当サイトは国税庁・法務省・裁判所などの公開情報をもとに編集部が執筆しています。記事内のサービス紹介には広告を含みます。
遺言を書いていたら「遺言執行者」という言葉が出てきた。『これって誰にすればいいの?』と迷っている方も多いですよね。
結論から言うと、相続人が少なく仲が良い家族なら、相続人の1人に頼んで十分なケースが多いです。相続人の間に気まずさがある、相続人でない人に財産を残す、という時は専門家を考えておくと安心なんです。この記事では、家族のケースごとにどちらが向いているかを比べます。
遺言執行者は誰にすればいい?
遺言執行者には、相続人や受け取る人本人もなれます。子2人で仲が良く、財産が自宅と預金くらいなら、手続きに動ける子を指定すれば足ります。相続人の誰かが不満を持ちそう、相続人が多く遠くに住んでいる、相続人でない人に遺贈する、というケースは、利害のない専門家を指定した方が進めやすくなります。
遺言執行者は、遺言の内容を実際に形にする人です。預金の解約や名義の書き換え、遺贈する財産の引き渡しなどを、相続人に代わって進めます。
なれない人は、未成年者と破産者だけです。なので、長男や長女を指定することもできますし、受け取る本人を指定しても構いません。
家族のケースごとに比べると、こうなります。
| 家族のケースごとに | 向いている人 | 理由・注意 |
|---|---|---|
| 子2人・仲が良い・財産は自宅と預金 | 手続きに動ける子 | 書類集めや銀行の手続きは家族でもできる |
| 子3人以上・遠方に住む子がいる | 専門家か近くに住む子 | 署名や連絡の取りまとめに手間がかかる |
| 介護した子に多く残す | 専門家 | 多くもらう子が執行者だと不満が向きやすい |
| 相続人でない人に遺贈する | 専門家 | 相続人が手続きに協力しないと進まない |
| 子の認知・相続人の廃除を書く | 執行者の指定が要る | この2つは遺言執行者しか手続きできない |

家族に頼むとどうなる?
『身内なら費用もかからないし、気楽でいいのでは?』と思う方も多いはずです。たしかに、家族に頼めば報酬を払わない形にもできます。
ただ、遺言執行者にはやることが意外と多いんです。
- 遺言の内容を相続人全員に知らせる
- 財産を調べて財産目録を作り、相続人に渡す
- 預金の解約・払い戻しや、証券口座の手続きをする
- 不動産の名義変更(相続登記)の手続きを進める
- 遺贈を受ける人に財産を引き渡し、終わったことを報告する
仕事をしながら、平日に銀行や法務局へ何度も足を運ぶのは大変ですよね。相続登記は司法書士に、相続税の申告は税理士に頼むこともできるので、家族が執行者でも全部を1人で抱える必要はありません。
もう1つ気をつけたいのが、ほかの相続人との関係です。例えば、こんなやりとりになることがあります。
「兄さんが執行者なのはいいけど、預金の明細はちゃんと見せてね」
「もちろん。財産目録を作ったら送るよ」
執行者は財産目録を相続人に渡す役目があるので、隠しごとをしていると思われないよう、記録を残しながら進めることが大事です。
家族を執行者にする時の書き方の例
例えば、妻はすでに亡くなっていて、長男と長女の2人が相続人のケースです。近くに住む長男を執行者にするなら、遺言の最後にこんな一文を入れます。
「遺言者は、この遺言の遺言執行者として長男〇〇を指定する。遺言執行者は、預貯金の払い戻し・解約、不動産の登記手続きその他この遺言の執行に必要な一切の行為をする権限を有する」
権限を具体的に書いておくと、銀行の窓口で話が通りやすくなります。報酬についても「報酬は受けないものとする」などと一言添えておきましょう。
長男が先に亡くなった時に備えて、「長男が就任できない時は長女〇〇を指定する」と、もう1人を書いておく方法もあります。
専門家に頼むとどうなる?
