銀行の遺産整理業務と専門家への直接依頼を比較|わが家はどっちが向く?

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親が取引していた銀行から、相続の手続きをまとめて引き受けるサービスを案内された。『全部任せられるなら楽だけど、税理士に直接頼むのと何が違うの?』と迷う方も多いはずです。

結論から言うと、銀行の遺産整理業務は「手続きの窓口を1本にしたい人」向けです。相続税の申告や不動産の評価が中心なら、税理士などの専門家に直接頼む方が話が早いケースもあります。

この記事を読むと、わが家のケースでどちらが向くかと、比べる時に確認したい点が分かります。

目次

わが家のケースは、銀行と専門家のどっちが向く?

このケースの結論

相続人が遠方に住んでいて平日に動けない、口座や証券会社がたくさんあって名義変更の手続きが多い、というケースでは銀行の遺産整理業務が向きやすいです。相続税の申告と土地の評価が中心のケースは税理士、相続人同士で揉めているケースは弁護士に直接相談する方が向いています。

ケースごとに並べると、こうなります。

ケース向いている頼み先理由・注意
相続人は遠方で忙しい・口座が多い・揉めていない銀行の遺産整理業務戸籍集めから名義変更までの窓口を1本にできる
自宅と預貯金で1億円・子2人・相続税の申告が要る税理士に直接納付額は合計770万円。土地の評価と特例の確認が中心
預貯金3,000万円・子2人・口座は1〜2か所自分で手続き基礎控除4,200万円以下で申告不要。手続きも少なめ
相続人同士で分け方が決まらない弁護士に直接銀行の遺産整理は、揉めている相続だと受けられない場合がある

『うちは1行目と2行目の両方に当てはまる』という方もいますよね。その場合は、手続きの手間と相続税の申告、どちらが負担かで考えてみてください。

2行目のケースを数字で見ておきます。遺産1億円を子2人が相続すると、基礎控除4,200万円を引いた課税遺産総額は5,800万円です。1人あたりの納付額は385万円になります。

税額がこのくらいになると、土地の評価や小規模宅地等の特例を使えるかで、納める額が変わってきます。手続きの代行より、申告の中身が大事になるケースなんです。

相続人の住まい、口座の数、相続税の申告の有無、揉めているかで、銀行と専門家のどちらが向くかを分けたケース別の分岐表

銀行の遺産整理業務と遺言信託は、何をしてくれる?

銀行の相続向けサービスは、大きく2つあります。亡くなった後の手続きを引き受ける「遺産整理業務」と、生前に遺言の準備から関わる「遺言信託」です。

サービス使う時期主な内容
遺産整理業務亡くなった後戸籍集め、財産の調査、遺産分割協議書の案づくり、預金や証券の名義変更・解約の手続き
遺言信託生前から遺言書づくりの相談、遺言書の保管、亡くなった後の遺言の内容どおりの手続き

ただ、ここが大事なところです。相続税の申告書を作れるのは税理士だけで、相続登記の代理は司法書士の仕事です。

そのため銀行の遺産整理業務では、申告や登記の部分は提携している税理士や司法書士が担当する形が多いです。窓口は1本でも、実際には何人かの専門家が関わることになります。

例えば、銀行の担当者とこんなやり取りになることがあります。

「相続税の申告も、こちらでお願いできますか?」
「申告は提携の税理士が担当します。報酬は別になりますので、見積もりをお出ししますね」

遺言信託が話に出るのは、親が元気なうちです。例えば、子がいない夫婦で、配偶者と兄弟姉妹が相続人になるケースを考えてみましょう。

この場合の法定相続分は、配偶者が3/4、兄弟姉妹が1/4です。兄弟姉妹には遺留分がないので、遺言で配偶者にすべてと書いておけば、その内容どおりに進めやすくなります。

こうした遺言をきちんと形にしておきたい時に、銀行の遺言信託や、専門家に直接頼む公正証書遺言が選択肢になります。

遺言信託で作る遺言は、公正証書遺言が多いです。公正証書遺言は公証役場で証人2人とともに作るもので、家庭裁判所の検認は要りません。遺言をどこに頼むか迷っている方は、遺言書作成の依頼先をケース別に選ぶ方法も参考にしてみてください。

費用はどう比べればいい?

