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『毎年110万円以内だったし、贈与税の申告もしていないから関係ないはず』。そう思って第14表を飛ばそうとしていませんか。
結論から言うと、相続で財産を受け取る人が亡くなる前に受けた贈与は、110万円以下でも第14表に書いて相続財産に足し戻します。この記事では、書く贈与と書かない贈与をケースごとに見ていきます。
子に毎年110万円ずつ贈与していたら、第14表に書く?
2026年に夫が亡くなり、妻と子2人が相続するケースで、長男と長女がそれぞれ亡くなる前年と前々年に110万円ずつ受け取っていたら、合計440万円を第14表に書いて加算します。贈与税がかかっていなくても加算の対象です。
第14表の上の段には、贈与を受けた人ごとに「贈与年月日」「財産の種類・細目」「財産の価額」「相続税の課税価格に加算される価額」を書きます。通帳の振込記録を見ながら、1回の贈与を1行で書いていけば大丈夫です。
足し戻す期間は、2024年1月1日以降の贈与から7年に延びました。ただ、7年になるのは段階的で、2027年1月以降の相続から少しずつ伸び、2031年1月以降の相続で7年になります。
2026年の相続なら、まだ亡くなる前3年以内の贈与が対象です。『7年分さかのぼって集めないと』と焦らなくて大丈夫ですよ。
では、加算すると税額はどう変わるのでしょうか。ほかの財産の純資産価額が5,000万円のケースで比べてみます。
| ケース | 課税価格の合計 | 相続税の総額 | 納付税額の合計 |
|---|---|---|---|
| 贈与の加算なし | 5,000万円 | 20万円 | 10万円 |
| 子2人への440万円を加算 | 5,440万円 | 64万円 | 32万円 |
どちらも法定相続分どおりに取得した場合で、妻は配偶者の税額軽減で0円です。440万円を書き忘れると、子2人の納付税額はそれぞれ5万円のまま申告してしまうことになります。加算すると、それぞれ16万円です。

孫への贈与や相続時精算課税の贈与も書く?
ここはケースによって結論が分かれます。
孫など相続人でない人への贈与は、その孫が相続や遺贈で財産を受け取っていなければ、原則として加算の対象外です。第14表にも書きません。
一方で、遺言で孫にも財産を渡しているなら話は別です。孫も「相続・遺贈で財産を取得した人」になるので、孫が受けた贈与も加算の対象に入ります。
| ケース | 第14表に書く? | 理由・注意 |
|---|---|---|
| 子に3年以内に毎年110万円 | 書く | 110万円以下でも加算する |
| 孫に毎年110万円(孫は遺産を受け取らない) | 原則書かない | 加算されるのは相続・遺贈で取得した人だけ |
| 孫に毎年110万円(遺言で孫にも遺贈あり) | 書く | 孫も取得した人になる |
| 妻へのおしどり贈与(自宅) | 加算しない | 贈与税の配偶者控除の分は加算の対象外 |
| 相続時精算課税を選んだ贈与 | 第14表ではない | 精算課税の明細は別の表で扱う |
相続時精算課税を選んでいた場合は、第14表ではなく精算課税用の明細書に書きます。2024年以降の贈与なら、年110万円の基礎控除以下の部分は加算しません。
「孫の分も全部書かないといけないと思ってた」
「遺産を受け取っていない孫の分は、原則いらないよ」
贈与税を納めた贈与がある時は?
『贈与税を払った分まで足し戻したら、二重に取られるのでは?』という方も多いはずです。実は、加算した贈与に対して納めた贈与税は、相続税から差し引けます(贈与税額控除)。
例えば、長男が亡くなる前年に500万円を受け取り、贈与税を申告していたケースです。長男は18歳以上の子なので特例税率で、(500万円 − 110万円)× 15% − 10万円 = 48万5,000円を納めています。
この場合、第14表には500万円をそのまま書いて加算します。そのうえで48万5,000円は、長男の相続税から差し引く側の計算に回ります。
もう一つ大事なのが、延長された4年分の扱いです。2027年以降の相続で3年より前の贈与が入ってくる時は、その4年分については合計100万円まで加算しません。2026年の相続ではまだ関係しませんが、覚えておきましょう。
加算された金額は、第15表の種類別の合計で純資産価額に足され、第1表の課税価格へつながります。
贈与の回数が多い、通帳の記録がそろわない、名義預金と言われそうなお金がある。こんなケースは、贈与の洗い出しから税理士に頼むと漏れを防ぎやすくなります。
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よくある質問
110万円以下の贈与で、贈与税の申告をしていなくても第14表に書きますか?
書きます。加算の期間内に、相続や遺贈で財産を取得した人が受けた暦年課税の贈与は、金額にかかわらず相続財産に足し戻します。
亡くなった年に受けた贈与はどう扱いますか?
加算の期間内なので、第14表に書いて相続財産に足し戻します。その年の分は贈与税の申告はいりません。
生活費や学費として渡していたお金も書きますか?
必要な都度、生活費や教育費として直接払っていたものは、通常は贈与税がかからないお金です。まとめて渡して預金になっている場合などは判断が分かれるので、税理士に確認してみてください。
まとめ
- 相続・遺贈で財産を取得した人が受けた贈与は、110万円以下でも第14表で加算する
- 2026年の相続なら加算の対象は亡くなる前3年以内の贈与
- 遺産を受け取らない孫への贈与は原則加算しない
- おしどり贈与の分は加算しない、精算課税の贈与は別の表で扱う
- 加算した贈与で納めた贈与税は相続税から差し引ける
戸籍の束を何度も出したくない時は、法定相続情報一覧図を取るケースもあわせて見てみてください。




