亡くなった親の証券口座から自分の口座へ株を移す流れ

亡くなった親の証券口座から相続人の口座へ株を移管する流れを解説する記事のアイキャッチ

当サイトは国税庁・法務省・裁判所などの公開情報をもとに編集部が執筆しています。記事内のサービス紹介には広告を含みます。

親の遺品を片づけていたら、証券会社からの取引報告書が出てきた。株があるのは分かったけど、どうやって自分のものにすればいいのか、売ってお金で受け取れるのか、迷いますよね。

結論から言うと、亡くなった人の証券口座にある株は、まず相続人の口座へそのまま移す(移管する)のが基本の流れです。売るのは自分の口座に移ってからになります。

この記事では、株を相続人の口座へ移す流れを、口座の有無や株の置き場所のケース別に確認していきます。

目次

親の株は、そのまま自分の口座に移せる?

このケースではこうなる

はい、移せます。ただし移管先は、原則として親が口座を持っていた証券会社と同じ会社にある相続人名義の口座です。口座が無ければ先に開設し、相続手続き依頼書と戸籍・遺産分割協議書などを出すと、株が自分の口座に移ります。別の証券会社に移したい時は、いったん自分の口座に受け入れてから移すことになります。

『親の口座のまま売って、現金を分ければいいのでは?』と思う方も多いはずです。

ただ、亡くなった人の口座は死亡が伝わった時点で取引が止まります。相続人が親の口座のまま売買することはできないんです。

そのため、まず相続人の口座を用意して株を移し、売るならその後、という順番になります。

株を相続人の口座へ移す手続きの流れ

一般的な流れは次のとおりです。証券会社によって書類の名前は違いますが、順番はほぼ同じです。

株を移管する流れ
  1. 親が口座を持っていた証券会社に、亡くなったことを電話かWebで連絡する
  2. 相続手続きの案内書類と、必要なら残高証明書を取り寄せる
  3. 同じ証券会社に、株を受け取る相続人名義の口座を作る
  4. 遺言書か遺産分割協議書で、誰が株を受け取るかを決める
  5. 相続手続き依頼書に記入し、戸籍・印鑑証明書などを添えて送る
  6. 株が相続人の口座に移ったことを、取引報告書や画面で確認する

2の残高証明書は、相続税の申告や遺産分割の話し合いで使います。亡くなった日時点の銘柄と株数が分かるものを頼んでおくと安心です。

必要な書類は、銀行の相続手続きとほぼ同じです。遺言があれば協議書は要らず、遺言がなければ協議書と相続人全員の印鑑証明書を出します。くわしくは銀行の相続手続きで必要な書類の一覧が参考になります。

口座や株の置き場所で、手順が変わるケース

同じ「株の相続」でも、口座の状況によって少し手順が変わります。

ケース移管の進め方注意
相続人が同じ証券会社に口座を持っているその口座に移す。新しく作らなくてよい口座の名義・住所が最新か確認
相続人が同じ証券会社に口座を持っていない先に口座を開設してから移す開設の審査に日数がかかることがある
自分がふだん使う別の証券会社に移したい同じ会社の自分の口座に受け入れた後、別会社へ移す移管の手数料がかかる会社もある
株が証券会社ではなく信託銀行の「特別口座」にある株主名簿管理人の信託銀行で手続きし、相続人の証券口座へ移す配当金の通知書や株主総会の案内で気づくことが多い
親がNISA口座で株を持っていた相続人の課税口座(特定口座か一般口座)へ移す相続人のNISA口座には移せない

特別口座のケースは見落としやすいので注意が要ります。

例えば、電子化の前から持っていた株が証券会社に預けられないまま残っていると、信託銀行の特別口座で管理されていることがあります。郵便物に「株主名簿管理人」とあれば、その信託銀行に連絡してみてください。

株の置き場所と口座の有無で移管の手順が変わることを示した分岐表

配当金や株主優待はどうなる?

亡くなる前に配当の基準日が来ていて、支払いが亡くなった後になった配当金は、相続財産に含めて考えます。

まだ受け取っていない配当金という扱いで、相続税の申告でも財産に入れます。受け取りの手続きは、株と同じく相続人が行います。

株主優待も、権利確定日に誰の名義になっているかで届く先が変わります。『優待券が届かなくなった』という時は、名義が移っていないことが多いんです。

例えば、こんなやりとりになることもあります。

「配当金の通知が親の名前のまま届いたんですが」
「移管が終わるまでは、旧名義で届くことがあります。相続手続きの中で受け取り方をご案内します」

相続人が複数いる時、株はどう分ける?

