銀行の相続手続きで必要な書類を遺言の有無別にまとめた表

銀行の相続手続きの必要書類を遺言の有無別にまとめた記事のアイキャッチ

当サイトは国税庁・法務省・裁判所などの公開情報をもとに編集部が執筆しています。記事内のサービス紹介には広告を含みます。

親の口座が凍結されて、銀行から「相続手続きの書類をそろえてください」と言われた。でも、リストを見ても自分の家の場合にどれが要るのか分かりにくいですよね。

結論から言うと、銀行で出す書類は「遺言があるか」「遺言がどの種類か」でほぼ決まります。遺言の有無が分かれば、集める書類の半分は決まったようなものなんです。

この記事では、銀行の相続手続きの必要書類を、遺言の有無別に一覧表で確認していきます。

目次

遺言があるかないかで、銀行に出す書類はどう変わる?

このケースではこうなる

公正証書遺言があれば、遺言書と、預金を受け取る人の戸籍・印鑑証明書が中心で、遺産分割協議書は要りません。自筆の遺言なら、これに家庭裁判所の検認済みであることの証明が加わります(法務局で保管された遺言は検認不要)。遺言がなければ、相続人全員で作った遺産分割協議書と、全員の印鑑証明書が必要です。

銀行が書類で確かめたいのは、たった2つです。

1つ目は「この人が本当に預金を受け取る権利がある人か」。2つ目は「ほかの相続人とのトラブルにならないか」です。

遺言があれば、遺言が「誰が受け取るか」を決めています。だから全員の合意を示す書類は要りません。

遺言がなければ、全員の話し合いで決めたことを、協議書と全員の印鑑証明書で示す必要があるんです。

銀行の相続手続きの必要書類一覧(ケース別)

4つのケース別に、よく求められる書類を表にしました。銀行によって細かい書式や追加書類は違うので、最初に窓口か相続センターで確認してみてください。

書類公正証書遺言あり自筆の遺言あり遺言なし・協議書あり協議がまとまらない
銀行所定の相続届(依頼書)要要要(全員の署名押印が多い)要
遺言書正本か謄本原本不要不要
検認済みの証明不要要(法務局保管なら不要)不要不要
遺産分割協議書不要不要要不要
亡くなった人の戸籍死亡が分かるもの死亡が分かるもの出生から死亡まで全部出生から死亡まで全部
相続人の戸籍受け取る人受け取る人相続人全員相続人全員
印鑑証明書受け取る人(遺言執行者がいれば執行者)受け取る人(同左)相続人全員払い戻しを受ける人
通帳・キャッシュカード要要要要

戸籍の束は、法定相続情報一覧図の写しで代わりにできる銀行が多いです。一覧図の写しは法務局で無料でもらえるので、複数の銀行に口座がある時ほど楽になります。

遺言の有無別に銀行へ出す書類を並べた分岐表

『協議がまとまらない時は、どうやって払い戻すの?』と思った方もいますよね。

その場合は、預貯金の仮払い制度を使えます。くわしくは後半で見ていきます。

遺言ありのケース:遺言執行者がいるかで手続きする人が変わる

遺言で「遺言執行者」が決められていると、銀行の手続きは執行者が進めるのが基本です。

この場合、印鑑証明書を出すのも執行者になります。執行者が家族ではなく専門家なら、家族が窓口に何度も行く必要はほとんどありません。

一方、自筆の遺言は、家で見つかったものなら家庭裁判所の検認が要ります。検認の申立てには収入印紙800円(遺言書1通あたり)がかかり、手続きが終わるまで銀行は払い戻しに応じてくれません。

2020年7月10日に始まった法務局の自筆証書遺言書保管制度で預けられていた遺言なら、検認は不要です。法務局が出す「遺言書情報証明書」を銀行に出します。

遺言なしのケース:協議書は「預金をどう分けたか」が分かる書き方に

遺言がない時は、遺産分割協議書に銀行名・支店名・口座番号まで書いておくとスムーズです。

例えば、窓口でこんなやりとりになることも。

「協議書に、この定期預金の記載がないようですが」
「普通預金と一緒に長男が受け取るつもりでした」
「でしたら、定期預金も含めて書き直していただく必要があります」

書き漏れがあると、相続人全員に署名押印をし直してもらうことになります。最後に「その他の財産は〇〇が取得する」と1行入れておくと、こうした漏れを防ぎやすくなります。

