代償分割をする時の遺産分割協議書の書き方と支払い条項

代償分割をする時の遺産分割協議書の書き方と支払い条項を解説する記事のアイキャッチ

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実家は長男が住み続けたい。でも次男にも公平に分けたい。『家を売らずに分けるには、どう書けばいいの?』と悩んでいる方も多いはずです。

結論から言うと、長男が実家を取得し、その代わりに次男へお金を払う「代償分割」にして、金額・期限・払い方を協議書に書きます。この記事では、一括払いと分割払いの文例を比べていきます。

目次

実家を継ぐ長男が次男にお金を払うなら、どう書く?

このケースの結論

父が亡くなり、子2人が実家と預金を相続するケースで長男が実家を取得するなら、「長男は不動産を取得する代償として、次男に金〇〇円を〇年〇月〇日までに支払う」と書きます。代償として払うことを協議書に書いておかないと、長男から次男への贈与と見られるおそれがあります。

代償分割で大事なのは、「誰が」「誰に」「いくら」「いつまでに」「どうやって」払うかの5つです。どれか1つでも抜けると、後で言った言わないになりがちなんです。

一括で払うケースの文例はこうなります。

「第1条 相続人〇〇(長男)は、次の不動産を取得する。(不動産の表示は省略)
第2条 長男〇〇は、前条の不動産を取得する代償として、相続人〇〇(次男)に対し、金1,000万円を令和〇年〇月〇日までに、次男〇〇の指定する口座に振り込む方法により支払う。振込手数料は長男〇〇の負担とする。」

不動産の表示の書き方は不動産だけを相続する時の協議書の記載例と同じで、地番と家屋番号で書きます。

代償条項に入れておくこと
  • 代償金を払う人と受け取る人の名前
  • 代償金の金額(数字で書き、桁を確かめる)
  • 支払期限(年月日まで書く)
  • 支払い方法と振込手数料をどちらが持つか
  • 「不動産を取得する代償として」という一文

一括で払えない時は、分割払いでも書ける?

『1,000万円をすぐには用意できない』という方もいますよね。その場合は分割払いの条項にできます。

「第2条 長男〇〇は、次男〇〇に対し、代償金として金1,000万円を次のとおり分割して支払う。
(1)令和〇年〇月〇日限り 金400万円
(2)令和〇年〇月から令和〇年〇月まで毎月末日限り 金〇〇万円ずつ
第3条 長男〇〇が前条の支払いを2回以上怠り、その額が〇〇万円に達した時は、残額を直ちに支払う。」

第3条は、遅れた時に残りを一度に請求できるようにする一文です。受け取る側にとっては、これが入っているかどうかで安心感がまるで違います。

ケース書き方理由・注意
長男が手元資金で一括払い金額・期限・振込先を書く期限の年月日を空欄にしない
長男が分割で払う回数・毎月の額・遅れた時の一文を書く払えなくなった時の取り決めが要る
長男が資金を借りて払う一括払いの条項に、支払期限を融資の時期に合わせる期限に間に合わない時の扱いも話しておく

分割の期間が長い時は、協議書の内容を公正証書にしておく方法もあります。支払いが止まった時に、裁判をしなくても強制執行できる形にできるからです。

「毎月の振込、ボーナス月は多めにしてもいい?」
「いいよ。その分も協議書に書いておこう」

実家を長男が取得し次男に代償金を払うケースで、払う前と払った後の取り分を比べたケース図

代償金を払うと、相続税はどう変わる?

代償分割では、代償金を払った人は取得した財産からその額を差し引き、受け取った人は代償金を足して相続税を計算します。

例えば、子2人が相続人で、実家の評価額が4,000万円、預金が2,000万円、合計6,000万円のケースで見てみます。基礎控除は3,000万円+600万円×2人で4,200万円、課税遺産総額は1,800万円、相続税の総額は180万円です。

分け方(合計6,000万円・子2人)長男の取得次男の取得各人の納付税額
長男が実家、次男が預金(代償金なし)4,000万円2,000万円長男120万円・次男60万円
長男が次男に代償金1,000万円を払う3,000万円3,000万円各90万円

総額の180万円は変わらず、誰がどれだけ納めるかが変わるわけです。

『代償金を払った長男の税金が軽くなるなら、払い損ではないの?』という声もあります。払った分だけ長男の取り分が減るので、税金もその分軽くなる、という考え方です。

ただ、代償金を時価で決めて、実家の評価額が路線価で計算されている時は、差し引く額を調整する計算があります。この記事の数字は特例を使わない評価額の例なので、小規模宅地等の特例が使えるかも含めて、要件を満たすかは税理士に確認を。

実家の評価額で代償金を決めたい、分割払いで長く払う、相続税の申告もいる。こんなケースは、金額を決める前に専門家に計算してもらうと揉めにくくなります。

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よくある質問

代償金の額はどうやって決めればいいですか?

法律で決まった計算式はなく、相続人全員が納得した額で決められます。不動産を時価で見るか、相続税の評価額で見るかで差が出るので、どちらで計算したかも話し合っておきましょう。

代償金を受け取った次男に贈与税はかかりますか?

協議書に代償分割として書いてあれば、代償金は相続で受け取った財産として相続税の計算に入ります。協議書に書かずにお金だけ渡すと、贈与と見られるおそれがあります。

期限までに代償金が払われなかったらどうなりますか?

協議書の約束として支払いを求めることになります。公正証書にしていない時は、まず話し合い、まとまらなければ裁判所の手続きを考えることになるので、分割払いの時は遅れた時の一文を入れておきましょう。

まとめ

この記事の要点
  • 代償分割は、誰が誰にいくらをいつまでにどう払うかを協議書に書く
  • 「不動産を取得する代償として」と書かないと贈与と見られるおそれがある
  • 分割払いなら回数・毎月の額と、遅れた時に残額を払う一文を入れる
  • 6,000万円・子2人で代償金1,000万円を払うと、納付税額は各90万円になる

戸籍の束をまとめて出したい時は、法定相続情報一覧図を取るケースもあわせて見てみてください。

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相続ケース案内 編集部

家族構成や財産の状況ごとに、相続・相続税がどうなるかを公的機関の公開情報をもとに解説しています。 公式サイト

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