相続税の税務調査はどんな家に来る?来やすいケースの特徴

相続税の税務調査が来やすい家の特徴をケース別に解説する記事のアイキャッチ

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相続税の申告を終えて、ほっとしたのもつかの間。『うちにも税務調査が来るのかな』と心配になっている方もいますよね。

結論から言うと、調査が来やすいのは「申告した財産と、税務署が把握している情報が合わない家」です。この記事では、どんな家が当てはまりやすいかをケースごとに見て、名義預金が見つかった時に税額がどれだけ変わるかも計算してみます。

目次

税務調査が来やすいのは、どんな家?

このケースの結論

家族名義の預金がある、亡くなる前にまとまった引き出しがある、申告不要と自分たちで判断した。こうした家は、申告の中身と実際の財産がずれやすく、調査で確かめられやすくなります。逆に、財産の出どころと行き先を説明できる家は、慌てる場面が少なくなります。

まず、全体の数字を見てみます。令和5年分では、亡くなった人のうち相続税がかかったのは9.9%でした。相続税の申告をする家自体が、もともと限られているんです。

その中で、国税庁の公表では令和6事務年度の相続税の実地調査は9,512件でした。

そのうち申告漏れなどが見つかった割合は82.3%、1件当たりの追徴税額は867万円です。調査に来た家の多くで、何らかの漏れが見つかっているんです。

『調査が来たら、まず追徴されるってこと?』と思うかもしれません。ただ、これは「漏れがありそうだと選ばれた家」の結果です。どんな家が選ばれやすいかを知っておくことが大事なんです。

ケース調査の来やすさ理由・注意
妻や子・孫の名義の預金がまとまってある来やすい実質が亡くなった人の財産なら名義預金として相続財産
亡くなる前の数年で大きな引き出しがある来やすい現金で残っていないか、誰かに渡っていないかを確かめられる
基礎控除を少し超えそうなのに申告しなかった来やすい名義預金などを足すと基礎控除を超えることがある
預金の出入りを説明でき、申告書にも資料がそろっている慌てる場面が少ない調べても説明がつく
家族名義の預金や多額の引き出しがある家は調査で確かめられやすいことを示したケース別の分岐表

名義預金があると、税額はどれだけ変わる?

調査で一番よく話題になるのが、名義預金です。家族名義の口座でも、お金を出したのが亡くなった人で、通帳や印鑑も本人が管理していたなら、相続財産になります。

例えば、母がすでに他界し、父が亡くなって子2人が相続するケース。父名義の預金6,000万円だけを申告し、子2人の名義で父が積み立てていた1,000万円を入れていなかったとします。

項目申告した内容名義預金を入れた場合
課税価格の合計6,000万円7,000万円
基礎控除(法定相続人2人)4,200万円4,200万円
課税遺産総額1,800万円2,800万円
相続税の総額180万円320万円
子1人あたりの納付額90万円160万円

相続税だけで、2人合わせて140万円の差になります。さらに、期限後に納める分には延滞税がかかり、過少申告加算税、事実を隠していたと見られれば重加算税がかかることもあります。

もう1つ、申告しなかった家のケースも見てみます。父名義の預金3,900万円だけを見て「基礎控除の4,200万円以下だから申告不要」と判断した。ところが孫名義の預金600万円が父の財産だった、という場合です。

課税価格の合計は4,500万円になり、課税遺産総額300万円、相続税の総額は30万円です。金額は小さくても、申告していなかったことになり、無申告加算税の対象になります。

『孫のために貯めていたお金なのに』という気持ちは分かります。ただ、贈与として渡したことが記録で示せないと、税務上は亡くなった人の財産として見られやすいんです。

調査では、何を見られる?

