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『法定相続分と遺留分って、名前が似ていてどっちがどっちか分からない』という方は多いはずです。父の遺言書に「全部長男に」と書いてあったら、自分はいくらもらえるのか。そこが一番知りたいところですよね。
結論から言うと、遺言がない時に分け方の目安になるのが法定相続分、遺言で取り分を減らされた時に最低限取り戻せるのが遺留分です。この記事では、同じ遺産額で両方を計算して、違いを金額で見ていきます。
遺言で「全部長男に」と書かれたら、次男はいくらもらえる?
父が亡くなり、母と長男・次男が相続人、遺産は6,000万円のケース。遺言がなければ次男の法定相続分は1/4で1,500万円です。遺言で「全部長男に」とされた場合でも、次男は遺留分として1/8の750万円を長男に請求できます。
同じ次男でも、遺言があるかないかで「基準になる数字」が変わるんです。
遺言がない時は、相続人全員で話し合って分けます。その時の目安が法定相続分です。話し合いで全員が納得すれば、法定相続分と違う分け方をしてもかまいません。
一方、遺言があると、原則は遺言のとおりに分けます。ただ、それだと取り分ゼロの家族が出てしまいますよね。そこで最低限の取り分として守られているのが遺留分です。
法定相続分と遺留分は何が違う?
まず、2つの違いを表で並べてみます。
| 比べる点 | 法定相続分 | 遺留分 |
|---|---|---|
| どんな時に使う? | 遺言がない時の分け方の目安 | 遺言や生前贈与で取り分を減らされた時 |
| 割合 | 配偶者と子なら1/2ずつなど | 全体の1/2(親だけが相続人なら1/3)を法定相続分で分ける |
| 兄弟姉妹 | ある | ない |
| どうやって受け取る? | 遺産分割の話し合いで決める | 多くもらった人に金銭を請求する |
| 期限 | 分割の期限はない | 知った時から1年・相続開始から10年で消える |
ここが大事なところです。遺留分は自動ではもらえません。自分から「遺留分侵害額請求」をして、はじめてお金を受け取れます。
2019年7月1日以降の相続では、請求できるのは金銭です。「自宅の持ち分をよこせ」ではなく、「足りない分をお金で払って」という形になります。
もう一つの違いは、生前贈与の扱いです。遺言がなくても、親が生前に長男へまとまったお金を贈与していたケースでは、遺留分の計算にその贈与が入ることがあります。
『遺言がないから遺留分は関係ない』と思いがちですよね。ただ、遺産がほとんど残っておらず、生前に一人へ集中して渡していた時は、遺留分の問題になりうるんです。どの贈与が計算に入るかは条件があるので、弁護士に確認してみてください。
遺言がある時・ない時で、取り分はどう変わる?
冒頭のケースを、金額で全部並べてみましょう。遺産6,000万円、相続人は母・長男・次男です。
| 相続人 | 遺言がない時(法定相続分) | 遺言で「全部長男に」の時(遺留分) |
|---|---|---|
| 母 | 1/2:3,000万円 | 1/4:1,500万円 |
| 長男 | 1/4:1,500万円 | 遺言で全部取得 |
| 次男 | 1/4:1,500万円 | 1/8:750万円 |

遺留分の割合は、全体の遺留分1/2に、それぞれの法定相続分をかけて出します。母は1/2×1/2で1/4、次男は1/2×1/4で1/8です。
『遺言に従うしかないと思っていた』という方もいますよね。実は、遺言があっても遺留分の分だけは取り戻せるんです。
もう少し具体的な遺留分の金額は、遺言で外された子・配偶者の遺留分を計算した記事でも家族構成別に出しています。
- 遺留分の対象になる財産額を出す(遺産に一定の生前贈与を足し、借金を引く)
- 全体の遺留分の割合を決める(親だけが相続人なら1/3、それ以外は1/2)
- 自分の法定相続分をかけて、自分の遺留分の割合を出す
- 財産額に自分の割合をかける
- 遺言や贈与で実際に受け取った分を差し引いて、足りない額を請求する
子がいない夫婦・兄弟姉妹が相続人のケースは?