相続人が複数いる場合は、遺産分割協議書で「どの銘柄を何株、誰が受け取るか」を決めます。

『株を兄弟で半分ずつに分けられるの?』と思いますよね。

株数で分けることはできます。例えば、A社の株200株を兄と妹で100株ずつ、という形です。ただし、単元未満の株が出ると扱いが面倒になることも。

分け方の考え方をケースで比べる

ケース分け方の例気をつけたいこと
銘柄が1つ・相続人2人株数を半分ずつ受け取る単元未満にならない株数で分ける
銘柄が複数・相続人2人銘柄ごとに受け取る人を決める評価額に差が出たら預金で調整
株は1人が受け取り、他は預金を受け取る協議書に株の受取人と預金の受取人を書く協議書の銘柄・株数の書き漏れに注意

株は値動きがあるので、話し合いの途中で価値が変わることもあります。

協議書に書く時は、証券会社名・口座番号・銘柄・株数まで書いておくと、移管の書類で差し戻されにくくなります。

相続税では、株はいくらで計算する?

上場株式の相続税での評価額は、次の4つの価格のうち一番低いものを使います。

  • 亡くなった日の終値
  • 亡くなった月の終値の平均
  • 前月の終値の平均
  • 前々月の終値の平均

例えば、亡くなった日の終値が2,000円、その月の平均が1,950円、前月の平均が1,900円、前々月の平均が1,980円なら、1株1,900円で評価します。

亡くなった後に株価が上がっても下がっても、相続税の計算はこの価格で行うんです。

移した株を売る時の税金は別

移した株を後で売ると、相続税とは別に、売った利益に所得税と住民税がかかります。

この時、利益の計算に使う取得費は、親が買った時の価格を引き継ぎます。親がいくらで買ったか分からないと、利益が大きく計算されてしまうことも。親の取引報告書や購入時の記録は捨てずに取っておいてください。

相続税を払った人が、申告期限の翌日から3年以内に相続した株を売ると、取得費加算の特例で払った相続税の一部を取得費に足せます。使えるかどうかは要件があるので、税理士に確認してみてください。

株や投資信託の銘柄が多い、非上場の会社の株も持っていた、という場合は評価だけでも手間がかかります。相続税の申告と一緒に任せると、残高証明の取り寄せから評価までまとめて進めてもらえます。

税理士ドットコム

わが家のケースは、相続に強い税理士に聞くのが近道

相続税がかかりそう、土地や自宅がある、相続人が多い、期限が近いといったケースでは、相続税に詳しい税理士に早めに相談すると安心です。税理士ドットコムなら、全国7,500名以上の登録税理士から相続に強い税理士を無料で紹介してもらえます。

紹介料無料税理士ドットコムで相続に強い税理士を紹介してもらう

(税理士ドットコムの紹介ページに移動します・24時間365日受付)

ほかの財産も含めた手続きの順番は親が亡くなった後のやることリストでも確認できます。

よくある質問

株を移管しないで、すぐ売ってお金で分けることはできますか?

証券会社によっては、相続人の口座に移さずに売却して代金を受け取る手続きを用意していることがあります。ただ、多くは相続人の口座へ移してから売る流れなので、先に証券会社の相続窓口に確認してみてください。

株の移管に期限はありますか?

移管そのものに法律上の期限はありません。ただし相続放棄は3か月以内、相続税の申告は10か月以内なので、残高証明だけは早めに取り寄せておくと安心です。

親の証券口座がどこにあるか分かりません。どう探せばいいですか?

郵便物や取引報告書、配当金の通知、通帳の入出金の記録から探すのが基本です。手がかりがない時は、証券保管振替機構に登録済加入者情報の開示を請求して、口座のある証券会社を調べる方法もあります。

まとめ

この記事の要点
  • 亡くなった人の口座では売買できないので、まず相続人の口座へ株を移す
  • 移管先は原則として同じ証券会社の相続人名義の口座。無ければ先に開設する
  • 信託銀行の特別口座やNISA口座の株は手順が変わる
  • 相続税では、死亡日の終値と3か月分の月平均のうち一番低い価格で評価する
  • 売る時の取得費は親の購入価格を引き継ぐので、購入時の記録を残しておく
相続ケース案内

相続ケース案内 編集部

家族構成や財産の状況ごとに、相続・相続税がどうなるかを公的機関の公開情報をもとに解説しています。 公式サイト

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次