銀行の遺産整理業務の手数料と、専門家に直接頼んだ時の報酬は、決め方が違います。料金表は銀行や事務所ごとに違うので、金額そのものより「何が含まれているか」をそろえて比べるのがコツです。

税理士報酬は自由化されていて、公的な基準はありません。遺産総額の0.5〜1%程度が目安と言われることが多いです。

見積もりを比べる時に確認すること
  • 銀行の手数料に、最低額が決まっているか
  • 提携の税理士・司法書士の報酬が、手数料に含まれるか別か
  • 戸籍の取得費や登録免許税などの実費は、どちらが負担するか
  • 不動産の売却や名義変更も、範囲に入っているか
  • 途中で解約した時の扱い
  • 遺言信託なら、作成時・保管中・亡くなった後に、それぞれ費用がかかるか

『銀行だから安心』と思って決める前に、ここは一度確かめておきましょう。専門家に直接頼む場合も、税理士・司法書士・行政書士に別々に頼むと、それぞれに報酬がかかります。

税理士報酬の見積もりの見方は、財産額ごとの税理士報酬の目安で詳しく見られます。

自分でできる手続きと、任せたい所はどこ?

銀行や専門家に頼む前に、自分でできる手続きも知っておくと、頼む範囲を絞れます。

手続き自分でできるか使える制度・注意
戸籍を集めるできる2024年3月1日から、本籍地以外の市区町村窓口でもまとめて請求できる(郵送・代理人は不可)
銀行に出す戸籍の束を減らすできる法務局の法定相続情報証明制度で、一覧図の写しを無料で交付してもらえる
葬儀代などの当面のお金できる預貯金の仮払い制度。1金融機関ごとに上限150万円まで単独で払い戻せる
相続登記できるが手間取得を知った日から3年以内。正当な理由なく怠ると10万円以下の過料
相続税の申告預貯金だけなら自分でする人も土地や特例があるなら税理士に頼むと楽

法定相続情報一覧図の写しは、銀行の手続きだけでなく、相続登記や相続税の申告でも戸籍の束の代わりに使えます。何か所も手続きがある時ほど助かる制度です。

口座が1〜2か所で揉めていないなら、こうした制度を使って自分で進める人もいます。逆に、口座が多くて平日に動けないなら、手続きを丸ごと任せる価値は出てきます。

相続税の申告が要るかどうかで迷っている方は、税理士に頼むべきか判断するチェック表で先に確認してみてください。

自宅の土地がある、相続税の申告が要りそう、という方は、手続きの窓口をどこにするかとは別に、相続税に慣れた税理士に一度見てもらうと安心です。申告と納付の期限は、亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内です。

税理士ドットコム

わが家のケースは、相続に強い税理士に聞くのが近道

相続税がかかりそう、土地や自宅がある、相続人が多い、期限が近いといったケースでは、相続税に詳しい税理士に早めに相談すると安心です。税理士ドットコムなら、全国7,500名以上の登録税理士から相続に強い税理士を無料で紹介してもらえます。

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(税理士ドットコムの紹介ページに移動します・24時間365日受付)

よくある質問

親が取引していた銀行でないと、遺産整理業務は頼めませんか?

取引の有無で受けるかどうかは銀行ごとに違います。取引がなくても受けているか、相談の時に確認してみてください。

遺言信託を契約していれば、相続税の申告もしてもらえますか?

相続税の申告書の作成は税理士の仕事です。遺言信託の契約に申告が含まれるか、提携の税理士に別途頼む形かを確認しておきましょう。

銀行の遺産整理業務を頼んだ後に、自分で選んだ税理士に申告を頼めますか?

契約の内容によります。自分で選んだ税理士を使いたい時は、契約の前にその旨を伝えて、対応できるか聞いておくと安心です。

まとめ

この記事の要点
  • 銀行の遺産整理業務は、手続きの窓口を1本にしたい人に向いている
  • 相続税の申告と土地の評価が中心なら税理士、揉めているなら弁護士に直接相談する方が向く
  • 申告は税理士、登記は司法書士の仕事なので、銀行経由でも提携の専門家が関わる
  • 費用は金額より、含まれる範囲と実費・最低額の扱いをそろえて比べる
相続ケース案内

相続ケース案内 編集部

家族構成や財産の状況ごとに、相続・相続税がどうなるかを公的機関の公開情報をもとに解説しています。 公式サイト

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