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親の遺産の話になったとたん、兄が「長男なんだから、家も預金も自分が多くもらうのが当然だろう」と言い出した。『それって今の法律でも通るの?』とモヤモヤしている方も多いはずです。
結論から言うと、今の相続のルールでは、長男だからという理由だけで多くもらえることはありません。この記事では、子3人のケースで、長男が多くもらえる場合とそうでない場合を比べていきます。
長男だから多くもらうのは今も当たり前?
今の民法では、子どうしの相続分は生まれた順や性別に関係なく均等です。子3人なら1人3分の1ずつ。長男が多くもらえるのは、親が遺言でそう決めた時か、兄弟全員が話し合いで納得した時、介護などで特別な貢献があると認められた時です。
「長男が家を継ぎ、財産もまとめて受け継ぐ」という考え方は、戦前の家督相続という制度のなごりなんです。家督相続は戦後の民法改正でなくなり、今は子どもは全員同じ立場の相続人です。
『でも、うちは代々長男が継いできたし…』
そう思うのも分かります。家の事情や地域の慣わしが強いと、言い出しにくいですよね。ただ、慣わしは法律の取り分を変えるものではありません。
例えば、父が亡くなり(母は先に他界)、長男・次男・長女の3人で遺産6,000万円を相続するケースで考えてみます。
| ケース | 長男 | 次男 | 長女 | ポイント |
|---|---|---|---|---|
| 法律どおり(法定相続分) | 2,000万円 | 2,000万円 | 2,000万円 | 生まれた順は関係なく均等 |
| 兄弟全員が納得して長男に多く | 3,000万円 | 1,500万円 | 1,500万円 | 全員の合意があれば自由に決められる |
| 遺言で長男に全部 | 6,000万円 | 0円 | 0円 | 次男・長女は遺留分を請求できる |

遺言で「長男に全部」と書かれていたら?
親が遺言で長男に多く残すと決めていれば、基本はその遺言が優先されます。
ただ、兄弟姉妹以外の相続人には、最低限の取り分である遺留分があります。子だけが相続人の場合、遺産全体の2分の1が遺留分で、それを法定相続分で分けます。
上の6,000万円のケースだと、次男と長女の遺留分はそれぞれ「6,000万円×1/2×1/3=1,000万円」です。長男に遺産が全部渡っても、次男と長女は1,000万円ずつをお金で請求できるんです。
請求できる期間は、相続の開始と、遺留分が侵害されたことを知った時から1年です。相続開始から10年たつと請求できなくなります。
遺留分の計算は、遺留分はいくら?遺言で外された子のケース別の計算で家族構成ごとに確かめられます。
長男が多くもらっても不公平にならないのはどんな時?
長男が多くもらうことが、かえって筋が通るケースもあります。
| ケース | 結論 | 理由・注意 |
|---|---|---|
| 長男が実家に住み続け、他の兄弟に代わりのお金(代償金)を払う | 実家は長男、お金で調整 | 家を分けられない時によく使われる方法 |
| 長男が長年、親の介護を一人でしていた | 寄与分として多めに認められることがある | 「特別の寄与」に当たるかがポイント |
| 長男だけ家業を手伝い、親の財産を増やした | 寄与分の対象になりうる | 給料をもらっていたかなども見られる |
| 長男が生前に住宅資金をもらっていた | むしろ長男の取り分が減ることがある | 特別受益として計算に入れる |
介護や家業の手伝いで親の財産を維持したり増やしたりした相続人には、寄与分という上乗せが認められる場合があります(民法第904条の2)。ただし「普通の親孝行」の範囲では認められにくいんです。
逆に、長男だけが生前に家の購入資金などを援助してもらっていた場合は、その分を遺産に足して計算し、長男の取り分から差し引くこともあります。似た話は兄弟の一人だけ大学費用を出してもらっていた時の分け方でも取り上げています。
お墓や仏壇は長男が継ぐもの?
『財産はともかく、お墓は長男が見るものでしょ』という声もよく聞きますよね。
お墓や仏壇は、遺産とは別のルールで受け継ぐ人が決まります。親の指定があればその人、なければ地域の慣習、それでも決まらなければ家庭裁判所が決めます(民法第897条)。長男でなければならない決まりはありません。
お墓を継いだからといって、遺産を多くもらえるわけでもないんです。お墓の費用の分け方はお墓や仏壇を誰が引き継ぐかで兄弟がもめた時の決め方にまとめています。
兄弟で話す時は、こんなふうに切り出すと角が立ちにくいですよ。
「長男だからっていうより、実家をどうするかとか、介護の分をどう見るかで決めない?」
実家を長男が継いで他の兄弟に代償金を払う、遺産が多くて相続税もかかりそう。こうしたケースは、分け方によって納める税額の割り振りも変わるので、税理士に試算してもらってから話し合うと楽です。
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よくある質問
家督相続は今でも使えますか?
使えません。家督相続は戦後の民法改正でなくなりました。今は子どもは長男も次男も娘も、同じ割合の相続人です。
長男の嫁が親の介護をしていた場合、取り分は増えますか?
長男の妻は相続人ではありませんが、特別寄与料として相続人にお金を請求できる制度があります。相続の開始と相続人を知った時から6か月、相続開始から1年以内に請求する必要があります。
兄弟全員が「長男に多く」で納得すれば、それで問題ありませんか?
全員が合意していれば、法定相続分と違う割合で分けて大丈夫です。合意した内容は遺産分割協議書に残しておきましょう。
まとめ
- 今の民法では、子の相続分は生まれた順・性別に関係なく均等
- 長男が多くもらえるのは、遺言・兄弟全員の合意・寄与分が認められた時
- 遺言で長男に全部でも、子3人・6,000万円なら他の2人は1,000万円ずつ遺留分を請求できる
- 長男が生前に援助を受けていれば、むしろ取り分が減ることもある
- お墓や仏壇を継ぐ人は長男でなくてもよく、遺産の取り分とは別の話




