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夫が亡くなって財産を書き出してみたら、妻名義の口座にもまとまったお金がある。『これは私の名義だから、夫の相続とは関係ないはず』と思っている方も多いですよね。
結論から言うと、名義が妻でも、お金の出どころが夫の収入なら夫の相続財産として扱われることがあります。
この記事では、どんなケースで妻名義の預金が夫の財産になるのか、その時の相続税の差まで分かります。
妻名義の預金は、夫の相続財産になる?
専業主婦の妻が、夫の給料から妻名義の口座に貯めてきたお金は、夫の相続財産(名義預金)として相続税の対象になる可能性が高いです。妻が自分で働いて得たお金や、自分の親から相続したお金なら、妻自身の財産です。分かれ目は「名義」ではなく「お金の出どころ」と「誰が管理していたか」です。
名義預金とは、家族の名義になっていても、実際には亡くなった人のお金だった預金のことです。相続税では、名義ではなく中身で判断されます。
例えば、夫の給料が振り込まれる口座から、毎月妻名義の口座に積み立てていたケース。口座の名前は妻でも、元は夫が稼いだお金ですよね。
「でも、家計を任されてたのは私だし、2人のお金でしょ?」
そう感じるのは自然です。ただ、夫婦で暮らしていても、お金をどちらが稼いだかは別に見られるんです。
専業主婦の妻名義の口座、ケース別にどう判断される?
妻名義の預金といっても、貯まった経緯は家ごとに違います。よくあるケースを並べてみます。
| ケース | 結論 | 理由・注意 |
|---|---|---|
| 専業主婦の妻が、夫の給料から妻名義の口座に貯めてきた | 夫の相続財産になる可能性が高い | 元のお金が夫の収入。名義を変えただけでは妻の物にならない |
| 生活費の残りを妻がへそくりとして貯めた | 夫の財産と見られやすい | 生活費は家計のために渡されたお金で、妻にあげたお金とは見られにくい |
| 妻がパートや独身時代の給料、自分の親からの相続で貯めた | 妻自身の財産 | お金の出どころが妻。夫の相続財産には入らない |
| 夫から贈与を受け、毎年契約書を作り、妻が通帳を管理していた | 妻の財産(贈与が成立) | ただし亡くなる前7年以内の贈与分は相続財産に足し戻す |
『へそくりなら私のお金でしょ?』と思いますよね。実は、へそくりは相続税の申告でよく話題になるお金です。生活費として預かったお金を残しただけでは、夫から妻への贈与があったとは見てもらいにくいんです。
一方で、パート収入を貯めた口座は妻のお金です。同じ妻名義でも、口座ごとに出どころが違えば判断も分かれます。
判断で見られるポイント
税務署が名義預金かどうかを見る時は、口座の名前より次のような中身を確かめます。
- 口座に入っているお金は、誰の収入から来たか(夫の給料・妻のパート・妻の親の遺産など)
- 通帳・印鑑・キャッシュカードを誰が持ち、誰が出し入れしていたか
- 妻がそのお金を自分のために自由に使っていたか
- 夫から妻に渡した時に、贈与契約書を作ったり贈与税の申告をしたりしたか
- 夫が亡くなるまで、妻がその口座の存在をきちんと知っていたか
例えば、夫が妻名義で定期預金を作り、証書も印鑑も夫の書斎で保管していたケース。妻が口座の存在を知らなかったなら、夫の財産と見られる方向に大きく傾きます。
逆に、妻が自分のパート代を自分で管理して貯めた口座なら、判断に迷うことは少ないはずです。
名義預金と判断されたら、相続税はいくら変わる?