窓口に行く前に確認しておきたいこと

書類をそろえる前に、次の点を見ておくと二度手間を減らせます。

銀行に行く前のチェック
  • 遺言書があるか、自宅・貸金庫・法務局・公証役場で探したか
  • 印鑑証明書や戸籍に「発行から何か月以内」の期限を決めていないか、銀行に確認したか
  • 相続人の中に未成年の人や海外に住んでいる人がいないか
  • 口座のある銀行・支店を、通帳や郵便物からすべて洗い出したか
  • 相続放棄をするかどうか決めたか(払い戻すと放棄できなくなることがある)

最後の点は見落としがちです。借金が多そうなのに預金を引き出して使うと、単純承認とみなされて放棄できなくなることがあるんです。

相続人に海外在住の人がいると、印鑑証明書の代わりにサイン証明が要ります。その場合は海外在住の相続人が用意する書類を確認してみてください。

相続人が1人だけなら書類はかなり少ない

相続人が自分1人の時は、遺言がなくても協議書は要りません。

戸籍で「ほかに相続人がいない」ことを示せば、自分の印鑑証明書だけで手続きできます。流れ全体は相続人が1人だけの場合の手続きにまとめています。

貸金庫がある時は書類が1つ増える

親が銀行の貸金庫を借りていた場合は、預金とは別に貸金庫の開扉の手続きがあります。

貸金庫の中に遺言書が入っていることもあるんです。遺言がないと思って協議を進めたあとに見つかると、やり直しになることも。

開ける時は、相続人全員の立ち会いか同意書を求める銀行が多いです。中身を確認したら、何が入っていたかをメモに残しておくと、後で相続人同士の行き違いを防げます。

協議がまとまらない時、預金は引き出せない?

いいえ、一部なら引き出せます。

預貯金の仮払い制度を使うと、相続人は1人でも、1つの金融機関ごとに上限150万円まで払い戻しを受けられます。金額は「相続開始時の預金額×1/3×その人の法定相続分」です。

ケース計算払い戻せる額
A銀行に預金600万円・相続人は子2人600万円×1/3×1/2100万円
B銀行に預金1,200万円・相続人は子2人1,200万円×1/3×1/2=200万円上限の150万円

葬儀費用の支払いなど、急ぎのお金が必要な時に使える仕組みです。

この場合の書類は、戸籍の束(出生から死亡まで)と相続人全員の戸籍、払い戻しを受ける人の印鑑証明書が中心になります。協議書は要りません。

預金のほかに不動産や株もあって、相続税の申告まで見据えると書類集めが重なる、という方もいますよね。預金の残高証明や評価の資料も含めてまとめて準備したいなら、税理士に頼むと銀行ごとの取り寄せも整理してもらえます。

税理士ドットコム

わが家のケースは、相続に強い税理士に聞くのが近道

相続税がかかりそう、土地や自宅がある、相続人が多い、期限が近いといったケースでは、相続税に詳しい税理士に早めに相談すると安心です。税理士ドットコムなら、全国7,500名以上の登録税理士から相続に強い税理士を無料で紹介してもらえます。

紹介料無料税理士ドットコムで相続に強い税理士を紹介してもらう

(税理士ドットコムの紹介ページに移動します・24時間365日受付)

よくある質問

銀行の相続手続きに期限はありますか?

預金の相続手続き自体に法律上の期限はありません。ただし、相続放棄は3か月以内、相続税の申告は10か月以内なので、預金の残高を早めに確定させておくと後の手続きが楽になります。

遺言があれば、他の相続人の印鑑証明書は要りませんか?

遺言で預金を受け取る人が決まっていれば、一般には他の相続人の印鑑証明書は求められません。ただし遺言の書き方や銀行の運用によって追加書類を求められることがあるので、事前に確認してみてください。

相続税の申告に使う残高証明書は、相続手続きと一緒に頼めますか?

はい、多くの銀行で相続手続きの窓口から残高証明書を請求できます。相続税の申告では、亡くなった日時点の残高(定期預金は既経過利息を含む)が必要になります。

まとめ

この記事の要点
  • 銀行に出す書類は、遺言の有無と種類でほぼ決まる
  • 公正証書遺言や法務局保管の遺言なら検認不要・協議書不要
  • 遺言がなければ、遺産分割協議書と相続人全員の印鑑証明書が要る
  • 協議がまとまらなくても、仮払い制度で1金融機関あたり上限150万円まで引き出せる
  • 戸籍の束は法定相続情報一覧図の写しにまとめると、複数の銀行で使い回せる
相続ケース案内

相続ケース案内 編集部

家族構成や財産の状況ごとに、相続・相続税がどうなるかを公的機関の公開情報をもとに解説しています。 公式サイト

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次