家族構成が変わると、法定相続分も遺留分も変わります。特に差が出るのが、子どもがいないケースです。誰が相続人になるかは家族図10パターンの記事で先に確かめておくと迷いません。
| ケース | 法定相続分 | 遺留分 |
|---|---|---|
| 妻と子2人 | 妻1/2、子1/4ずつ | 妻1/4、子1/8ずつ |
| 妻と夫の両親(子なし) | 妻2/3、両親1/6ずつ | 妻1/3、両親1/12ずつ |
| 両親だけ(妻・子なし) | 両親1/2ずつ | 全体1/3、両親1/6ずつ |
| 妻と夫の兄弟姉妹(子・親なし) | 妻3/4、兄弟姉妹で1/4 | 妻1/2、兄弟姉妹はなし |
ここで注目したいのが、一番下のケースです。
例えば、子どもがいない夫婦で、夫の両親はすでに亡くなっている。夫が「全財産を妻に」と遺言を書いておけば、夫の兄弟姉妹は遺留分を請求できません。
「遺言を書いておけば、妻が兄弟と話し合わなくて済むんだね」
「そうなんです。兄弟姉妹には遺留分がないので、遺言どおりに妻が全部受け取れます」
逆に、遺言がなければ兄弟姉妹にも1/4の法定相続分があります。子がいない夫婦にとって、遺言の有無の差はとても大きいんです。
遺留分を請求する時・される時に気をつけたいこと
遺留分の請求には期限があります。相続の開始と、自分の遺留分が侵害されたことを知った時から1年。知らなくても、相続開始から10年で請求できなくなります。
『1年もあるなら、ゆっくり考えればいいか』と思いがちですが、遺言の中身を知った時点で時計は動き始めます。請求するつもりなら、内容証明郵便などで意思を伝えておくと安心です。
反対に、請求される側の長男にとっては、遺産を多くもらっても現金で払う必要が出てきます。遺産のほとんどが自宅の土地だと、支払うお金が手元に足りないこともありますよね。
遺言を書く側から見ると、ここが大事なところです。特定の子に多く残したい時でも、ほかの子の遺留分の分は現金で用意できるかを考えておくと、残された家族がもめにくくなります。
- 自分の名前が出てこない、または取り分が極端に少なくないか
- 相続人が配偶者と兄弟姉妹だけのケースではないか(兄弟姉妹は遺留分なし)
- 生前に多額の贈与を受けた相続人がいないか
- 遺言の内容を知った日をメモしておく
遺留分の話し合いでは、土地や非上場株式の評価額しだいで請求額そのものが変わります。相続税の申告でも財産の評価は欠かせません。
財産に土地がある、相続人どうしで金額を詰める必要がある。そんなケースは、税理士に評価と申告をまとめて頼むと進めやすくなります。
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わが家のケースは、相続に強い税理士に聞くのが近道
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よくある質問
法定相続分どおりに分けないといけないのですか?
いいえ。法定相続分は目安で、相続人全員が合意すれば違う割合で分けられます。話し合いがまとまらない時は、家庭裁判所の調停や審判で決めます。
兄弟姉妹に遺留分がないのはなぜ問題になりやすいのですか?
子がいない夫婦で遺言がないと、配偶者は兄弟姉妹と遺産分割の話し合いをすることになります。遺言で配偶者に全部と書いておけば、兄弟姉妹は遺留分を請求できません。
遺留分を請求すると、相続税はどうなりますか?
遺留分として受け取ったお金は相続で取得した財産になり、払った側はその分の財産が減ります。申告後に金額が決まった時は、修正申告や更正の請求で調整することがあるので、税理士に確認してみてください。
まとめ
- 法定相続分は遺言がない時の分け方の目安、遺留分は遺言で減らされた時の最低限の取り分
- 遺留分は全体の1/2(親だけが相続人なら1/3)を法定相続分で分けて出す
- 遺産6,000万円・母と子2人なら、次男の法定相続分は1,500万円、遺留分は750万円
- 兄弟姉妹には遺留分がない
- 遺留分は自分から金銭で請求し、知った時から1年・相続開始から10年で消える




