(民法990条)。プラスもマイナスも割合で引き継ぐ、ということですね。

遺言の書き方別に、結論はどう変わる?

例えば、父が亡くなり、子2人が相続人で、父には借金もあるケースで比べてみます。

遺言の書き方相続放棄した長男は受け取れる?理由・注意
「自宅の土地を長男に遺贈する」受け取れる特定遺贈は借金を引き継がない
「財産の3分の1を長男に遺贈する」受け取ると借金も3分の1引き継ぐ包括受遺者は相続人と同じ扱い
「自宅の土地を長男に相続させる」相続放棄すると受け取れない相続人として受け取る書き方のため
「預金を孫に遺贈する」孫は受け取れる相続税は2割加算の対象
遺言の書き方が特定遺贈・包括遺贈・相続させる旨のどれかで、相続放棄後に受け取れるかが分かれるケース別の分岐表

3つ目が見落としやすいところです。『遺言に名前があるから大丈夫』と思いがちですが、「相続させる」という書き方は、相続人として受け取る前提になっています。相続放棄をすると、受け取る立場そのものがなくなるんです。

文言の解釈で迷う遺言は、自分だけで判断せずに確認しておきましょう。

借金が多いと、遺贈の分が残らないことも

特定遺贈なら借金を引き継がない、と書きました。ただ、親の借金がとても多いケースでは注意が必要です。

例えば、相続人が全員放棄して、家庭裁判所が相続財産清算人を選ぶ場面です。清算人は、まず借金を返す相手(相続債権者)に支払い、その後で遺贈を受けた人に渡すことになっています(民法957条・931条)。

つまり、財産より借金が多いと、遺贈の分が残らないことも。『放棄しても土地はもらえる』と安心する前に、借金の額をできる範囲で調べておくのが大事です。

遺贈を受けたくない時は、どう断る?

逆に、遺贈された財産がいらないケースもありますよね。古い空き家や、手入れの大変な山林などです。

特定遺贈なら、遺言者が亡くなった後いつでも放棄できます。放棄の効力は、亡くなった時にさかのぼります(民法986条)。

包括遺贈は相続人と同じ扱いなので、放棄も相続放棄と同じように考えます。家庭裁判所への申述と、3か月の期限を意識しておきましょう。

遺言で財産を指定された時に確認したいこと
  • 遺言の文言が「遺贈する」か「相続させる」か
  • 財産を特定しているか、割合で指定しているか
  • 親の借金がどのくらいあるか
  • 自分が相続人として3か月の期限の中にいるか

相続放棄そのものをすべきかは相続放棄をすべきケースの判断、土地だけいらない時の考え方は一部だけ放棄したいケースで詳しく見られます。

相続放棄して遺贈を受けたら、相続税は?

相続放棄をしても、遺贈で財産を受け取れば相続税の対象です。相続税の基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)では、放棄した人も人数に数えます。

ただし、相続放棄した人は、生命保険金の非課税枠(500万円×法定相続人の数)を使えません。保険金を受け取る予定があるなら、ここは見落とせないところです。

配偶者や子、父母以外の人が遺贈を受けると、相続税は2割増しになります。孫や兄弟姉妹への遺贈がこれにあたります。

遺言の文言の読み方に迷う、借金と土地が両方ある、相続税の申告が必要になりそう、といったケースは、専門家に任せると判断がぶれにくくなります。

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よくある質問

相続放棄をすると、遺言で書かれた財産も全部もらえなくなりますか?

遺言が特定の財産を「遺贈する」と書いていれば、相続放棄をしても受け取れます。「相続させる」と書かれている場合は、相続人として受け取る前提なので、放棄すると受け取れません。

包括遺贈と特定遺贈の違いは何ですか?

特定遺贈は「この土地を」のように財産を指定するもの、包括遺贈は「財産の3分の1を」のように割合で指定するものです。包括遺贈を受けた人は相続人と同じ扱いになり、借金も割合で引き継ぎます。

遺贈で受け取った財産に相続税はかかりますか?

かかります。相続放棄をした人でも、遺贈で受け取った財産は相続税の対象です。生命保険金の非課税枠は使えず、子や配偶者以外なら2割加算もあります。

まとめ

この記事の要点
  • 財産を特定した遺贈なら、相続放棄しても受け取れる
  • 割合で指定した包括遺贈は、借金も割合で引き継ぐ
  • 「相続させる」と書かれた財産は、相続放棄すると受け取れない
  • 借金が多いと、遺贈の分は借金の返済の後になる
  • 遺贈で受け取れば相続税の対象。生命保険金の非課税枠は使えない
相続ケース案内

相続ケース案内 編集部

家族構成や財産の状況ごとに、相続・相続税がどうなるかを公的機関の公開情報をもとに解説しています。 公式サイト

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