妻名義の預金を入れるかどうかで、相続税がかかるかどうか自体が変わることもあります。
例えば、夫が亡くなり、妻と子2人が相続人のケース。夫名義の財産が4,500万円(自宅2,500万円・預金2,000万円)、妻名義の預金1,500万円は夫の給料から貯めたものだったとします。
| 計算の流れ | 妻名義の預金を入れない | 妻名義の預金を入れる |
|---|---|---|
| 課税価格の合計 | 4,500万円 | 6,000万円 |
| 基礎控除(3,000万円 + 600万円 × 3人) | 4,800万円 | 4,800万円 |
| 課税遺産総額 | 0円 | 1,200万円 |
| 相続税の総額 | 0円(申告不要) | 120万円 |
妻名義の預金を入れると、課税遺産総額が1,200万円になり、相続税の総額は120万円です。基礎控除の内側だと思っていた家でも、申告が必要になるんです。

取り方で各人の納付額はこう変わる
相続税の総額120万円を、実際に取得した割合で分けます。妻には配偶者の税額軽減があるので、妻の分は0円になります。
| 分け方(6,000万円) | 妻の取得 | 子1人の取得 | 妻の納付額 | 子1人の納付額 |
|---|---|---|---|---|
| 法定相続分どおり(妻2分の1・子各4分の1) | 3,000万円 | 1,500万円 | 0円 | 30万円 |
| 妻が4分の3を取得(妻名義の預金も妻が取得) | 4,500万円 | 750万円 | 0円 | 15万円 |
ここが大事なところです。配偶者の税額軽減で妻の税額が0円になっても、申告をしないと軽減は受けられません。
『妻の分は0円なら、黙っていても同じでは?』と考えてしまいがちですよね。実際には、申告書を出して初めて0円になる仕組みなんです。
申告から漏れると、後で税務調査の対象になることも
名義預金は、相続税の税務調査でよく確認される財産です。国税庁の公表では、令和6事務年度の相続税の実地調査は9,512件、そのうち申告漏れなどが見つかった割合は82.3%でした。
漏れが見つかると、本来の税金に加えて延滞税や過少申告加算税などがかかることがあります。迷う口座は、最初から申告に入れるかどうかを専門家と決めておくと安心です。
申告前に家族でやっておきたいこと
夫の相続税の申告期限は、亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内です。それまでに、妻名義の口座の扱いを決めておきましょう。
- 妻名義・子名義を含めて、家族名義の口座を全部書き出す
- 口座ごとに、お金の出どころ(夫の給料・妻の収入・贈与など)をメモする
- 過去の通帳や取引履歴を取り寄せ、夫の口座からの入金があるか確かめる
- 贈与契約書や贈与税の申告書が残っていれば、まとめておく
- 夫の財産に入れる口座と、妻の財産として扱う口座を分けて、申告に反映する
名義預金として夫の財産に入れた分は、遺産分割の対象にもなります。妻が取得することにすれば、配偶者の税額軽減の範囲で妻の税金はかかりません。
夫が亡くなった後の妻の生活費から分け方を考えたい方は、夫が亡くなった後の妻の生活費から考える遺産の分け方も参考にしてみてください。子どもがいない夫婦で、夫の親や兄弟が相続人になる場合は、子供がいない夫婦で夫が亡くなった時のケース別の相続割合で取り分を確かめられます。
夫が元気なうちにできること
まだ相続が起きていないなら、今のうちに口座の中身をはっきりさせておくと、後で家族が迷わずに済みます。
- 夫から妻に贈与する時は、毎年贈与契約書を作り、妻が通帳と印鑑を管理する
- 毎年同じ額を最初から約束して渡すと、まとめて1回の贈与と見られるおそれがある
- 婚姻期間20年以上なら、居住用不動産の贈与に最高2,000万円の配偶者控除(おしどり贈与)がある
暦年贈与の基礎控除は、受け取る人ごとに年110万円です。ただ、2024年1月1日以降の贈与は、亡くなる前7年以内の分が相続財産に足し戻されます。妻は相続人なので、この対象になる点は押さえておきましょう。
夫婦2人の生活のうちに考えておきたい準備は、子どもが独立した夫婦2人暮らしの相続対策にまとめています。
専門家に相談した方がいいケース
妻名義の口座が複数あって出どころがはっきりしない時や、夫の財産に入れると基礎控除を超えそうな時は、自分たちだけで線を引くのは難しいですよね。過去の通帳をさかのぼる作業も大変です。
相続税にくわしい税理士なら、口座ごとの判断から申告まで一度に頼めます。
税理士ドットコム
わが家のケースは、相続に強い税理士に聞くのが近道
相続税がかかりそう、土地や自宅がある、相続人が多い、期限が近いといったケースでは、相続税に詳しい税理士に早めに相談すると安心です。税理士ドットコムなら、全国7,500名以上の登録税理士から相続に強い税理士を無料で紹介してもらえます。
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よくある質問
妻名義の預金を夫の財産として申告したら、妻に贈与税はかかりますか?
夫の相続財産として申告した預金は、相続で取得した財産として扱います。夫から妻への贈与として別に贈与税がかかるわけではありません。
へそくりが少額でも申告に入れる必要がありますか?
夫の収入から貯めたお金なら、金額にかかわらず夫の財産になり得ます。財産の合計が基礎控除以下なら相続税の申告自体が不要なので、まず全体の金額を確かめてみてください。
申告した後で、名義預金を入れすぎていたと分かったらどうなりますか?
納めすぎた税金は、原則として法定申告期限から5年以内なら、更正の請求をして返してもらう手続きができます。入れるかどうか迷う口座は、申告前に税理士に確認しておくと安心です。
まとめ
- 妻名義でも、夫の給料から貯めたお金は夫の相続財産(名義預金)になる可能性が高い
- 妻のパート収入や妻の親からの相続で貯めたお金は、妻自身の財産
- へそくりは生活費の残りとして、夫の財産と見られやすい
- 夫名義4,500万円+妻名義1,500万円の例では、入れると相続税の総額は120万円
- 配偶者の税額軽減で妻が0円でも、申告しないと軽減は受けられない