専門家に頼む良さは、相続人の誰の味方でもない立場で手続きを進めてもらえることです。
特に、介護した子に多く残す遺言や、家と預金を兄弟で分ける遺言では、受け取る額に差が出ます。多くもらう子が執行者を兼ねると、ほかの子の不満がその子に集まりやすいんです。配分の考え方は家は長男、預金は次男に残す遺言の書き方も参考になります。
相続人でない人に遺贈するケースも、専門家が向いています。例えば、長男の妻や孫に預金の一部を残す場合、相続人が手続きに協力しないと引き渡しが止まってしまいます。執行者がいれば、相続人の協力を待たずに進められます。
| 頼む相手のケース | 良いところ | 気をつけたいところ |
|---|---|---|
| 相続人の1人 | 報酬をなしにもできる・事情をよく知っている | 平日の手続きが負担・ほかの相続人の不満が向きやすい |
| 弁護士 | もめごとになった時もそのまま対応できる | 報酬がかかる |
| 司法書士 | 相続登記と一緒に進めやすい | 報酬がかかる・争いの交渉はできない |
| 信託銀行など | 窓口がはっきりしている | 報酬がかかる・扱える内容に決まりがある |
相続人同士で話がこじれた時の流れは、遺産分割調停の流れと期間にまとめています。
遺言執行者の報酬はどう決まる?
報酬は、遺言の中で決めておくことができます。家族を指定する時は「報酬は〇〇とする」「報酬は受けない」と書いておくと、後でもめません。
遺言に書いていない場合は、家庭裁判所に決めてもらうことができます。専門家に頼む時は、事務所ごとに料金の決め方が違うので、指定する前に見積もりを取っておきましょう。
『執行者を指定し忘れたら、どうなるの?』という心配もありますよね。その時は、相続人などが家庭裁判所に遺言執行者の選任を申し立てることができます。費用は遺言書1通につき収入印紙800円と、連絡用の郵便切手です。
申立先は遺言者の最後の住所地の家庭裁判所です。とはいえ、相続が始まってから申し立てると手続きが遅れるので、遺言を書く時点で指定しておく方がスムーズです。
遺言執行者を決めないといけないのはどんな時?
決めなくても遺言は有効です。相続人全員で協力して手続きを進めるなら、執行者がいなくても困らないケースもあります。
ただ、次のようなケースでは、指定しておくと手続きが止まりにくくなります。
- 相続人の中に、遺言の内容に不満を持ちそうな人がいる
- 相続人が多い、または遠方や海外に住んでいる
- 相続人でない人(長男の妻・孫・お世話になった人など)に遺贈する
- 子の認知や、相続人の廃除を遺言に書く
- 相続人が高齢で、手続きに動ける人がいない
遺言の内容に相続税がかかるか、土地の評価がどうなるか分からない、執行者を家族にするか専門家にするか決めきれない。こんなケースは、先に財産の額と税金の見通しを出してもらうと、誰に何を頼むかが決めやすくなります。
税理士ドットコム
わが家のケースは、相続に強い税理士に聞くのが近道
相続税がかかりそう、土地や自宅がある、相続人が多い、期限が近いといったケースでは、相続税に詳しい税理士に早めに相談すると安心です。税理士ドットコムなら、全国7,500名以上の登録税理士から相続に強い税理士を無料で紹介してもらえます。
紹介料無料税理士ドットコムで相続に強い税理士を紹介してもらう(税理士ドットコムの紹介ページに移動します・24時間365日受付)
遺言を書いたら、保管場所も執行者に伝えておきましょう。保管先ごとの違いは遺言書の保管先の比較で紹介しています。
よくある質問
遺言執行者は複数人にできますか?
できます。例えば長男と専門家の2人を指定することもできます。複数いる場合は、遺言に特に書いていなければ過半数で決めて進めます。
遺言執行者に指定された人は断れますか?
断ることができます。指定された人が引き受けない時は、相続人などが家庭裁判所に遺言執行者の選任を申し立てることができます。
遺言執行者がいると、相続人は勝手に財産を処分できませんか?
遺言執行者がいる場合、相続人は遺言の執行を妨げる行為ができません。遺言の内容に関わる財産は、執行者を通して手続きを進めます。
まとめ
- 遺言執行者には、未成年者と破産者以外なら相続人でもなれる
- 子2人で仲が良く財産がシンプルなら、手続きに動ける子で足りることが多い
- 多くもらう子がいる、相続人でない人に遺贈する時は専門家が向いている
- 報酬は遺言で決めておくか、家庭裁判所に決めてもらえる
- 指定がない時は家庭裁判所に選任を申し立てられる(収入印紙800円)