調査で中心になるのは、やはり預金です。亡くなった人と家族の口座の出入りを見比べて、お金の流れに説明がつくかを確かめます。

「この口座のお金は、どなたが入金したものですか」
「母がパートで貯めたお金だと思います」

こんなふうに、家族名義の口座について、お金の出どころを聞かれます。答えに詰まると、追加で資料を求められることもあります。

預金以外で見落としやすいもの

預金のほかに見落としやすいのが、自宅に置いてあった現金です。亡くなる直前に引き出したお金が、家の中で現金のまま残っていることもありますよね。

この現金も、亡くなった日に残っていれば相続財産です。「銀行から出したから、もう財産ではない」と考えてしまうと漏れになります。

生命保険金や死亡退職金も、受け取った額をそのまま申告から外していいわけではありません。非課税枠は、それぞれ500万円 × 法定相続人の数までです。超えた分は相続財産として申告します。

例えば、子2人が相続人なら、生命保険金の非課税枠は1,000万円です。受け取った保険金が1,200万円なら、200万円は課税の対象に入ります。

申告前に家の中で見直しておきたいもの
  • 家族・孫名義の通帳と、その印鑑を誰が持っていたか
  • 亡くなる前の数年分の、大きな引き出しの使い道
  • 毎年の贈与を記録した贈与契約書があるか
  • 自宅の金庫や引き出しに現金が残っていないか
  • 生命保険金や死亡退職金の受け取り記録

ここが大事なところです。贈与だったと言えるには、贈与契約書を作る、通帳や印鑑を受け取った人が管理する、といった形が基本です。毎年同じ額を最初から約束して渡していると、まとめて贈与したとみなされるおそれもあります。

なお、2024年1月1日以降の贈与からは、相続財産に加算される期間が亡くなる前3年から7年へ、段階的に延びていきます。相続人への最近の贈与も、申告に入れ忘れないようにしておきましょう。

親の預金が兄弟に使い込まれていた疑いがある場合は、調査の前に家族の中で事実をそろえておくことも大切です。調べ方は親の預金を兄弟が使い込んでいた時の調べ方にまとめています。

調査が心配な家は、申告をどう準備する?

調査が来るかどうかを自分で選ぶことはできません。できるのは、来ても説明できる申告にしておくことです。

例えば、財産が預金だけのシンプルな家なら、通帳と取引履歴をそろえ、名義預金がないかを確かめるだけでもかなり違います。預金だけの家の計算と申告の流れは、遺産が預金だけの場合の相続税の計算で見てみてください。

一方、土地が複数ある、家族名義の口座が多い、亡くなる前の引き出しの使い道が分からないといった家は、自分たちだけで判断すると漏れが出やすくなります。

税理士を選ぶ時は、相続税申告の実績や、書面添付制度への対応がよく観点に挙げられます。名義預金にあたるかどうかも、要件を満たすかは税理士に確認してもらうと安心です。

税理士ドットコム

わが家のケースは、相続に強い税理士に聞くのが近道

相続税がかかりそう、土地や自宅がある、相続人が多い、期限が近いといったケースでは、相続税に詳しい税理士に早めに相談すると安心です。税理士ドットコムなら、全国7,500名以上の登録税理士から相続に強い税理士を無料で紹介してもらえます。

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申告後に財産の漏れに気づいた場合は、税務署から指摘される前に自分から申告を直す(修正申告)方法もあります。気づいた時点で早めに相談してみてください。

よくある質問

相続税の税務調査が来る確率はどれくらいですか?

確率として公表された数字はありません。令和6事務年度の実地調査は9,512件で、そのうち82.3%で申告漏れなどが見つかっています。

申告不要だった家にも調査は来ますか?

申告していない家でも、財産が基礎控除を超えていた疑いがあれば、税務署から連絡が来ることがあります。名義預金などを足すと超える場合があるので注意が必要です。

孫名義で貯めた預金は、全部相続財産になりますか?

誰がお金を出し、誰が通帳や印鑑を管理していたかで判断されます。贈与契約書があり、孫側が管理していれば贈与と認められやすくなります。

まとめ

この記事の要点
  • 令和6事務年度の相続税の実地調査は9,512件、申告漏れ等の割合は82.3%
  • 家族名義の預金、亡くなる前の多額の引き出し、自己判断の申告不要は調査で確かめられやすい
  • 名義預金1,000万円の漏れで、子2人のケースでは相続税が140万円増える
  • 贈与と言えるには、贈与契約書と受け取った人の管理が基本
相続ケース案内

相続ケース案内 編集部

家族構成や財産の状況ごとに、相続・相続税がどうなるかを公的機関の公開情報をもとに解説しています。 公式サイト

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