相続で裁判になるのはどんな時?使い込み・遺言無効のケース別に流れと費用

相続で裁判になるケースを使い込みや遺言無効などの争い別に流れと費用で確認する記事のアイキャッチ

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『兄が親の預金を勝手に使っていた。もう裁判しかないのでは』。話し合いが進まないと、そこまで考えてしまう方も多いはずです。

結論から言うと、相続のもめごとがすべて「裁判」になるわけではありません。争う中身によって、家庭裁判所の調停から始めるもの、地方裁判所の訴訟になるものに分かれます。この記事では、ケースごとの流れと費用の考え方を見ていきます。

目次

どんな争いだと「裁判」になる?

このケースではこうなる

例えば、亡くなった母の預金から兄が多額のお金を引き出していたケースです。これは遺産の分け方ではなく「お金を返して」という請求なので、話し合いでまとまらなければ地方裁判所の民事訴訟になります。一方、遺産の分け方だけで揉めているなら、家庭裁判所の調停、まとまらなければ審判で決まり、いわゆる裁判(訴訟)にはなりません。

争いの中身ごとに、どこで何から始めるかを表にまとめておきますね。

ケースどこで流れ注意
遺産の分け方で揉めている家庭裁判所調停、まとまらなければ審判訴訟ではなく、裁判官が審判で分け方を決める
親の預金の使い込みを返してほしい地方裁判所(請求額によって簡易裁判所)話し合いから民事訴訟へ引き出した事実と、勝手に使ったことを示す資料が要る
遺言が無効だと思う家庭裁判所から地方裁判所へ調停、まとまらなければ遺言無効確認の訴訟書いた時の判断能力や、自分で書いたかが争点
遺言で外され、遺留分を求めたい家庭裁判所から地方裁判所へ内容証明などで請求し、調停、訴訟へ相続開始と侵害を知った時から1年で請求できなくなる
相続のもめごとを、遺産の分け方・使い込み・遺言無効・遺留分の4つに分け、家庭裁判所の調停と地方裁判所の訴訟のどちらに進むかを並べた分岐表の図

『全部まとめて1回の裁判で決めてほしい』と思いますよね。ただ、使い込みや遺言の有効性は、遺産分割の調停では決めきれないことがあるんです。先に訴訟で決着をつけてから、分け方の話に戻る流れになることも。

使い込みのケース:どんな流れで進む?

例えば、こんなやりとりから始まることが多いです。

「通帳を見たら、毎月まとまった額が引き出されていたんだけど」
「母さんに頼まれて、生活費や介護費用に使っただけだよ」

使い込みの裁判では、請求する側が「引き出した」「勝手に使った」ことを示す必要があります。

使い込みを疑った時に集めておきたいもの
  • 亡くなった人の通帳や、金融機関の取引履歴
  • 引き出しがあった時期の、本人の入院や施設入所の記録
  • 介護や医療にかかった費用の領収書
  • 引き出した人とのやりとり(メールやメッセージ)

相手が「本人に頼まれた」「本人のために使った」と説明できると、請求が認められにくくなります。遺産相続の裁判で負けやすいのは、資料がそろわないまま感情だけで訴えたケースなんです。

遺言無効のケース:何が争点になる?

遺言無効の争いでは、次のような点が問題になります。

  • 書いた時に、内容を理解できるだけの判断能力があったか
  • 自筆証書遺言なら、本人が全文・日付・氏名を自分で書き、押印しているか
  • 誰かに強く言われて書かされていないか

遺言無効の争いも、まず家庭裁判所の調停から始めるのが原則です。まとまらなければ、地方裁判所に遺言無効確認の訴訟を起こします。

遺言が有効なままでも、外された子には遺留分があります。遺言無効を争いながら、1年の期限に間に合うよう遺留分の請求もしておくのが安全です。金額の出し方は遺留分の金額をケース別に計算した記事で見ています。

相続の裁判にかかる費用はどれくらい?

費用は大きく、裁判所に納める手数料と、弁護士に払う費用に分かれます。

費用の種類目安の決まり方注意
遺産分割調停の申立て被相続人1人につき収入印紙1,200円分と連絡用の郵便切手郵便切手の額は裁判所ごとに違う
訴訟の手数料請求する金額(訴額)で決まる2026年5月21日以後の訴えから手数料額が改定されている
弁護士費用事務所ごとに自由に決められている着手金と報酬金に分かれることが多い。見積もりを取って比べる

遺産分割調停の費用は裁判所 遺産分割調停、訴訟の手数料は裁判所 手数料の早見表で確認できます。

『取り戻せる額より、弁護士費用の方が高くついたらどうしよう』という不安もありますよね。請求できる額がそれほど大きくないなら、裁判の前に、話し合いや調停でどこまで歩み寄れるかを考えてみてください。譲る判断の目安は遺産を譲った方が良いケースと譲らない方が良いケースで見ています。

裁判中でも相続税の申告期限は止まらない

ここが見落としやすいところです。裁判や調停が続いていても、相続税の申告期限は亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内のままです。

分け方が決まらない時は、法定相続分で仮に申告し、「申告期限後3年以内の分割見込書」を出しておけば、分割後に配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例を受けられます。

裁判や調停が長引きそうで、申告期限が近い。そんなケースは、相続税に詳しい税理士に未分割での申告を任せると、特例の使い漏れを防げます。

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わが家のケースは、相続に強い税理士に聞くのが近道

相続税がかかりそう、土地や自宅がある、相続人が多い、期限が近いといったケースでは、相続税に詳しい税理士に早めに相談すると安心です。税理士ドットコムなら、全国7,500名以上の登録税理士から相続に強い税理士を無料で紹介してもらえます。

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よくある質問

相続の裁判はどのくらいの期間がかかりますか?

争点の数や証拠の量で大きく変わるため、一律には言えません。調停から訴訟に進むと、さらに時間がかかることがあります。

遺産分割で揉めたら、いきなり裁判を起こせますか?

遺産の分け方の争いは、家庭裁判所の調停から始め、まとまらなければ審判で決まります。地方裁判所の訴訟になるのは、使い込みの返還や遺言無効など別の争いです。

相続人どうしの裁判で、相手が来なかったらどうなりますか?

訴訟では、相手が答弁書も出さず欠席すると、こちらの主張が認められることがあります。調停では、相手が欠席を続けると不成立になり、遺産分割なら審判に移ります。

まとめ

この記事の要点
  • 遺産の分け方の争いは、家庭裁判所の調停と審判で決まり、訴訟にはならない
  • 預金の使い込みの返還は、地方裁判所などの民事訴訟になる
  • 遺言無効は調停から始め、まとまらなければ遺言無効確認の訴訟へ進む
  • 遺留分は1年で請求できなくなるので、遺言無効を争う時も請求しておく
  • 裁判中でも相続税の申告期限は10か月のまま。未分割で申告して分割見込書を出す
相続ケース案内

相続ケース案内 編集部

家族構成や財産の状況ごとに、相続・相続税がどうなるかを公的機関の公開情報をもとに解説しています。 公式サイト

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